遺言の書き方は、『財産と相続人を整理したうえで、誰に何を遺すかを具体的に書き、日付・氏名を自書して押印する』のが基本です。自筆証書遺言なら全文・日付・氏名を自分の手で書き、印鑑を押します。ケース別の文例を参考にすれば、迷わず実際の遺言を書き始められます。この記事では、そのまま使える記載例を中心に解説します。

遺言は「書きたいけれど、何をどう書けばいいのかわからない」という方がとても多いものです。要件の概要をおさえたうえで、配偶者に全財産を遺す、特定の子に自宅を遺す、寄付するなど、よくあるケースの文例を見ながら、ご自身の状況に合わせて書き進めていきましょう。

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この記事でわかること

  • 遺言を書く前の準備(財産の洗い出し・相続人の確認)
  • 基本の記載項目と書き方の流れ
  • ケース別のそのまま使える文例・記載例
  • 付言事項の書き方と無効を避ける注意点

01

遺言を書く前に準備すること

いきなり書き始めるよりも、先に財産と相続人を整理しておくと、迷わずに書けます。

  • 財産の洗い出し(不動産・預貯金・株式・保険・借金など)
  • 不動産は登記の住所や地番、建物の構造をメモ
  • 預貯金は金融機関名・支店名・口座番号を控える
  • 相続人が誰になるかを確認(配偶者・子・親・兄弟姉妹)

まず、自分にどんな財産があるかをすべて書き出します。不動産は登記簿(登記事項証明書)の表示どおりに、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで控えておくと、あとで遺言に正確に書けます。次に、自分が亡くなったときに誰が相続人になるかを確認します。配偶者は常に相続人になり、子がいれば子、いなければ親や兄弟姉妹へと順番が変わります。この財産目録と相続人の確認が、遺言を書く土台になります。

遺言を書く前に準備すること

02

基本の記載項目と書き方の流れ

自筆証書遺言には、最低限おさえておきたい基本の形があります。

  • 表題に「遺言書」と書く
  • 誰に、どの財産を、どれだけ遺すかを具体的に書く
  • 作成した年月日を正確に書く(年月日を特定)
  • 氏名を自書し、押印する

自筆証書遺言は、財産目録を除く全文を自分の手で書きます。書き出しに「遺言書」と表題をつけ、本文で「誰に・何を・どれだけ」遺すかを順番に書いていきます。財産を引き継ぐ人を遺言では『相続させる』『遺贈する』と表現します。最後に作成した日付を「令和○年○月○日」と年月日まで正確に書き、氏名を自書して印鑑を押します。日付は『令和○年○月吉日』のように日が特定できない書き方だと無効になるため注意しましょう。

03

ケース別の文例(配偶者・子・自宅・割合)

よくあるケースの記載例です。ご自身の状況に合わせて書き換えてください。

  • 配偶者に全財産:「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。」
  • 特定の子に自宅:「遺言者は、次の不動産を長男○○に相続させる。所在○○、地番○番○、地目宅地、地積○平方メートル。」
  • 預金を指定:「遺言者は、○○銀行○○支店の遺言者名義の普通預金(口座番号○○)を、長女○○に相続させる。」
  • 割合で指定:「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長男○○に三分の二、長女○○に三分の一の割合で相続させる。」

財産は『どの財産か』がはっきりわかるように書くことが何より大切です。不動産は登記事項証明書の表示どおりに所在・地番・地積を、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで書きます。「自宅」「預金」だけでは、どれを指すのか後で争いになることがあります。相続人を特定するため、氏名に続けて生年月日や続柄を添えておくと、より確実です。

04

寄付・祭祀承継・予備的遺言の文例

相続人以外への寄付や、お墓を継ぐ人を決めるときの文例です。

  • 特定の人や団体へ寄付(遺贈):「遺言者は、遺言者の有する○○銀行○○支店の預金を、社会福祉法人○○に遺贈する。」
  • 祭祀承継者の指定:「遺言者は、仏壇・墓地その他祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男○○を指定する。」
  • 予備的遺言(先に亡くなった場合に備える):「長男○○が遺言者より先に死亡したときは、同人に相続させるとした財産を、孫○○に相続させる。」
  • 遺言を実行する人(遺言執行者)を決めておくと手続きがスムーズ

お世話になった人や団体に財産を遺すときは『遺贈する』と書きます。お墓や仏壇を継ぐ人を決めておきたい場合は、祭祀承継者を指定できます。また、財産を遺す相手が自分より先に亡くなる可能性に備えて、その場合に誰へ遺すかを書いておくのが予備的遺言です。これを入れておくと、いざというときに遺言が無駄にならず安心です。手続きを任せる遺言執行者を指定しておくと、残された家族の負担が軽くなります。

