相続した実家を売却する際は、まず相続登記を済ませたうえで、売却益に応じた譲渡所得税がかかります。要件を満たせば「被相続人の空き家の3,000万円特別控除」や「取得費加算の特例」を使って税負担を抑えられるため、売却前に制度を理解しておくことが重要です。

親が亡くなり実家を相続した後、住む予定がなければ売却を検討する方が多いはずです。しかし相続登記や税金の仕組みが複雑で、何から手を付ければ良いか分からず立ち止まってしまうケースもよく見られます。この記事では実家売却にかかる税金の種類、控除制度、売却までの具体的な流れを解説します。

この記事でわかること

  • 実家売却前に必要な相続登記の手続き(2024年義務化)
  • 譲渡所得税の計算方法と税率の考え方
  • 使える控除制度(3,000万円特別控除・取得費加算の特例)
  • 実家売却の具体的な流れと必要書類

★ あわせて準備したい

相続手続きに必要な書類をファイリングする

実家売却には戸籍謄本や登記簿謄本など多くの書類が必要です。バインダーやインデックスシールで整理しておくと、複数の窓口を回る際もスムーズです。

3年以内 相続登記の申請義務期限
2024年4月施行
最大3,000万円 空き家譲渡所得の特別控除額
要件を満たす場合
3〜6ヶ月程度 実家売却の平均的な成約までの期間
査定〜引き渡し

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01 実家売却の前提|相続登記を済ませる

実家を売却するには、まず名義を被相続人から相続人に変更する相続登記を完了させる必要があります。

  • 相続登記の義務化:2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必要になりました。
  • 未登記の実家は売却不可:名義が被相続人のままでは、原則として売却手続きを進められません。
  • 費用の目安:登録免許税は固定資産税評価額の0.4%、司法書士に依頼する場合の報酬は5万〜15万円程度が相場です。

実家じまいや売却を検討し始めたら、まず相続登記が済んでいるかを確認しましょう。未登記のまま放置すると、過料の対象になる可能性もあります。

【ポイント】相続人が複数いる場合、遺産分割協議書の作成も必要です。誰が実家を相続し売却するのかを早めに話し合っておくと、後の手続きがスムーズに進みます。

相続登記の手続きは、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書など、揃えるべき書類が多岐にわたります。特に被相続人の戸籍を出生までさかのぼって集める作業は手間がかかるため、早めに着手することをおすすめします。自分で行うのが難しい場合は、司法書士に一括で依頼すれば書類収集から登記申請までまとめて任せられます。

01 実家売却の前提|相続登記を済ませる
写真: Pavel Danilyuk / Pexels

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02 譲渡所得税の仕組みと税率

実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税がかかります。

  • 譲渡所得の計算式:売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除
  • 取得費:親が購入した際の価格。不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として使えます。
  • 税率:所有期間5年超の長期譲渡所得で約20%、5年以下の短期譲渡所得で約39%(いずれも復興特別所得税を含む概算)

相続した不動産は被相続人の取得時期を引き継ぐため、多くの場合「長期譲渡所得」に該当し税率が低くなります。古い実家で取得費が分からない場合は概算取得費(5%)を使うことになりますが、その分譲渡所得が大きくなりやすいため、控除制度の活用が重要になります。

取得費を証明する書類としては、当時の売買契約書だけでなく、住宅ローンの償還表や登記済権利証(旧不動産登記済証)に記載された金額が参考になることもあります。実家の書類を整理する際は、こうした古い書類も安易に処分せず、取得費が分かりそうな資料は一通り確認してから判断するようにしましょう。

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03 使える控除制度|3,000万円特別控除と取得費加算の特例

実家売却の税負担を抑える代表的な制度を2つ紹介します。

①被相続人の空き家の3,000万円特別控除

昭和56年5月31日以前築、相続開始直前まで被相続人が一人で住んでいた、相続から3年を経過する年の12月31日までに売却するなどの要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

②取得費加算の特例

相続税を支払っている場合、相続税額の一部を取得費に加算できる特例です。相続開始から3年10ヶ月以内に売却することが条件で、相続税の負担が大きかった場合に有効です。

①と②は併用できないため、どちらが有利か試算して選ぶ必要があります。一般的には、相続税をあまり払っていない場合は①、相続税を多く払った場合は②が有利になる傾向があります。

