遺産相続の必要書類|遺言あり・なし・法定相続のパターン別に解説
遺産相続の必要書類は、『どのパターンで相続するかで変わり、遺言がある場合は遺言書、ない場合は相続人全員の戸籍と遺産分割協議書が必要になる』のが基本です。どのパターンでも共通して、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍・住民票などの基礎書類はそろえます。まずは自分がどのパターンに当てはまるかを知ることが、書類集めの近道です。
親が亡くなり、いざ相続の手続きを始めようとすると「何の書類をそろえればいいのか」で迷う方は少なくありません。この記事では、遺言がある場合・ない場合・法定相続分どおりに分ける場合のパターン別に、必要書類の違いと集め方をやさしく解説します。
この記事でわかること
- 遺言がある場合・ない場合で変わる必要書類
- どのパターンでも共通する基礎書類
- 遺産分割協議書と法定相続情報一覧図の活用
- 戸籍など書類の取得先と集め方
01
遺産相続の必要書類はパターンで変わる
遺産相続の必要書類は、「どう分けるか」のパターンによって変わります。
- 遺言がある場合 … 遺言書を中心に手続きする
- 遺言がなく、話し合いで分ける場合 … 遺産分割協議書が必要
- 法定相続分どおりに分ける場合 … 協議書なしでも進められることがある
- どのパターンでも共通の基礎書類はそろえる
大きく分けると、亡くなった方が遺言書を残していたかどうかで道が分かれます。遺言があればその内容に従い、なければ相続人全員で話し合って分けるか、民法で決められた割合(法定相続分)どおりに分けます。それぞれで追加で必要になる書類が異なるため、まず自分のケースがどのパターンかを確かめましょう。次の章から、パターンごとに必要な書類を順に見ていきます。
02
遺言がある場合の必要書類
遺言書がある場合は、その遺言書が手続きの中心になります。
- 遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言など)
- 自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要(法務局保管分は不要)
- 亡くなった方の死亡が分かる戸籍(除籍)
- 財産を受け取る相続人の戸籍・住民票・印鑑証明書
自宅などで見つかった自筆の遺言書は、開封する前に家庭裁判所で『検認』という手続きを受ける必要があります。勝手に開けると過料の対象になることがあるため注意しましょう。一方、公証役場で作った公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は、検認が不要です。遺言があると相続人全員の戸籍をすべてそろえなくてよい場合が多く、手続きが比較的シンプルになります。
03
遺言がなく協議で分ける場合の必要書類
遺言書がなく、相続人で話し合って分け方を決める場合は、書類が最も多くなります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
- 相続人全員の現在の戸籍
- 遺産分割協議書(相続人全員が署名・実印で押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
この場合は、誰が相続人なのかを確定させるために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべてつなげて集める必要があります。そのうえで相続人全員で分け方を話し合い、決まった内容を『遺産分割協議書』にまとめ、全員が実印で押印します。協議書と全員分の印鑑証明書がそろって、はじめて不動産の名義変更や預金の解約ができます。相続人が多い、遠方にいるなどの場合は、書類集めに時間がかかる点を見込んでおきましょう。
04
法定相続分どおりに分ける場合の必要書類
民法で定められた割合(法定相続分)どおりに分ける場合は、必要書類が少し変わります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍
- 相続人全員の現在の戸籍
- 相続人全員の住民票
- 遺産分割協議書は原則不要(割合が法律どおりのため)
法定相続分どおりに分ける場合は、相続人どうしの取り分が法律で決まっているため、分け方を話し合う遺産分割協議書を作らずに手続きできることがあります。たとえば不動産を相続人で法定相続分どおりに共有名義にする登記は、協議書なしで申請できます。ただし、預金などを誰か一人が代表して受け取るときは金融機関ごとに書類が異なる場合があるため、事前に窓口で確認すると安心です。共有名義は後で売却や管理が難しくなることもある点は念頭に置きましょう。
05
どのパターンでも共通する基礎書類
