相続登記のオンライン申請は、法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を使えば、法務局に足を運ばずに自宅のパソコンから手続きを完結させることができます。

「相続登記って法務局に行かないといけないの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。実は2005年からオンライン申請が可能になっており、適切な準備さえすれば自宅から申請できます。この記事では、必要な環境・書類の準備から申請の流れ・登録免許税の納付方法まで、オンライン申請の全ステップをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 相続登記オンライン申請に必要なPC環境と電子証明書の準備方法
  • 法務省「登記・供託オンライン申請システム」への利用者登録手順
  • 申請書の作成から電子署名・送信・登録免許税納付までの流れ
  • 添付書類のPDF化・スキャンのポイントと法務局の事前相談窓口活用法

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0.4% 登録免許税率
固定資産税評価額に対する相続登記の税率
3年以内 相続登記の義務期限
2024年4月1日から義務化(違反で10万円以下の過料)
無料 システム利用料
登記・供託オンライン申請システム自体の使用料

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01 相続登記オンライン申請とは|法務省システムの概要

相続登記のオンライン申請とは、法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)」を利用して、自宅や事務所のパソコンから不動産の相続登記申請を行う方法です。従来は法務局の窓口に出向いて紙の申請書と原本書類を提出する必要がありましたが、オンライン申請ではインターネット経由で申請書と添付書類をまとめて送信できます。

オンライン申請の主なメリットは次のとおりです。

  • 法務局の開庁時間にとらわれず、21時まで申請データを送信できる(土日祝日・年末年始を除く)
  • 遠方の法務局への申請でも交通費・移動時間が不要
  • 登録免許税をインターネットバンキングで納付できるため、収入印紙を購入する手間が省ける
  • 申請状況をオンラインで確認でき、補正や連絡もシステム上で対応可能

ただし、オンライン申請を利用するには専用ソフトのインストールや電子証明書の取得など、事前準備が必要です。また、添付書類はすべてPDF形式に変換してアップロードする必要があります。2024年4月1日から相続登記が義務化されたため(法務省)、速やかに手続きを進めるうえでもオンライン申請は有効な手段です。

01 相続登記オンライン申請とは|法務省システムの概要
写真: Sora Shimazaki / Pexels

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02 オンライン申請に必要な環境と事前準備

相続登記をオンラインで申請するには、以下の3つの環境を整える必要があります。順番に確認していきましょう。

  • パソコンとインターネット環境:WindowsまたはMacに対応していますが、専用ソフト「申請用総合ソフト」はWindowsのみ対応(Mac環境では申請書作成支援のWeb申請フォームを利用)。安定したインターネット接続が必要です。
  • 電子証明書:申請書に電子署名を付けるために必要です。マイナンバーカードに搭載された電子証明書(公的個人認証サービス)を利用するのが最も一般的で、追加費用なく使用できます。マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダーも別途用意してください。
  • 専用ソフト「申請用総合ソフト」:法務省のウェブサイトから無料でダウンロードできます。このソフトを使って申請書を作成・送信します。インストール後、動作確認を行ってから本申請に進むと安心です。

【重要】マイナンバーカードの電子証明書は発行から5回目の誕生日(実質5年)まで有効です。有効期限が切れていると電子署名できないため、事前に市区町村窓口またはコンビニ端末で有効期限を確認しておきましょう。電子証明書の更新も市区町村窓口で無料で行えます。

また、添付書類をPDF化するためのスキャナーまたはスマートフォンのスキャンアプリも用意しておくと便利です。書類をスキャンする際は、文字が鮮明に読み取れる解像度(200dpi以上推奨)で保存してください。

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03 システムへの利用者登録と申請用総合ソフトの設定

オンライン申請を行うには、まず「登記・供託オンライン申請システム」に利用者登録が必要です。登録は無料で、以下の手順で行います。

  • ステップ1:システムへアクセス 法務省のウェブサイトから「登記・供託オンライン申請システム」のトップページにアクセスし、「利用者登録」ボタンをクリックします。
  • ステップ2:利用者情報の入力 氏名・住所・メールアドレス・IDとして使用する利用者名・パスワードを入力して登録します。登録完了後、確認メールが届きます。
  • ステップ3:申請用総合ソフトのダウンロード 同システムのページから「申請用総合ソフト」をダウンロードし、PCにインストールします。インストール後、登録したIDとパスワードでログインできることを確認してください。
  • ステップ4:電子証明書の設定 ICカードリーダーをPCに接続し、マイナンバーカードを挿入した状態でソフトの電子証明書設定メニューから認識されることを確認します。

