遺産分割の手続きの流れ|協議書の作り方とまとまらないときの対処
遺産分割の手続きは、『相続人全員で話し合って分け方を決め、合意した内容を遺産分割協議書にまとめる』のが基本の流れです。まず相続人と財産を確定し、全員で協議して、実印を押した協議書を作り、預金や不動産の名義変更を行います。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停・審判という手続きに進みます。この記事では、はじめての方にもわかるように順を追って説明します。
親が亡くなって相続が始まると、「誰が何を受け取るのか」「どんな順番で進めればいいのか」と戸惑う方は少なくありません。遺産分割は感情も絡みやすく、進め方を誤ると親族間のトラブルにもなりかねません。この記事では、遺産分割の意味から具体的な手続きの流れ、協議書の作り方、まとまらないときの対処までをやさしく解説します。
この記事でわかること
- 遺産分割とは何か・遺言がある場合とない場合の違い
- 手続きの流れ(相続人と財産の確定から名義変更まで)
- 4つの分割方法と遺産分割協議書の作り方
- まとまらないときの調停・審判と専門家の活用
01
遺産分割とは(遺言がある場合とない場合)
遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)が残した財産を、相続人どうしで分け合うことです。
- 遺言がある場合は、原則として遺言の内容に従って分ける
- 遺言がない場合は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分ける
- 法律で定められた取り分(法定相続分)は、あくまで目安
- 全員が合意すれば、法定相続分と異なる分け方も可能
遺言書がある場合は、まずその内容が優先されます。一方、遺言がないときは、相続人全員で話し合って分け方を決めます。民法には法定相続分という取り分の目安が定められていますが、これは話し合いがまとまらないときの基準であり、全員が納得すれば自由に分け方を決められます。まずは遺言書の有無を確認することが、遺産分割の出発点になります。
02
遺産分割の手続きの流れ
遺産分割は、おおむね次のような順番で進めます。
- 1. 相続人の確定:戸籍を集めて、誰が相続人かを確認する
- 2. 財産の確定:預貯金・不動産・株式・借金などを調べてまとめる
- 3. 遺産分割協議:相続人全員で分け方を話し合う
- 4. 協議書の作成:合意内容を遺産分割協議書にまとめる
- 5. 名義変更:預金の解約や不動産の登記など各種手続きを行う
最初の『相続人の確定』では、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべてそろえます。前の結婚での子どもなど、思いがけない相続人が見つかることもあるため、戸籍は省略せず集めることが大切です。財産の確定では、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も漏れなく調べます。土台となるこの2つをきちんと固めることで、後の話し合いや名義変更がスムーズに進みます。
03
遺産の4つの分け方(現物・代償・換価・共有)
遺産の分け方には、大きく分けて4つの方法があります。
- 現物分割:家は長男、預金は次男というように、財産そのものを分ける
- 代償分割:1人が不動産などを受け取り、他の相続人へお金(代償金)を払う
- 換価分割:財産を売却し、その代金を相続人で分ける
- 共有:1つの財産を複数の相続人で共同所有する
もっとも基本的なのは、財産ごとに受け取る人を決める現物分割です。不動産のように分けにくい財産があるときは、それを受け取った人が他の人へお金を払う代償分割や、売って現金を分ける換価分割が使われます。共有は手続きが簡単に見えますが、後に売却や活用をする際に全員の同意が必要になり、もめやすいため慎重に検討しましょう。財産の内容や相続人の希望に合わせて、最適な方法を選びます。
04
遺産分割協議書の作り方と注意点
話し合いがまとまったら、その内容を遺産分割協議書という書面にまとめます。
- 相続人全員が参加し、全員が合意することが必要
- 誰がどの財産を受け取るかを正確に書く
- 相続人全員が署名し、実印を押す
- 全員の印鑑証明書を添付する
遺産分割協議書は、預金の解約や不動産の名義変更で必要になる大切な書類です。相続人が1人でも欠けていると協議は無効になるため、全員が参加することが欠かせません。不動産は登記簿の記載どおりに、預金は金融機関名や口座番号まで正確に書きましょう。書面には相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添えます。作り方に不安があるときは、司法書士や弁護士に作成を依頼すると安心です。
