遺産分割協議書は、専門家に依頼しなくても相続人が自分で作成でき、正しく作れば完全な法的効力を持ちます。費用を抑えたい方や内容がシンプルなケースでは、ひな形を活用して自力で対応することが十分可能です。

「書き方が分からない」「どの書類を揃えれば良いのか」と不安を感じている方は多いでしょう。この記事では、遺産分割協議書の必須記載事項・ひな形・必要書類・よくあるミスまでをまとめて解説します。手続きの全体像をつかんで、スムーズに相続を進めましょう。

この記事でわかること

  • 遺産分割協議書を自分で作成する手順と必須記載事項
  • 相続人全員の署名・実印・印鑑証明書が必要な理由
  • 銀行・不動産など手続き先ごとの注意点と添付書類
  • 書き方ミスで無効にならないための確認ポイント

★ あわせて準備したい

相続手続きをさらに詳しく知りたい方へ

遺産分割協議書の作成から相続登記・銀行手続きまで、専門書があれば全体の流れを安心して把握できます。実務的なひな形集が付いた書籍を活用すると、記載漏れのリスクを大幅に減らせます。

公正証書 不要
自署+実印で法的効力あり
印鑑証明書 発行3ヶ月以内
相続人全員分が必要
相続登記義務化 2024年4月1日〜
3年以内・違反で10万円以下の過料

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01 遺産分割協議書とは?自分で作成できる理由

遺産分割協議書とは、相続人全員が話し合い(遺産分割協議)で決めた「誰がどの財産を取得するか」という合意内容を書面化したものです。法律上、遺産分割協議書の作成は司法書士・弁護士などの専門家に依頼しなければならないという規定はなく、相続人自身が作成しても完全な法的効力があります

  • 用紙・書式に制限なし(A4縦書き・横書きどちらでも可)
  • 手書き・パソコン作成どちらでも有効
  • 公正証書にする必要はない(任意)
  • 相続人全員の自筆署名と実印、印鑑証明書が揃えば法的に有効

ただし、不動産の相続登記や銀行の相続手続きでは遺産分割協議書の提出が求められます。書き方に不備があると手続きが差し戻されるため、必須記載事項を正確に押さえることが重要です。費用をかけずに自分で作成する場合は、ひな形を参考にしながら慎重に作成しましょう。

01 遺産分割協議書とは?自分で作成できる理由
写真: RDNE Stock project / Pexels

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02 遺産分割協議書の必須記載事項5つ

遺産分割協議書には、定められた様式はありませんが、法務局や金融機関が受け付けるために必ず盛り込むべき情報があります。以下の5つの要素が揃っていれば、自作のものでも問題なく使用できます。

  • ①タイトル:「遺産分割協議書」と明記する
  • ②被相続人の情報:氏名・生年月日・死亡日・本籍地・最後の住所(住民票の住所)を正確に記載
  • ③相続人全員の情報と取得財産の明記:各相続人の氏名・住所・取得する財産(不動産は地番・家屋番号まで、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで記載)
  • ④全員の自筆署名と実印による押印:記名(パソコン入力)ではなく直筆の署名が必要
  • ⑤印鑑証明書の添付:発行から3ヶ月以内のものを相続人全員分用意する

【重要】印鑑証明書は「発行から3ヶ月以内」のものが必要です。手続きが長引くと期限切れになるため、相続人全員が協議書への署名押印を完了する直前に取得するのが確実です。市区町村の窓口またはコンビニのマイナンバーカード対応端末で取得できます。

特に不動産を含む場合、登記簿謄本(全部事項証明書)と一致した情報を記載しないと法務局で差し戻されます。登記簿謄本は法務局またはオンラインで取得できますので、必ず確認してから記載しましょう。

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03 ひな形で分かる書き方の基本テンプレート

自分で作成する際は、以下のひな形の構成を参考にしてください。パソコンで作成してA4用紙に印刷し、署名・押印する方法が一般的です。

  • 冒頭部分:「遺産分割協議書」とタイトルを記載し、「被相続人 氏名(生年月日 ○年○月○日生、死亡日 ○年○月○日、本籍 ○○県○○市…、最後の住所 ○○県○○市…)の遺産について、相続人全員で協議した結果、下記のとおり分割することに合意した。」と記載
  • 財産の記載(不動産):「1. 下記不動産を相続人 氏名 が取得する。/所在:○○市○○町○丁目/地番:○○番○/地目:宅地/地積:○○㎡」のように登記簿の記載と一字一句一致させる
  • 財産の記載(預貯金):「2. ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567 の預金全額を相続人 氏名 が取得する。」と記載
  • 末尾の合意文言:「以上のとおり相続人全員が合意し、各自署名・押印する。」と記載し、日付・相続人全員の住所・氏名(自筆)・実印を押印

書類が複数ページになる場合は、ページとページの境目に全員の割印(捨印)を押すことで、書類の一体性を証明します。また、協議書は相続人の人数分コピーを作成し、全員が原本を1部ずつ保管するのが理想的です。

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04 必要書類の一覧と取得方法

遺産分割協議書を作成・使用するために必要な書類は、協議書本体以外にも複数あります。手続き先(法務局・金融機関など)によって求められる書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで):法定相続人を確定するために必要。本籍地の市区町村窓口で取得
  • 被相続人の住民票の除票:最後の住所を証明するために使用
  • 相続人全員の戸籍謄本:相続人であることの証明
  • 相続人全員の印鑑証明書:発行3ヶ月以内のものが必要(市区町村窓口またはコンビニで取得)
  • 相続人全員の住民票:不動産登記では必要になることが多い
  • 不動産の登記簿謄本(全部事項証明書):法務局またはオンライン(登記・供託オンライン申請システム)で取得
  • 固定資産評価証明書:相続登記の登録免許税計算に必要(市区町村で取得)

