家族信託のデメリット7つ|費用や注意点と向く人をやさしく解説
家族信託のデメリットは、『専門家への費用がかかること、対応できる専門家がまだ少ないこと、受託者の負担や、信託した不動産の損失は他の所得と相殺(損益通算)できないこと』などです。認知症対策として注目される便利な仕組みですが、よい面ばかりではありません。長期にわたって当事者を縛る、介護や入院の手続き(身上監護)はカバーできないといった注意点も知ったうえで、利用を検討することが大切です。
親の認知症に備えたい、実家や預金を家族が管理できるようにしておきたい。そんな思いから家族信託を考える方が増えています。この記事では、家族信託の概要を簡単におさえたうえで、見落としがちなデメリットと注意点、向いている人・向かない人、成年後見や遺言との違いまで、やさしく解説します。
この記事でわかること
- 家族信託の主なデメリット7つ
- 向いている人・向かない人の違い
- 成年後見・遺言との使い分け
- 利用前に確認すべきこと
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家族信託とは(まず仕組みを簡単に)
家族信託(民事信託)は、自分の財産の管理を信頼できる家族に任せる仕組みです。
- 財産を預ける人を「委託者」という
- 財産を管理・運用する人を「受託者」という
- 財産から利益を受ける人を「受益者」という
- 認知症対策や資産の承継に使われる
たとえば、親が委託者兼受益者となり、子を受託者にすると、親が認知症になっても子が実家や預金を管理・処分できます。判断能力が下がると銀行口座が凍結されたり不動産が売れなくなる「資産の凍結」を防げるのが大きなメリットです。遺言のように次の世代へ財産を引き継ぐ設計もできます。ただし、便利な反面、次に挙げるようなデメリットや注意点もあります。
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家族信託の主なデメリット7つ
家族信託には、利用前に知っておきたいデメリットがいくつかあります。
- 費用がかかる:契約の設計や書類作成で専門家への報酬が必要
- 専門家が少ない:対応できる専門家がまだ多くない
- 受託者の負担:財産管理の責任や手間が受託者にかかる
- 損益通算ができない:信託した不動産の損失は他の所得と相殺できない
- 長期の拘束:長い年月、当事者を縛ることになる
- 身上監護はできない:介護や入院の契約手続きはカバーしない
- 家族間トラブル:財産管理をめぐり当事者間でもめる可能性
とくに見落とされやすいのが「損益通算ができない」点です。信託した不動産(賃貸物件など)で赤字が出ても、信託していない他の所得と相殺して税金を減らすことができません。賃貸経営を信託に組み込む場合は、この税務上の取り扱いを事前に専門家へ確認しておくことが大切です。
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費用と専門家の少なさという現実的な壁
家族信託を始めるときに最初にぶつかるのが、費用と専門家の問題です。
- 契約内容の設計や書類作成に専門家報酬がかかる
- 不動産を信託する場合は登記の費用も必要
- 家族信託に詳しい専門家はまだ多くない
- 知識や経験に差があり、相談先選びが難しい
家族信託は、一人ひとりの家庭の事情に合わせて契約をオーダーメイドで設計します。そのため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するのが一般的で、初期費用は高めになりがちです。さらに、家族信託は比較的新しい仕組みのため、深く対応できる専門家がまだ多くないのが実情です。経験の浅い専門家に頼むと、設計に不備が出る恐れもあります。複数の専門家に相談し、実績や説明のわかりやすさで選ぶとよいでしょう。
04
受託者の負担・長期拘束・身上監護のこと
家族信託は、財産を任される受託者(多くは子)に負担が集中します。
- 受託者は財産を分けて管理し、記録を残す義務がある
- 受益者のために誠実に管理する責任を負う
- 信託は何年、何十年と続き、当事者を長く縛る
- 介護・入院・施設入所などの手続きは対象外
家族信託でできるのは、あくまで「財産の管理・処分」です。介護サービスの契約、入院や施設入所の手続きといった「身上監護」はカバーしません。ここが成年後見との大きな違いです。身上監護まで備えたい場合は、家族信託と任意後見を組み合わせるなど、目的に応じた設計が必要になります。
05
向いている人・向かない人
家族信託は万能ではなく、向き不向きがあります。
- 向いている人:認知症に備え実家や預金を凍結させたくない
