相続で非課税になる財産・ケース一覧|枠・特例・注意点を解説
相続で非課税になる財産やケースには、『基礎控除以下の遺産』『生命保険金・死亡退職金の非課税枠』『墓地や仏壇などの非課税財産』『配偶者の税額軽減』『生前贈与の非課税枠』などがあります。これらをまとめて知っておくと、どこまで税金がかからないのかの全体像がつかめます。一方で、名義預金やタンス預金のように、非課税だと思い込んでいると課税されるものもあります。
親の相続が近づくと、「何にどこまで税金がかかるのか」「非課税になるものはあるのか」と不安になる方は多いものです。この記事では、相続で非課税になる財産やケースの全体像を、計算例や注意点も交えながらやさしく整理します。
この記事でわかること
- 基礎控除や保険金など相続税の非課税枠
- 墓地・仏壇など非課税になる財産
- 配偶者の税額軽減と生前贈与の非課税
- 名義預金など課税対象になりうる注意点
01
相続で非課税になる財産・ケースの全体像
相続では、すべての財産に一律で税金がかかるわけではありません。非課税になるケースは大きく分けて、税額を計算する前の『非課税枠・控除』と、もともと税金がかからない『非課税財産』、そして生前に渡しておく『生前贈与の非課税』の3つに整理できます。
- 遺産の合計が基礎控除以下なら相続税は非課税
- 生命保険金・死亡退職金には専用の非課税枠がある
- 墓地・仏壇などは非課税財産で課税されない
- 配偶者には大きな税額軽減がある
- 生前贈与にも非課税の枠や特例がある
まずは「自分の家の遺産が、これらの非課税の仕組みでどこまでカバーされるか」を大づかみに知ることが大切です。多くの家庭では基礎控除の範囲内におさまり、相続税がかからないケースも少なくありません。次の章から、それぞれの非課税の仕組みを順番に見ていきましょう。逆に、非課税だと思い込んでいると課税されてしまうものもあるため、注意点もあわせて確認していきます。
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基礎控除と保険金・退職金の非課税枠
相続税には、まず『基礎控除』という大きな非課税枠があります。遺産の合計がこの基礎控除以下であれば、相続税は非課税で、申告も原則不要です。
- 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
- 死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の数(保険金とは別枠)
- 枠を超えた部分だけが課税の対象になる
たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、基礎控除は『3,000万円+600万円×3人=4,800万円』です。さらに死亡保険金が2,000万円あっても、非課税枠は『500万円×3人=1,500万円』なので、課税対象に加わるのは差額の500万円だけです。死亡退職金にも別枠で同じ1,500万円の非課税枠があります。これらの枠を合わせると、課税される財産はぐっと小さくなります。
03
墓地や仏壇など非課税になる財産
財産のなかには、その性質上はじめから相続税がかからない『非課税財産』があります。代表的なのが、お墓や仏壇などの祭祀(さいし)財産です。
- 墓地・墓石・お墓は非課税
- 仏壇・仏具・位牌(いはい)は非課税
- 神棚など日常の礼拝に使う物も対象
- 国や一定の公益団体への寄付が非課税になる場合もある
墓地や墓石、仏壇、仏具といった日常的に礼拝に使うものは、相続税のかからない非課税財産です。そのため、生前にお墓や仏壇を準備しておくと、その分の現金が祭祀財産に変わり、課税対象となる遺産を減らせる場合があります。ただし、純金製の仏具など投資目的とみなされるような高額・例外的なものは対象外となることもあるため、常識的な範囲で考えることが大切です。また、未払いのまま残ったお墓のローンは、債務として遺産から差し引けない点にも注意しましょう。
04
配偶者の税額軽減で大きく非課税に
配偶者には、相続税が大きく軽減される特別な制度があります。これを『配偶者の税額軽減』といいます。
- 配偶者が取得した遺産は1億6,000万円まで非課税
- 1億6,000万円を超えても法定相続分までなら非課税
- 多くの場合、配偶者には相続税がかからない
- 適用を受けるには相続税の申告が必要
配偶者が相続する財産は、1億6,000万円までか、または法定相続分までであれば相続税がかかりません。たとえば遺産が1億円でも、配偶者がすべて相続すれば配偶者には相続税がかからないことになります。ただし、この軽減を受けるには相続税の申告が必要です。また、次に配偶者が亡くなる二次相続では税負担が増えることもあるため、配偶者にどれだけ集めるかは家族全体の相続を見て考えることが大切です。
05
生前贈与の非課税枠と特例
相続のときだけでなく、生前に財産を渡しておく『生前贈与』にも非課税の枠や特例があります。早めに少しずつ移しておくことで、将来の相続財産を減らせる場合があります。
- 暦年贈与は1年に110万円までの基礎控除がある(受け取る人ごと)
- 教育資金の一括贈与の特例(一定額まで非課税)
- 結婚・子育て資金や住宅取得資金の贈与の特例もある
- 夫婦間の居住用不動産の贈与には配偶者控除がある
