遺産分割協議書のテンプレート使い方|無料ひな形と記入のポイント
遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を文書化する法的に重要な書類であり、不動産の名義変更や銀行口座の解約・払い戻しに必ず必要となります。テンプレートを正しく活用すれば、専門家に依頼しなくても自分で作成できますが、記載ミスや押印漏れがあると手続きが滞るため、ポイントを押さえておくことが欠かせません。
「何から書けばいいかわからない」「テンプレートをどこで入手すればいいのか」と戸惑っている方は多いはずです。この記事では、無料テンプレートの入手先から各項目の正しい書き方、実印・印鑑証明書の扱い方まで、遺産分割協議書の作成に必要な知識をすべて網羅しています。読み終えたら、自信を持って書類作成に着手できるようになります。
この記事でわかること
- 遺産分割協議書の無料テンプレートを入手できる公的機関・サイト
- テンプレートに記入すべき必須項目と正確な書き方
- 不動産・預貯金・有価証券ごとの財産の記載方法
- 実印・印鑑証明書・署名の正しい扱い方と注意点
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01 遺産分割協議書とは何か|役割と法的効力
遺産分割協議書とは、相続人全員が遺産の分け方について合意した内容を書面にまとめた法的文書です。被相続人(亡くなった方)の財産をどの相続人が何をどれだけ取得するかを明確に記載し、全員が署名・押印することで効力が生じます。
- 不動産の相続登記(名義変更)に法務局へ提出する必須書類
- 銀行・証券会社への相続手続きで提出を求められる書類
- 相続税申告の際に税務署へ提出する添付書類
- 相続人間のトラブル防止・後々の証拠として機能
遺産分割協議書は公正証書にする義務はなく、当事者が作成した私文書でも法的効力を持ちます。ただし、相続人全員の合意と実印による押印、印鑑証明書の添付が必須条件です。遺言書が存在する場合は原則として遺言書に従いますが、相続人全員が合意すれば遺言と異なる分割も可能なケースがあります。まずは遺言書の有無を確認することが最初のステップです。
【重要】相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記を完了しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条)。遺産分割協議書の作成は早めに進めましょう。

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02 無料テンプレートの入手先|公的機関・信頼できるサイト
遺産分割協議書のテンプレートは、費用をかけずに入手できる公的・信頼性の高い入手先が複数あります。書式に法定様式はないため、必要事項が漏れなく記載されていれば自作でも問題ありませんが、ひな形を使うことで記載漏れを防げます。
- 法務省e-Gov(電子政府):相続登記に関する案内ページから書式例を参照できます
- 各都道府県司法書士会のホームページ:書式ダウンロードサービスを提供している会も多い
- 裁判所のホームページ:遺産分割調停・審判の申立書類は掲載されており、様式の参考になる
- 法テラス(日本司法支援センター):書式案内や司法書士への無料相談窓口を案内
- 各市区町村の無料法律相談:自治体によっては書式配布や記載サポートあり
インターネット上には民間が提供するテンプレートも多数存在しますが、公的機関または弁護士・司法書士監修のものを選ぶことをおすすめします。ダウンロード後はWordやPDFで編集できるものが便利です。テンプレートはあくまで「ひな形」であり、実際の財産内容や相続人構成に合わせて必ず内容を書き換える必要があります。
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03 テンプレートの必須記入項目|被相続人・相続人情報
遺産分割協議書には法定の書式はありませんが、手続き先(法務局・銀行等)が受け付けるために必要な情報があります。まず、被相続人と相続人それぞれの情報を正確に記入することが基本です。
- 被相続人の情報:氏名(戸籍の記載通り)・生年月日・死亡日・死亡時の住所・本籍地
- 相続人全員の情報:氏名・生年月日・住所(住民票の住所)・被相続人との続柄
- 協議成立日:全員が署名・押印した日付(相続開始日ではない)
- 「下記の通り分割協議が成立した」等の合意文言
氏名は戸籍謄本・住民票の記載と一字一句一致させる必要があります。旧字体・異体字が使われている場合は正確に再現してください。住所も住民票の通りに記載し、番地の表記(丁目・番・号の区切り方)を確認しましょう。記載内容と添付書類に不一致があると法務局から補正を求められ、手続きが遅れる原因になります。
【ポイント】被相続人の「本籍地」は住所と異なる場合があります。死亡診断書や戸籍謄本で必ず確認してください。また、死亡日は「令和○年○月○日」のように元号表記にすると法務局受理がスムーズです。
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04 財産ごとの記載方法|不動産・預貯金・有価証券
遺産分割協議書で最も重要かつミスが起きやすいのが財産の記載です。財産の種類ごとに求められる情報が異なり、特に不動産は登記簿謄本(登記事項証明書)の記載通りに書かなければなりません。
- 不動産(土地):所在・地番・地目・地積(㎡)を登記事項証明書の通りに記載。「○○市○○町○番○」の形式で地番を記入(住居表示とは異なる)
- 不動産(建物):所在・家屋番号・種類・構造・床面積を登記事項証明書の通りに記載
- 預貯金:金融機関名・支店名・口座種別(普通・定期等)・口座番号を記載。金額は「全額」「○分の○」等の表現で明記
- 有価証券(株式等):証券会社名・支店名・口座番号・銘柄名・株数を記載
- 自動車:車名・登録番号・車台番号・年式を車検証の通りに記載
- その他動産・債務:具体的に特定できる情報を記載。負債(借入金等)も分割方法を明記