05
話し合いがまとまらないとき(調停・審判)
相続人どうしで合意できないときは、家庭裁判所の手続きを利用します。
- まずは家庭裁判所に『遺産分割調停』を申し立てる
- 調停では、調停委員が間に入って話し合いを進める
- 調停でもまとまらないときは『審判』に移る
- 審判では、裁判官が分け方を決定する
当事者だけでは話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停は裁判ではなく、調停委員が間に入りながら相続人全員の合意を目指す話し合いの場です。それでも合意に至らないときは、自動的に審判という手続きに移り、裁判官が法律に基づいて分け方を決めます。感情的な対立が深いときほど、第三者が間に入る調停が解決の糸口になります。手続きは申立先の裁判所で案内を受けられます。
06
不動産が絡む場合の注意点と専門家の活用
遺産に不動産が含まれると、手続きはやや複雑になります。
- 不動産は分けにくく、評価額をめぐってもめやすい
- 相続した不動産は、名義変更(相続登記)が義務化されている
- 登記は司法書士、税金の相談は税理士が専門
- 話し合いがこじれそうなときは弁護士に相談
不動産は現金のように単純に分けられず、評価額の考え方でも意見が分かれやすい財産です。また、相続した不動産の名義変更(相続登記)は法律で義務化され、期限内に行わないと過料の対象になることがあります。登記の手続きは司法書士、相続税の相談は税理士、相続人どうしの対立は弁護士と、内容に応じて専門家を頼ると安心です。早めに相談することで、手続きの遅れやトラブルを防げます。費用の目安も最初に確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 遺産分割の手続きはどんな流れで進めますか?
A. まず戸籍を集めて相続人を確定し、預貯金や不動産などの財産を調べてまとめます。次に相続人全員で分け方を話し合う遺産分割協議を行い、合意した内容を遺産分割協議書にまとめます。最後に、協議書をもとに預金の解約や不動産の名義変更などの手続きを行います。相続人と財産の確定をきちんと行うことが、後の手続きをスムーズに進める土台になります。
Q. 遺言書がある場合も遺産分割の話し合いは必要ですか?
A. 遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って財産を分けるため、改めて話し合いをしなくてよいのが基本です。ただし、遺言で触れられていない財産があるときや、相続人全員が遺言と異なる分け方に合意するときは、遺産分割協議が必要になります。まずは遺言書の有無と内容を確認することが、遺産分割の出発点になります。
Q. 遺産の分け方にはどんな方法がありますか?
A. 大きく分けて4つあります。財産そのものを人ごとに分ける現物分割、1人が不動産などを受け取り他の相続人へお金を払う代償分割、財産を売って代金を分ける換価分割、複数人で共同所有する共有です。不動産のように分けにくい財産があるときは代償分割や換価分割がよく使われます。共有は後にもめやすいため、慎重に検討しましょう。
Q. 遺産分割協議書を作るときの注意点は?
A. 相続人全員が参加し、全員が合意することが必要です。1人でも欠けると協議は無効になります。誰がどの財産を受け取るかを、不動産は登記簿どおり、預金は口座番号まで正確に書きましょう。書面には相続人全員が署名して実印を押し、全員の印鑑証明書を添付します。作り方に不安があるときは司法書士や弁護士に依頼すると安心です。
Q. 話し合いがまとまらないときはどうすればいいですか?
A. 相続人どうしで合意できないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停は調停委員が間に入って合意を目指す話し合いの場です。それでもまとまらないときは審判に移り、裁判官が法律に基づいて分け方を決めます。対立が深いときほど第三者が入る調停が解決の糸口になります。手続きの詳細は申立先の家庭裁判所で案内を受けられます。
この記事のまとめ
- 遺産分割は相続人全員の合意で行い、遺言がある場合は原則その内容に従う
- 手続きは相続人と財産の確定、協議、協議書の作成、名義変更の順に進める
- 分け方には現物分割・代償分割・換価分割・共有の4つがある
- 協議書は全員が参加して合意し、実印を押して印鑑証明書を添付する
- まとまらないときは家庭裁判所の調停・審判へ。不動産は専門家の活用を
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月28日
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