- 向いている人:信頼でき、管理を任せられる家族がいる
- 向いている人:賃貸物件など管理が必要な財産がある
- 向かない人:財産を任せられる家族がいない
- 向かない人:介護や入院手続きの支援が主な目的
家族信託は、信頼して財産を託せる家族がいることが前提です。受託者になる家族がいない場合や、家族の仲が良くない場合は、トラブルのもとになりかねません。また、財産管理よりも介護や生活面の支援が必要なら、成年後見のほうが適しています。一方で、認知症による資産凍結を防ぎたい、将来の承継先まで決めておきたいという目的なら、家族信託の強みが生きます。自分の目的に合うかを見極めましょう。
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成年後見・遺言との違いと利用前の確認
家族信託と似た制度に、成年後見や遺言があります。違いを知って使い分けましょう。
- 成年後見:判断能力が落ちた後に利用、身上監護も担える
- 家族信託:元気なうちに契約、財産管理に強いが身上監護は不可
- 遺言:死後の財産の渡し先を決める。生前の管理はできない
- 目的によっては併用したほうがよい場合もある
成年後見は、本人の判断能力が下がってから家庭裁判所が関わる制度で、介護や入院の手続きまで支えられますが、財産を積極的に活用しにくい面があります。遺言は死後の財産の行き先を決めるもので、生前の管理には使えません。家族信託は元気なうちに始め、生前の財産管理から承継までをカバーできますが、身上監護はできません。利用前には、目的・費用・受託者の適性・税務の扱いを家族で確認し、必ず専門家に相談しましょう。仕組みが複雑なだけに、信頼できる専門家選びが成功のカギになります。
よくある質問
Q. 家族信託の一番のデメリットは何ですか?
A. もっとも現実的なデメリットは、契約の設計や書類作成に専門家への報酬がかかり、初期費用が高めになる点です。さらに、家族信託に詳しい専門家がまだ多くないこと、財産を管理する受託者に負担と責任がかかること、信託した不動産の損失を他の所得と損益通算できないことも重要な注意点です。便利な仕組みですが、こうしたデメリットも知ったうえで検討しましょう。
Q. 家族信託で介護や入院の手続きはできますか?
A. できません。家族信託でできるのは財産の管理や処分であり、介護サービスの契約や入院・施設入所などの手続き(身上監護)はカバーしません。これは成年後見との大きな違いです。身上監護まで備えたい場合は、家族信託と任意後見を組み合わせるなど、目的に合わせた設計が必要になります。生活面の支援が主な目的なら成年後見が適しています。
Q. 信託した不動産の損失が損益通算できないとはどういうことですか?
A. 信託した賃貸物件などで赤字(損失)が出ても、信託していない他の所得と相殺して税金を減らすことができない、という税務上の取り扱いです。賃貸経営を家族信託に組み込むと、この点で不利になる場合があります。賃貸物件を信託する予定があるなら、事前に税理士など専門家へ税務の扱いを確認しておくと安心です。
Q. 家族信託と成年後見・遺言はどう使い分けますか?
A. 成年後見は判断能力が落ちた後に利用し、介護や入院などの身上監護も担えます。遺言は死後の財産の渡し先を決めるもので生前の管理はできません。家族信託は元気なうちに契約し、生前の財産管理から承継までをカバーできますが身上監護はできません。目的によっては家族信託と任意後見を併用するなど、組み合わせて使うこともあります。
Q. 家族信託はどんな人に向いていますか?
A. 認知症による資産の凍結を防ぎたい人、信頼して財産管理を任せられる家族がいる人、賃貸物件など管理が必要な財産がある人に向いています。逆に、財産を任せられる家族がいない、家族の仲が良くない、介護や生活面の支援が主な目的という場合は向きません。自分の目的に合うかを見極め、利用前に必ず専門家へ相談することが大切です。
この記事のまとめ
- 家族信託は委託者・受託者・受益者で構成し、認知症対策や資産承継に使われる仕組み
- 主なデメリットは費用が高め・専門家が少ない・受託者の負担・損益通算できない・長期拘束・身上監護不可・家族間トラブル
- 信頼して財産を託せる家族がいる人に向き、介護手続きが主目的なら成年後見が適する場合も
- 成年後見は身上監護まで、遺言は死後の承継、家族信託は生前の財産管理が得意と使い分ける
- 利用前に目的・費用・税務・受託者の適性を確認し、必ず信頼できる専門家に相談する
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月23日





