空き家売却でかかる税金|譲渡所得税と3,000万円控除を解説
相続した空き家を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して譲渡所得税がかかりますが、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」を使えば、条件を満たす場合に譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。控除には昭和56年5月31日以前築であることなど細かい要件があるため、事前確認が欠かせません。
実家を相続し空き家として売却を検討する際、「税金がどれくらいかかるのか」「控除が使えるのか」が分からず不安になる方は多いはずです。この記事では空き家売却にかかる税金の種類、3,000万円特別控除の適用条件、諸費用、確定申告の流れまで具体的に解説します。
この記事でわかること
- 空き家売却でかかる税金の種類(譲渡所得税・印紙税・登録免許税)
- 被相続人の空き家の3,000万円特別控除の適用条件
- 譲渡所得税の計算方法と税率(所有期間で変動)
- 確定申告の流れと必要書類
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空き家売却後の確定申告では、登記簿謄本や売買契約書など多くの書類が必要になります。ファイルボックスやクリアファイルで整理しておくと申告作業がスムーズです。
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01 空き家売却でかかる税金の全体像
空き家を売却する際には、主に次の税金・費用が発生します。
- 譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税):売却益(譲渡所得)に対してかかる税金で、最も金額が大きくなりやすい項目です。
- 印紙税:売買契約書に貼付する印紙代。売却価格に応じて数千円〜数万円程度。
- 登録免許税:相続登記や抵当権抹消登記にかかる税金。相続登記は固定資産税評価額の0.4%が目安です。
この中でも譲渡所得税は「特別控除」の適用有無で金額が大きく変わるため、まず自分のケースで控除が使えるかを確認することが重要です。
【ポイント】相続登記は2024年4月から義務化されています。売却するには登記名義を相続人に変更する必要があるため、未登記のまま放置している場合は早めに手続きを進めましょう。
これらの税金・費用に加えて、住民税は売却した翌年度の課税に反映されるため、給与や年金からの天引き(特別徴収)を受けている方は、翌年の税額が一時的に増える点にも注意が必要です。会社員の場合、勤務先の給与担当者に住民税の増加について事前に伝えておくと、翌年度の手取り額の変化に慌てずに済みます。
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02 譲渡所得税の計算方法と税率
譲渡所得税は「譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除」で計算した金額に税率をかけて算出します。
- 取得費:被相続人が購入した際の価格(不明な場合は売却価格の5%を概算取得費とできます)
- 譲渡費用:仲介手数料、印紙税、解体費用などが該当します
- 税率:所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」は約20%(所得税15%+住民税5%、別途復興特別所得税)、5年以下の「短期譲渡所得」は約39%(所得税30%+住民税9%)
相続した不動産の所有期間は、被相続人が取得した時点から通算されるため、多くの場合「長期譲渡所得」に該当し税率が低くなります。取得費が不明な古い実家の場合、概算取得費(5%)を使うと譲渡所得が大きくなりやすいため、特別控除の活用がより重要になります。
復興特別所得税は、所得税額に対して2.1%が上乗せされる税金で、東日本大震災からの復興財源に充てるために2013年から導入されています。長期譲渡所得の場合、所得税15%に対して2.1%を乗じた0.315%が加算されるため、実質的な税率は20.315%となります。細かい数字ですが、正確なシミュレーションをする際には見落とさないようにしましょう。
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03 空き家の3,000万円特別控除の適用条件
相続した空き家を売却する際の代表的な節税策が「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です。
- ①昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準)
- ②区分所有建物(マンション等)でないこと
- ③相続開始直前まで被相続人が一人で住んでいたこと
- ④相続から売却まで空き家のままであること(事業用・貸付用に使っていないこと)
- ⑤売却代金が1億円以下であること
- ⑥相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- ⑦売却時に耐震基準を満たすよう改修するか、家屋を解体して更地で売却すること