不動産の地番は「住居表示」(郵便物に使う住所)とは異なります。必ず法務局で取得した登記事項証明書(登記簿謄本)を手元に用意し、その記載を正確に転記してください。登記事項証明書はオンライン(登記・供託オンライン申請システム)または法務局窓口で取得できます。記載が一字でも違うと法務局の補正対象になります。

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05 署名・実印・印鑑証明書の正しい扱い方
遺産分割協議書は、相続人全員の署名と実印による押印が必要です。一人でも欠けると書類として無効になるため、全員が揃うまで手続きを進めることができません。
- 署名:自筆(手書き)で行う。ゴム印・スタンプ・パソコン印字では代替不可
- 実印の押印:市区町村に登録した実印(登録印)を使用。認印・銀行印は不可
- 印鑑証明書:各相続人が自分の市区町村で取得した印鑑登録証明書を添付。発行から3ヶ月以内のものが必要(法務局の登記申請時の要件)
- 訂正方法:修正液・修正テープは使用不可。誤記は二重線を引き、余白に訂正印(実印)を押す
- ページをまたぐ場合:契印(相続人全員の実印で割り印)を各ページの継ぎ目に押す
遠方に住む相続人がいる場合は、郵送でのやり取りが必要になります。書類を郵送し、署名・押印後に印鑑証明書と一緒に返送してもらう方法が一般的です。この際、書類の紛失リスクを避けるため、郵便書留・レターパックなど追跡できる方法で送付することをおすすめします。相続人の中に未成年者がいる場合は特別代理人の選任が必要になるなど、状況によっては家庭裁判所への申立が必要なケースもあります。
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06 テンプレート作成時のよくあるミスと対処法
テンプレートを使っていても、記入ミスや準備不足で手続きが止まるケースは少なくありません。よくあるミスを事前に把握しておくことで、スムーズな手続きにつながります。
- 不動産の地番を住居表示で記載:必ず登記事項証明書で確認。住居表示とは異なる番号が使われていることが多い
- 相続人の一人を記載し忘れる:法定相続人全員を戸籍謄本で確認。異母兄弟・認知された子など見落としに注意
- 認印で押印する:必ず実印を使用。認印では法務局・銀行に受理されない
- 印鑑証明書の有効期限切れ:法務局への登記申請では発行から3ヶ月以内のものが必要(銀行は独自基準の場合あり)
- 財産の記載が曖昧:「○○の預金のうち半分」ではなく「○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○の全額」のように具体的に記載
- 協議成立日の未記入:全員が署名した日付を必ず記入する
作成後は、手続き先(法務局・銀行等)に事前確認することも有効です。特に銀行によっては独自書式の提出を求める場合や、遺産分割協議書の記載内容について個別確認が必要な場合があります。複数の財産・相続人が関係する場合は、司法書士・行政書士への相談も検討してください。
【銀行口座の仮払い制度】銀行口座が凍結されても、相続人は遺産分割前でも1金融機関あたり「預金残高×1/3×法定相続分」または150万円のいずれか低い金額まで単独で仮払いを受けられます(民法909条の2)。急を要する費用(葬儀費用等)に活用できます。
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07 協議書完成後の提出先と相続税・登記費用
遺産分割協議書が完成したら、財産の種類に応じて各手続き先に提出します。提出先ごとに必要な添付書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 法務局(相続登記):遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書・戸籍謄本一式・住民票・固定資産税評価証明書等を提出。登録免許税として固定資産税評価額×0.4%の納付が必要
- 銀行・信用金庫:各金融機関の窓口に遺産分割協議書・戸籍謄本・印鑑証明書等を提出。機関ごとに書式・必要書類が異なる場合あり
- 証券会社:相続人口座への移管または売却手続き。各社の相続手続き窓口に問い合わせ
- 税務署(相続税申告):相続税が発生する場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に申告・納付が必要(国税庁)。遺産分割協議書を添付書類として提出
- 運輸支局(自動車):名義変更手続きに遺産分割協議書等が必要
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人数」です(相続税法第15条)。この金額を超える遺産がある場合は相続税申告が必要になります。申告期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内と定められており、延長は原則認められません。また、相続放棄を検討する場合は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があり、こちらも期限厳守です。不安な点は国税庁の公式サイトや税務署の相談窓口を活用してください。
この記事のまとめ
- 遺産分割協議書は相続人全員の合意を文書化したもので、相続登記・銀行手続き・相続税申告に必須の書類
- テンプレートは法務省e-Gov・司法書士会HP・裁判所HPなど公的・信頼性の高い入手先から無料で取得できる
- 不動産は登記事項証明書の記載通りに地番・地目・地積・家屋番号を正確に転記することが必須
- 相続人全員の自筆署名・実印押印・3ヶ月以内の印鑑証明書添付がなければ書類として無効になる
- 相続登記は2024年4月から義務化(3年以内)、相続税申告は10ヶ月以内、相続放棄は3ヶ月以内と期限に注意
EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月25日
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