暦年贈与では、財産をもらう人1人につき1年あたり110万円までは贈与税がかからず、その範囲なら申告も不要です。教育資金や結婚・子育て資金、住宅取得資金などには、金融機関を通じて一定額まで非課税にできる特例があります。これらの特例は適用の条件や期限、手続きが細かく定められており、制度の内容も改正されることがあります。利用を考えるときは、最新の要件を国税庁の情報で確認するか、税理士に相談すると確実です。なお、亡くなる前の一定期間内に行った贈与は、相続財産に加えて計算される場合があるため、贈与は早めに計画的に進めるのがポイントです。
06
非課税と思い込みやすい注意点(名義預金など)
非課税の仕組みがある一方で、「これは大丈夫だろう」と思い込んでいると課税されてしまう財産もあります。代表的なのが名義預金とタンス預金です。
- 名義預金は実質的に被相続人の財産として課税対象になりうる
- 子や孫の名義でも、亡くなった方のお金なら相続財産に含まれる
- タンス預金(自宅の現金)も申告が必要で、隠すと重い加算税がかかる
- 生前贈与のつもりでも、記録がないと贈与と認められないことがある
名義預金とは、口座の名義は家族でも、実際のお金の出どころや管理が亡くなった方だった預金のことです。これは名義に関係なく、被相続人の財産として相続税の課税対象になりえます。自宅にしまったタンス預金も同じく相続財産で、申告から漏らすと後日の税務調査で発覚し、加算税や延滞税が上乗せされることがあります。生前贈与として渡したつもりでも、もらった側が自由に使える状態でなければ贈与と認められないことがあります。贈与契約書を残す、もらった人が自分で口座を管理するなど、形を整えておくことが大切です。判断に迷う場合は、自己流で決めず税理士や税務署に確認しましょう。
よくある質問
Q. 相続で非課税になる財産にはどんなものがありますか?
A. 墓地・墓石・仏壇・仏具・位牌などの祭祀財産は、もともと相続税がかからない非課税財産です。また、遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)以下なら相続税は非課税になります。さらに、生命保険金と死亡退職金にはそれぞれ500万円×法定相続人の非課税枠があり、配偶者には1億6,000万円または法定相続分までの税額軽減があります。これらを組み合わせると、課税される財産は大きく減ります。
Q. 生命保険金や死亡退職金は非課税になりますか?
A. 相続人が受け取る死亡保険金には『500万円×法定相続人の数』の非課税枠があり、死亡退職金にも別枠で同じ非課税枠があります。たとえば法定相続人が3人なら、保険金で1,500万円、死亡退職金でも1,500万円までが非課税です。それぞれ枠を超えた部分だけが課税対象になるため、全額に税金がかかるわけではありません。ただし相続を放棄した人などには適用されない点に注意しましょう。
Q. 生前贈与で非課税にできる方法はありますか?
A. 暦年贈与では、財産をもらう人1人につき1年あたり110万円までは贈与税がかからず、申告も不要です。さらに教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金などには、一定額まで非課税にできる特例があります。これらは条件や期限、手続きが細かく、制度が改正されることもあるため、最新の要件を国税庁の情報で確認するか税理士に相談すると確実です。亡くなる前の一定期間内の贈与は相続財産に加算される場合があるため、早めの計画が大切です。
Q. 名義預金やタンス預金は非課税になりますか?
A. いいえ。名義預金は口座の名義が家族でも、実際のお金の出どころや管理が亡くなった方であれば、被相続人の財産として相続税の課税対象になりえます。自宅のタンス預金も相続財産で、申告から漏らすと税務調査で発覚し、加算税や延滞税が上乗せされることがあります。生前贈与のつもりでも、もらった人が自由に使える状態でなければ贈与と認められないことがあるため、贈与契約書を残すなど形を整えておくことが大切です。
Q. うちは相続税がかかるのか、まず何を確認すればよいですか?
A. まず法定相続人の数を確認し、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)の目安を知りましょう。次に、預貯金・不動産・保険金などの財産を洗い出し、保険金や退職金の非課税枠、墓地や仏壇などの非課税財産を差し引いて合計を比べます。遺産が基礎控除を大きく下回りそうなら過度に心配する必要はありません。超えそうな場合や、名義預金など判断に迷う財産がある場合は、早めに税理士や税務署に相談すると確実です。
この記事のまとめ
- 相続の非課税は、基礎控除・保険金や退職金の枠・非課税財産・配偶者軽減・生前贈与の5つが柱
- 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人、保険金と退職金は各500万円×法定相続人の枠がある
- 墓地・仏壇など祭祀財産は非課税財産で、配偶者は1億6,000万円または法定相続分まで非課税
- 生前贈与は年110万円の暦年贈与の基礎控除や、教育資金などの特例で非課税にできる
- 名義預金やタンス預金は課税対象になりうるため、思い込みで判断せず税理士や税務署に確認を
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月27日
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