建物の管理費用はいくら?空き家の自主管理と代行の相場・内訳
使っていない建物の管理費用は、『自分で管理するなら固定資産税・火災保険・光熱費などで年10万〜30万円ほど、空き家管理代行を使うなら月5,000〜1万円前後が目安』です。空き家や実家を放置すると、これらの維持費に加え、傷んだときの修繕費や解体費、特定空家に指定されたときの固定資産税の増額など、かえって大きなコストがかかります。費用の内訳を知れば、持ち続けるか手放すかの判断がしやすくなります。
実家じまいや相続では、誰も住まなくなった建物の管理費用が長く家計にのしかかります。「毎年いくらかかるのか」「代行に頼むと高いのか」と迷う方に向けて、この記事では建物の管理費用の内訳と相場、抑える方法、売却や解体との費用比較を具体的な数字で解説します。
この記事でわかること
- 自分で管理する場合の費用の内訳と目安
- 空き家管理代行サービスの月額相場と内容
- 管理を怠ったときに増えるコスト
- 費用を抑える方法と売却・解体との比較
★ あわせて準備したい
空き家の見回りを楽にするなら
遠方の建物を自分で管理するなら、室内の湿気やカビ対策が欠かせません。置くだけの除湿剤があると、見回りの回数を減らせて便利です。
01
建物の管理費用とは(かかる費目の全体像)
建物の管理費用とは、誰も住んでいない家や空き家を維持するためにかかるお金の総称です。
- 固定資産税・都市計画税(毎年かかる税金)
- 火災保険・地震保険の保険料
- 電気・水道などの基本料金(最低限の維持用)
- 庭木の手入れ・草刈り・清掃などの費用
- 遠方なら見回りのための交通費
住んでいなくても、建物を持っているだけで税金や保険料は毎年かかります。さらに、換気や通水のために電気・水道を最低限残すと基本料金が発生し、庭の草木が伸びれば手入れ費用も必要です。これらを合計すると、自分で管理する場合でもおおむね年10万〜30万円ほどになるのが一般的で、立地や建物の大きさによってはさらにかかります。まずはどんな費目があるかを把握することが、費用を見通す第一歩です。費目を一つひとつ書き出して年間の合計額を計算しておくと、この先その建物を持ち続けるべきか、それとも手放すべきかを冷静に判断する材料になります。とくに相続した実家の場合、誰も使っていないのに毎年数十万円が出ていく状態が何年も続くと、家計への負担は決して小さくありません。
02
自分で管理する場合の費用の内訳と目安
自主管理では、税金・保険・光熱費・交通費が主な費目になります。
- 固定資産税・都市計画税:年5万〜15万円程度(評価額・地域で大きく変動)
- 火災・地震保険:年1万〜5万円程度(空き家は割高になりやすい)
- 電気・水道の基本料金:月1,000〜2,000円程度(年1万〜3万円)
- 庭木の剪定・草刈り:年数千円〜数万円(業者に頼むと1回1万円前後)
- 交通費:遠方なら往復で数千円〜数万円×回数
もっとも大きいのは固定資産税で、評価額によっては年15万円を超えることもあります。火災保険は、空き家を『住宅』ではなく『一般物件』として扱われると保険料が上がる場合があるため、契約内容の確認が必要です。電気や水道は完全に止めると換気や通水ができず建物が傷みやすいため、最低限残す方が結果的に安く済むこともあります。遠方の実家の場合は、見回りのたびにかかる交通費が意外と大きな負担になります。たとえば月1回、新幹線や高速道路を使って往復すると、1回数千円〜1万円以上かかり、年間では数万円から十数万円に達することもあります。これらに加えて、台風や大雪のあとの臨時の点検、給湯器や雨どいといった設備の不具合への対応など、突発的な出費が重なる点も見落としがちです。年間の合計を一覧にしておくと、実際にどの費目が重いのかが見えてきます。
03
空き家管理代行サービスの費用相場と内容
遠方で自分では通えない場合、空き家管理代行サービスを使う方法があります。
- 月1回の見回りプランで月5,000〜1万円前後が目安
- 通風・通水・換気・郵便物の確認などが基本内容
- 庭の手入れや清掃は別料金のことが多い
- 報告書や写真で状態を知らせてくれるサービスもある
空き家管理代行の相場は、月1回の見回りで月5,000〜1万円前後が一般的です。年間にすると6万〜12万円ほどで、内容は窓を開けての換気、水道の通水、ポストの整理、外観チェックなどが中心です。草刈りや室内清掃、設備の点検などは別料金になることが多いため、基本料金に何が含まれるかを必ず確認しましょう。遠方への交通費や手間を考えると、自分で何度も通うより代行の方が安く済むケースもあります。自治体やNPOが低料金で見守りを行っている地域もあります。
04
管理を怠ったときに増えるコスト
管理費用を惜しんで放置すると、かえって大きな出費につながります。
- 雨漏り・腐食・シロアリなどの修繕費(数十万円〜)
- 老朽化が進むと解体費が必要に(木造で100万円以上が目安)
- 『特定空家』に指定されると固定資産税の軽減が外れる
- 軽減が外れると土地の固定資産税が最大6倍になることも
空き家を放置して倒壊の危険などがあると、空家等対策の法律にもとづき市区町村から『特定空家』や『管理不全空家』に指定されることがあります。指定されて勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減(小規模住宅用地で6分の1)が外れ、土地の税額が最大で約6倍に跳ね上がる場合があります。さらに、傷んだ建物の修繕や、最終的な解体には木造でも100万円以上かかるのが一般的です。こまめな管理費用は、こうした大きな出費を防ぐための保険のような意味を持ちます。
05
建物の管理費用を抑える方法
同じ建物でも、工夫しだいで管理費用は下げられます。
- 火災保険を空き家向けプランで見直し、補償を最適化する