どちらの特例を選ぶべきか判断が難しい場合は、実際に両方のパターンで税額を試算してみるのが確実です。国税庁の確定申告書等作成コーナーや、税理士による無料相談を活用すれば、具体的な金額をもとにシミュレーションできます。数万円の相談料で数十万円〜数百万円の節税につながることもあるため、専門家への相談は決して無駄な出費ではありません。

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04 実家売却でかかるその他の費用

税金以外にも実家売却には諸費用がかかります。

  • 仲介手数料:売却価格の3%+6万円+消費税が上限の目安(例:2,000万円の売却で約72万円+消費税)
  • 印紙税:売買契約書に貼付。契約金額に応じて数千円〜数万円程度
  • 解体費用(更地で売る場合):木造30坪程度で150万〜250万円程度
  • 家財の片付け費用:遺品整理・不用品処分で20万〜60万円程度

これらを合計すると、売却価格から差し引かれる費用は決して小さくありません。売却前に不動産会社へ査定を依頼する際、諸費用も含めた手取り額のシミュレーションをしてもらうと安心です。

これらの諸費用に加えて、実家の売却が完了するまでの固定資産税・都市計画税も発生し続けます。年の途中で売却が成立した場合、多くの取引では引き渡し日を境に売主・買主で税額を日割り精算する慣習があります。売却のタイミングによって精算額が変わるため、契約時に精算方法をしっかり確認しておきましょう。

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02 譲渡所得税の仕組みと税率
写真: Thirdman / Pexels

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05 実家売却の具体的な流れ

実家売却は次のようなステップで進みます。

  • STEP1:相続人・遺産分割協議を確定する:誰が実家を相続し売却するか合意します。
  • STEP2:相続登記を行う:法務局で名義変更手続きを行います。
  • STEP3:家財の片付けを行う:遺品整理業者や自力での仕分けを進めます。
  • STEP4:不動産会社に査定・媒介を依頼する:複数社に査定を依頼し比較するのがおすすめです。
  • STEP5:売買契約・引き渡し:買主が決まれば契約を結び、引き渡しと同時に代金を受領します。
  • STEP6:翌年の確定申告:譲渡所得が発生した場合、控除適用の有無にかかわらず申告が必要です。

相続登記から売却完了まで、通常3〜6ヶ月程度かかります。スケジュールに余裕を持って進めましょう。

立地や建物の状態によっては、売却活動が長期化することもあります。特に地方の実家や、駅から離れた立地の物件は買い手が見つかりにくい傾向があるため、査定時に不動産会社から「想定される売却期間」の見通しも聞いておくとスケジュールが立てやすくなります。売却を急ぐ事情がある場合は、買取業者への直接売却という選択肢も検討する価値があります。

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06 確定申告に必要な書類と注意点

実家を売却した翌年には確定申告が必要です。準備しておきたい書類を整理します。

  • 売買契約書の写し:売却価格を証明する書類
  • 登記事項証明書:不動産の登記情報
  • 戸籍謄本一式:被相続人と相続人の関係を証明する書類(特別控除適用時)
  • 耐震基準適合証明書または家屋の解体証明書:3,000万円特別控除を使う場合に必要
  • 取得費が分かる書類(購入時の契約書等):あれば譲渡所得を抑えられる可能性があります

申告期限は売却した年の翌年2月16日〜3月15日です。控除適用で税額が0円になる場合でも申告は必須のため、忘れず手続きしましょう。不明点があれば税務署や税理士に早めに相談することをおすすめします。

確定申告はe-Taxを利用すればオンラインで完結でき、税務署に出向く手間を省けます。マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマートフォンでの読み取りに対応していれば、自宅から24時間いつでも申告書を作成・提出できます。控除の適用を含めた複雑な申告に不安がある場合でも、国税庁の作成コーナーは質問形式で入力を進められるため、初めてでも比較的取り組みやすい仕組みになっています。

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この記事のまとめ

  • 実家売却にはまず相続登記の完了が前提となり2024年から申請が義務化されている
  • 譲渡所得税は所有期間5年超で約20%、5年以下で約39%が目安
  • 3,000万円特別控除と取得費加算の特例は併用不可で有利な方を選ぶ必要がある
  • 仲介手数料・印紙税・解体費用・片付け費用など諸費用も考慮して計画する
  • 売却翌年は控除適用でも確定申告が必須、期限は2月16日〜3月15日

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 空き家・実家の片付け担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年07月02日

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