基本の記載項目と書き方の流れ

05

付言事項(家族へのメッセージ)の書き方

付言事項は、遺言の最後に書く家族へのメッセージです。

  • 法的な効力はないが、想いや感謝を残せる
  • なぜこの分け方にしたのか理由を書ける
  • 家族へのお礼や、仲良く暮らしてほしい願いを書ける
  • 遺された家族の納得につながり、争いを防ぐ助けになる

付言事項に法的な効力はありませんが、財産の分け方とは別に、家族への想いを言葉で残せる大切な部分です。たとえば「長年支えてくれた妻に感謝しています。子どもたちは仲良く助け合って暮らしてください」といったメッセージを添えます。なぜこの分け方にしたのかを書いておくと、遺された家族が理由を理解しやすく、結果として相続をめぐる争いを防ぐことにもつながります。形式は自由なので、自分の言葉で素直に書きましょう。

06

無効を避ける注意点と書いた後の保管

せっかく書いた遺言が無効にならないよう、最後に確認しましょう。

  • 日付は年月日を特定する(吉日は無効)
  • 氏名の自書と押印を忘れない
  • 書き間違いの訂正には決まった方法がある
  • 遺留分(最低限の取り分)に配慮する
  • 保管は法務局の保管制度を使うと安心

自筆証書遺言は、日付・氏名の自書と押印がそろっていないと無効になることがあります。また、特定の人にすべてを遺すと、ほかの相続人の遺留分(最低限保障された取り分)を侵害し、後でもめる原因になることがあります。書いた後の保管も大切で、自宅にしまうと紛失や改ざんの心配があります。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、安全に預けられ、家庭裁判所の検認も不要になります。確実に遺したいときは公正証書遺言も検討しましょう。

よくある質問

Q. 遺言を書く前に何を準備すればいいですか?

A. まず自分にどんな財産があるかをすべて書き出します。不動産は登記事項証明書の表示どおりに所在や地番を、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで控えておくと、遺言に正確に書けます。次に、自分が亡くなったときに誰が相続人になるかを確認します。配偶者は常に相続人になり、子がいれば子、いなければ親や兄弟姉妹へと変わります。この財産目録と相続人の確認が遺言を書く土台になります。

Q. 配偶者に全財産を遺したいときはどう書きますか?

A. 「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻○○(昭和○年○月○日生)に相続させる。」のように、相手の氏名に生年月日や続柄を添えて書きます。財産を引き継ぐ人を遺言では『相続させる』と表現します。ただし、特定の人にすべてを遺すと、ほかの相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害し、後でもめる原因になることがあるため、遺留分に配慮し、付言事項で理由を残しておくと安心です。

Q. 財産はどの程度くわしく書けばいいですか?

A. どの財産かがはっきりわかるように特定して書くことが大切です。不動産は登記事項証明書の表示どおりに所在・地番・地目・地積を、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで書きます。「自宅」「預金」だけでは、どれを指すのか後で争いになることがあります。相続人も、氏名に続けて生年月日や続柄を添えておくと、誰のことか確実に伝わります。

Q. 付言事項には何を書けばいいですか?

A. 付言事項は遺言の最後に書く家族へのメッセージで、法的な効力はありませんが、想いや感謝を残せる大切な部分です。家族へのお礼や、なぜこの分け方にしたのかの理由、仲良く暮らしてほしいという願いなどを自分の言葉で書きます。分け方の理由を書いておくと、遺された家族が理解しやすく、相続をめぐる争いを防ぐことにもつながります。形式は自由です。

Q. 遺言が無効にならないために気をつけることは?

A. 自筆証書遺言は、全文・日付・氏名の自書と押印がそろっていないと無効になることがあります。日付は「令和○年○月○日」と年月日を特定し、『吉日』のような書き方は避けます。書き間違いの訂正にも決まった方法があるので、不安なときは書き直すほうが確実です。書いた後は法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、紛失や改ざんを防げ、検認も不要になります。確実に遺したいときは公正証書遺言も検討しましょう。

この記事のまとめ

  • 遺言を書く前に、財産を洗い出し、相続人が誰になるかを確認しておく
  • 誰に何をどれだけ遺すかを具体的に書き、日付の年月日・氏名の自書・押印をそろえる
  • 不動産は登記の表示、預金は金融機関・支店・口座番号まで書いて財産を特定する
  • 付言事項で家族への感謝や分け方の理由を残すと、争いを防ぐ助けになる
  • 遺留分に配慮し、書いた後は法務局の保管制度を使うと安心

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月23日

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