【登録免許税の計算】不動産を相続する場合、法務局への相続登記申請時に登録免許税を納付します。税額は「固定資産税評価額×0.4%」です(法務省の基準)。例えば評価額2,000万円の不動産なら8万円の納付が必要です。収入印紙で納付します。

戸籍謄本の収集は、本籍地が複数の市区町村にまたがる場合に手間がかかります。時間に余裕を持って準備を始めましょう。なお、2024年3月からは広域交付制度により、最寄りの市区町村窓口で他の市区町村の戸籍謄本も取得できるようになりました。

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02 遺産分割協議書の必須記載事項5つ
写真: www.kaboompics.com / Pexels

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05 相続登記・銀行手続きでの提出と注意点

作成した遺産分割協議書は、主に不動産の相続登記と銀行口座の解約・名義変更の手続きで使用します。それぞれ注意点が異なります。

  • 相続登記(法務局への申請):2024年4月1日から義務化。相続を知った日から3年以内に申請しなければならず、違反した場合は10万円以下の過料が課されます(法務省)。遺産分割協議書・相続関係を証する戸籍謄本一式・印鑑証明書・住民票・固定資産評価証明書を添付して申請します
  • 銀行口座の解約・払戻し:各金融機関の相続手続き窓口に遺産分割協議書と必要書類を提出。金融機関ごとに独自の書式を求める場合もあるため事前確認が必要です
  • 銀行口座凍結後の仮払い制度:相続手続きが完了する前でも、1つの金融機関あたり「預金残高×1/3×法定相続分」または150万円のいずれか低い金額まで仮払いを受けられます(民法909条の2)。葬儀費用などに充てることが可能です
  • 相続税の申告:遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に税務署へ申告・納税が必要です(国税庁)

相続登記は法務局のホームページで申請書様式・記載例を確認できます。また、相続登記の申請義務化に伴い、法定相続情報証明制度(法務局が相続関係一覧図を証明する制度)を活用すると、各手続きで戸籍謄本の束を何度も提出する手間を省けます。

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06 よくあるミス・無効になるケースと対策

自分で作成する場合、以下のミスが原因で書類が差し戻されるケースが多く見られます。事前に確認リストとして活用してください。

  • 署名が自筆でない:パソコンで氏名を入力したものは「記名」であり、「署名」ではありません。法的には有効とも解釈されますが、金融機関・法務局から自筆署名を求められるケースがほとんどです
  • 実印でなく認印を使用:認印では印鑑証明書と照合できないため無効になります。必ず市区町村に登録した実印を使用してください
  • 印鑑証明書の期限切れ:発行から3ヶ月を超えたものは使用できません。署名・押印のタイミングに合わせて取得しましょう
  • 相続人の一部が欠けている:相続人全員の合意・署名が必要です。1人でも欠けると協議書全体が無効になります。認知症などで意思能力が疑われる相続人がいる場合は成年後見人の選任が必要です
  • 不動産の地番・家屋番号の誤記:住所(住居表示)ではなく登記簿に記載された地番・家屋番号を転記する必要があります。混同しやすいので必ず登記簿謄本で確認してください
  • 財産の記載漏れ:後から発見された財産については別途遺産分割協議書を作成する必要があります。「本協議書に記載のない遺産については相続人○○が取得する」という条項を入れておくと安心です

作成後は、提出先(法務局・各金融機関)に事前相談するか、司法書士・行政書士に確認を依頼するとミスを防ぎやすくなります。法務局では「登記相談」として事前確認を受け付けている窓口もあります。

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07 相続放棄・相続税申告との期限管理

遺産分割協議書の作成と並行して、他の相続手続きの期限も管理することが重要です。期限を過ぎると選択肢が大幅に狭まるため、早期に全体スケジュールを把握しておきましょう。

  • 相続放棄の期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述(民法915条)。借金が多い場合などに活用。期間伸長の申請も可能なため、財産調査が間に合わない場合は早めに家庭裁判所へ相談しましょう
  • 相続税申告・納付の期限:相続開始を知った翌日から10ヶ月以内(国税庁)。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課される場合があります
  • 相続登記の義務化期限:2024年4月1日以降の相続は、相続を知った日から3年以内に登記申請が必要(法務省)。2024年4月1日より前の相続も経過措置期間内(2027年3月31日まで)に申請が必要です

【相続税基礎控除の確認】相続財産の合計が「3,000万円+600万円×法定相続人数」以下であれば相続税はかかりません(国税庁)。例えば法定相続人が3人の場合、3,000万円+1,800万円=4,800万円以下なら申告不要です。ただし、土地・建物・保険金・退職金なども含めて計算するため、専門家への確認を推奨します。

遺産分割協議書の作成が遅れると、相続登記や銀行手続きが進まず、他の期限にも影響が出ます。相続開始後はできるだけ早く相続人全員で協議を開始し、合意の見通しが立ったら書面化を進めましょう。専門家への依頼を検討する場合も、司法書士・弁護士・行政書士への相談は早いほど選択肢が広がります。

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この記事のまとめ

  • 遺産分割協議書は専門家に依頼しなくても自分で作成でき、正しく作れば完全な法的効力がある
  • 必須要素は①タイトル②被相続人情報③相続人全員の取得財産の明記④自筆署名と実印⑤発行3ヶ月以内の印鑑証明書
  • 不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続を知った日から3年以内に法務局へ申請が必要
  • 相続税申告は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内、相続放棄は3ヶ月以内と期限管理が重要
  • 誤記・署名漏れ・印鑑証明書の期限切れが差し戻しの主な原因のため、提出前に必ず確認リストでチェックする

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月25日

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