- 電気・水道は完全に止めず、最低限残して劣化を防ぐ
- 庭木を低く剪定し直し、草刈りの頻度を減らす
- 近くの親族や近隣に簡単な見守りを頼む
- 自治体の空き家管理の助成や相談窓口を活用する
火災保険は、空き家の使い方に合ったプランに見直すだけで保険料が変わることがあります。光熱費は、完全に止めると換気や通水ができず建物が早く傷むため、最低限だけ残す方が長い目で見て安く済むことが多いです。庭木は一度低く整えておくと、その後の手入れが楽になります。自治体によっては空き家の管理や活用に助成金や無料相談を設けている場合があるので、市区町村の空き家相談窓口を確認しましょう。また、近くに住む親族や信頼できる近隣の方に郵便物の確認や外観のチェックだけでも頼めると、代行費用や交通費をかけずに最低限の見守りができます。費用を抑える工夫は一つだけでなく、保険・光熱費・庭・見守りといった複数の費目を少しずつ見直すことで、年間の合計額をまとまった金額で下げられます。
06
持ち続ける費用と売却・賃貸・解体の比較
管理費用がかさむなら、手放す選択肢と費用を比べてみましょう。
- 持ち続ける:毎年の管理費用が続く(年10万〜30万円程度)
- 売却:仲介手数料などはかかるが、以後の維持費がなくなる
- 賃貸に出す:家賃収入は得られるが修繕・管理の手間が残る
- 解体:解体費(木造で100万円以上)はかかるが土地として活用しやすい
建物を持ち続ける限り、管理費用は毎年かかり続けます。10年なら100万〜300万円ほどの累計になる計算です。一方、売却すれば仲介手数料や登記費用はかかるものの、その後の維持費はなくなります。賃貸は収入が見込める半面、修繕や入居者対応の手間が残ります。解体は費用が大きいものの、更地にすれば売りやすくなる場合があります。ただし建物を壊すと土地の固定資産税の軽減が外れる点には注意が必要です。判断に迷うときは、まず『今後10年でいくら管理費用がかかるか』を試算し、それと売却で得られる金額や解体費を並べて比べると、感覚ではなく数字で決められます。立地がよく需要がある建物なら早めの売却や賃貸が有利になりやすく、買い手がつきにくい地域なら解体や自治体の空き家バンクへの登録も選択肢になります。いずれにしても、放置して費用と劣化が積み上がる前に方針を決めることが、結果的に総コストを最も小さく抑えるポイントです。
★ あわせて準備したい
遠方の空き家の防犯対策に
人の出入りがない建物は防犯面も心配です。見回りの合間でも様子を確認できる人感センサー付きのライトやカメラがあると安心です。
よくある質問
Q. 使っていない建物の管理費用は年間いくらくらいですか?
A. 自分で管理する場合、固定資産税・都市計画税で年5万〜15万円程度、火災・地震保険で年1万〜5万円程度、電気・水道の基本料金で年1万〜3万円程度、これに庭の手入れや交通費が加わり、合計でおおむね年10万〜30万円ほどが目安です。建物の評価額や立地、大きさによって金額は大きく変わります。
Q. 空き家管理代行サービスの費用相場はどれくらいですか?
A. 月1回の見回りプランで月5,000〜1万円前後が一般的で、年間6万〜12万円ほどです。内容は窓を開けての換気、水道の通水、ポストの整理、外観チェックなどが中心です。草刈りや室内清掃、設備点検は別料金のことが多いため、基本料金に何が含まれるかを確認しましょう。自治体やNPOが低料金で行っている地域もあります。
Q. 建物の管理を怠るとどんなコストがかかりますか?
A. 放置すると雨漏りや腐食、シロアリなどで数十万円以上の修繕費がかかることがあります。老朽化が進めば解体が必要になり、木造でも100万円以上が目安です。さらに『特定空家』などに指定されて勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減が外れ、土地の税額が最大で約6倍になる場合もあります。
Q. 建物の管理費用を抑える方法はありますか?
A. 火災保険を空き家の使い方に合ったプランに見直す、電気や水道は完全に止めず最低限残して劣化を防ぐ、庭木を低く整えて手入れの頻度を減らす、近くの親族に簡単な見守りを頼むなどが有効です。自治体によっては空き家管理の助成金や無料相談を設けている場合があるので、市区町村の空き家相談窓口を確認しましょう。
Q. 持ち続けるのと売却・解体ではどちらが安く済みますか?
A. 持ち続ける限り管理費用は毎年かかり、10年で100万〜300万円ほどの累計になります。売却すれば仲介手数料などはかかるものの以後の維持費はなくなります。解体は木造で100万円以上かかりますが更地にすれば売りやすくなる一方、土地の固定資産税の軽減が外れる点に注意が必要です。それぞれの費用と手間を長期で比べて選びましょう。
この記事のまとめ
- 建物の管理費用は、自主管理で年10万〜30万円、代行で月5,000〜1万円前後が目安
- 自主管理の内訳は固定資産税・火災保険・光熱費・庭の手入れ・交通費
- 放置すると修繕・解体費に加え、特定空家指定で土地の固定資産税が最大6倍になることも
- 保険の見直し・最低限の通水通電・自治体の助成活用で費用は抑えられる
- 持ち続ける費用がかさむなら、売却・賃貸・解体と費用を比べて判断する
あわせて読みたい
GUIDE
空き家の管理方法|放置リスク・自分でやる頻度と管理サービスの費用
GUIDE
空き家の遺品整理|進め方・費用とその後の管理・売却まで
GUIDE
不動産管理会社とは|役割・費用・空き家や相続物件の管理の頼み方
EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 空き家・実家の片付け担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月20日