どの分け方であっても、土台として必ず必要になる書類があります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
- 亡くなった方の住民票の除票(本籍記載のもの)
- 相続人全員の戸籍・住民票
- 相続人の印鑑証明書(協議書を使う場合)
これらは『誰が亡くなり、誰が相続人なのか』を公的に証明するための書類です。亡くなった方の戸籍は、結婚や転籍で複数の市区町村にまたがっていることが多く、一つ前の戸籍をたどりながら集めます。不動産があれば固定資産評価証明書や登記事項証明書、預金があれば残高証明書など、財産の種類に応じた書類も加わります。まずはこの基礎書類をそろえることが、すべての相続手続きの出発点になります。
06
法定相続情報一覧図と書類の集め方
厚い戸籍の束を何度も提出するのは大変です。そこで役立つのが『法定相続情報一覧図』です。
- 戸籍一式をもとに、相続関係を1枚にまとめた図を法務局が証明
- 無料で必要枚数の写しを取得できる
- 銀行・法務局・税務署などで戸籍の束の代わりに使える
- 戸籍は本籍地の市区町村、住民票は住所地の役所で取得
複数の銀行や法務局で手続きをする場合、そのつど分厚い戸籍一式を出し直すのは手間がかかります。『法定相続情報一覧図』を法務局で作っておけば、戸籍の束の代わりに1枚で証明でき、写しを無料で複数枚もらえるので、手続きを同時並行で進められます。戸籍は本籍地のある市区町村役場で、住民票や印鑑証明書は住所地の役所で取得します。遠方の戸籍は郵送でも請求できるため、早めに集め始めるのがコツです。
よくある質問
Q. 遺産相続の必要書類はどのパターンでも同じですか?
A. いいえ、分け方のパターンによって変わります。どのパターンでも、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍・住民票などの基礎書類は共通して必要です。そのうえで、遺言がある場合は遺言書、遺言がなく話し合いで分ける場合は遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が加わります。法定相続分どおりに分ける場合は、協議書を作らずに手続きできることがあります。
Q. 自宅で見つかった遺言書はすぐ開けてもいいですか?
A. 自筆の遺言書は、開封する前に家庭裁判所で『検認』という手続きを受ける必要があります。勝手に開封すると過料の対象になることがあるため注意しましょう。一方、公証役場で作成した公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は検認が不要です。遺言の種類によって扱いが違うため、まず種類を確認しましょう。
Q. 遺産分割協議書はどんなときに必要ですか?
A. 遺言書がなく、相続人で話し合って分け方を決める場合に必要です。協議書には相続人全員が署名し、実印で押印したうえで、全員の印鑑証明書を添えます。これがそろって、不動産の名義変更や預金の解約ができます。なお、法定相続分どおりに分ける場合は、取り分が法律で決まっているため協議書なしで進められることがあります。
Q. 亡くなった親の戸籍はどこで集めますか?
A. 戸籍は本籍地のある市区町村役場で取得します。亡くなった方の戸籍は結婚や転籍で複数の市区町村にまたがっていることが多く、出生から死亡までを一つ前の戸籍をたどりながら集めます。遠方の本籍地でも郵送で請求できます。住民票や印鑑証明書は住所地の役所で取得します。集めるのに時間がかかるため、早めに始めるのがコツです。
Q. 法定相続情報一覧図とは何ですか?
A. 集めた戸籍一式をもとに相続関係を1枚にまとめた図で、法務局がその内容を証明してくれる制度です。写しを無料で必要枚数もらえ、銀行・法務局・税務署などで分厚い戸籍の束の代わりに使えます。複数の窓口で同時に手続きを進めたいときに便利です。法務局に戸籍一式と申出書を提出して作成してもらいます。
この記事のまとめ
- 遺産相続の必要書類は、遺言あり・なし・法定相続分どおりのパターンで変わる
- 遺言がある場合は遺言書が中心。自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要
- 遺言がなく協議で分ける場合は、出生〜死亡の戸籍と遺産分割協議書・印鑑証明書が必要
- どのパターンでも、亡くなった方の戸籍と相続人の戸籍・住民票は共通してそろえる
- 法定相続情報一覧図を使えば戸籍の束を1枚で代用でき、手続きが楽になる
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月28日
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