これらの要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。適用期限や要件は税制改正で変更されることがあるため、売却前に必ず税理士または税務署に最新の要件を確認しましょう。
この特例は当初、令和5年度税制改正により適用期限が令和9年12月31日まで延長されています。また、相続人が3人以上いる場合は控除額が最大2,000万円に減額されるなど、細かいルールの変更も行われています。制度が改正されるたびに条件が変わる可能性があるため、実際に売却する年の最新情報を国税庁のウェブサイトや税務署で必ず確認することが欠かせません。
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04 特別控除を使った場合の税額シミュレーション
具体例で税額のイメージを確認しましょう。
- 売却価格:2,000万円
- 取得費(概算5%):100万円
- 譲渡費用(仲介手数料等):70万円
- 譲渡所得:2,000万円−100万円−70万円=1,830万円
この場合、特別控除がなければ長期譲渡所得として約20%(復興特別所得税込みで約20.315%)の税率がかかり、税額はおよそ370万円程度になります。しかし3,000万円特別控除が適用できれば、譲渡所得1,830万円が控除額の範囲内に収まるため、譲渡所得税は0円になります。
このように、特別控除が使えるかどうかで税額に数百万円単位の差が生じることもあるため、要件確認は非常に重要です。
逆に譲渡所得が3,000万円を超える高額な売却の場合は、控除しきれない部分に対して課税されます。例えば譲渡所得が4,000万円だった場合、控除後の課税対象額は1,000万円となり、この金額に対して長期譲渡所得の税率が適用されます。高額な物件を売却する場合ほど、事前のシミュレーションと専門家への相談が重要になります。
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05 その他の税金・費用と節税の工夫
譲渡所得税以外にも、売却に伴う費用があります。
- 印紙税:売買契約書に応じた印紙を貼付。1,000万円超5,000万円以下の契約で1万円程度が目安(軽減措置適用時)。
- 登録免許税:相続登記時にかかる税金で、固定資産税評価額の0.4%。
- 仲介手数料:不動産会社への手数料で、売却価格の3%+6万円+消費税が上限の目安。
節税の工夫としては、取得費が分かる書類(購入時の契約書等)を探すことも有効です。概算取得費(5%)より実額の方が大きい場合、譲渡所得を圧縮でき税額を抑えられます。古い実家の場合でも、権利証や当時の契約書が残っていないか確認してみましょう。
また、相続税を実際に納めている場合は「取得費加算の特例」も検討する価値があります。相続開始から3年10ヶ月以内に売却すれば、支払った相続税額の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。ただし前述の3,000万円特別控除とは併用できないため、どちらがより有利かをシミュレーションした上で選択する必要があります。
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06 確定申告の流れと必要書類
空き家を売却して譲渡所得が発生した場合(特別控除で税額が0円になる場合も含む)、確定申告が必要です。
- STEP1:売却の翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う
- STEP2:必要書類を準備する:売買契約書の写し、登記事項証明書、被相続人の戸籍謄本(相続関係を示すもの)、耐震基準適合証明書または解体証明書(特別控除適用時)など
- STEP3:譲渡所得の計算書を作成する:国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと計算がしやすくなります
- STEP4:申告書を提出する:税務署への持参、郵送、e-Taxでの電子申告が可能です
特別控除を適用して税額が0円になる場合でも、申告自体は必須です。申告を忘れると控除が適用されず、後から追徴課税されるリスクがあるため注意しましょう。
確定申告に不慣れな方は、税務署の無料相談窓口や、確定申告時期に自治体が開設する臨時相談会を利用するのもおすすめです。特に3,000万円特別控除のような複雑な特例を使う場合は、書類の不備や記載ミスによる申告のやり直しを避けるためにも、税理士に依頼して申告書を作成してもらうと安心です。報酬相場は数万円〜10万円程度ですが、控除額の大きさを考えれば十分に見合う費用といえます。
この記事のまとめ
- 空き家売却では譲渡所得税・印紙税・登録免許税などの税金・費用がかかる
- 被相続人の空き家の3,000万円特別控除を使えば税額が大きく圧縮できる
- 控除には昭和56年5月31日以前築、相続から3年以内の売却など複数の要件がある
- 取得費が不明な場合は売却価格の5%で概算するが実額が分かれば有利になることも
- 控除適用で税額が0円でも売却翌年の確定申告は必須
参考・出典
※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 空き家・実家の片付け担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年07月02日
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