初めての方は、法務局の「登記相談窓口(予約制)」を事前に利用することをおすすめします。法務局では相続登記の申請内容についての事前相談を受け付けており、書類の不備を未然に防ぐことができます。相談は無料ですが、具体的な法律判断や書類作成の代行は行ってもらえないため、複雑なケースでは司法書士への相談も検討しましょう。

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04 申請書の作成と添付書類のPDF化

利用者登録と環境設定が完了したら、いよいよ申請書の作成に入ります。申請用総合ソフトでは、申請書の様式が用意されており、画面の案内に従って必要事項を入力していきます。

相続登記の申請書に記載する主な項目は次のとおりです。

  • 登記の目的:「所有権移転」と記載
  • 原因:「(相続開始日)相続」と記載
  • 相続人(申請人)の住所・氏名・持分
  • 被相続人(亡くなった方)の氏名・最後の住所
  • 不動産の表示:土地の場合は所在・地番・地目・地積、建物の場合は所在・家屋番号・種類・構造・床面積
  • 登録免許税額(固定資産税評価額×0.4%)

次に、添付書類をPDF化して申請書に添付します。相続登記で一般的に必要な書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本(または抄本)
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書(登録免許税の計算に使用)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印・印鑑証明書を添付)または遺言書
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

【遺産分割協議書について】遺産分割協議書は、相続人全員が協議して合意した内容を文書化したものです。公正証書にする義務はありませんが、相続人全員の署名・実印の押印・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)の添付が必要です。書類に不備があると法務局から補正を求められ、手続きが遅れる原因になります。

書類をスキャンする際は原本がはっきり読み取れる状態で保存し、PDF形式に変換してください。スマートフォンのスキャンアプリを使う場合も、影やゆがみが生じないよう注意しましょう。

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02 オンライン申請に必要な環境と事前準備
写真: Pavel Danilyuk / Pexels

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05 電子署名の添付と申請データの送信

申請書の作成と添付書類のPDF化が完了したら、申請書に電子署名を添付して送信します。電子署名は、紙の書類に押す実印に相当するものとして機能し、申請内容の真正性を担保します。

電子署名の手順は以下のとおりです。

  • ICカードリーダーにマイナンバーカードを挿入し、PCに接続されていることを確認する
  • 申請用総合ソフトの「電子署名」メニューから署名対象の申請書を選択する
  • マイナンバーカードの署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字)を入力する
  • 署名が正常に添付されたことを確認する

署名が完了したら、申請用総合ソフトの「送信」機能を使って申請データを管轄法務局に送信します。送信後は受付番号が発行されますので、必ずメモしておいてください。この受付番号は、申請状況の確認や登録免許税の納付に必要です。

送信後、システム上で申請状況を確認できます。法務局が申請内容を受け付けると「受付」ステータスに変わります。審査中に不備があった場合は「補正」の連絡が届き、オンライン上で修正した書類を再提出できます。登記が完了すると「処理済」となり、登記識別情報通知書(登記済証に相当)が発行されます。

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06 登録免許税のインターネットバンキング納付方法

オンライン申請の場合、登録免許税はインターネットバンキングを使った電子納付が利用できます。収入印紙を購入する必要がなく、手続きがスムーズです。

登録免許税の計算方法は次のとおりです。

  • 税額の計算式:固定資産税評価額(課税標準額)× 0.4%
  • 固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書または固定資産税の納税通知書で確認できます
  • 土地と建物が別々に評価されている場合は合算した金額に0.4%をかけます
  • 100円未満の端数は切り捨て、計算結果が1,000円未満の場合は1,000円とします(国税通則法)

電子納付の手順は以下のとおりです。

  • 申請用総合ソフトの「納付情報一覧」から対象の申請を選択し、「電子納付」ボタンをクリックする
  • 表示された納付情報(収納機関番号・納付番号等)を確認し、インターネットバンキングの税金・各種料金の支払いメニューから「ペイジー(Pay-easy)」を選択して納付する
  • 納付完了後、再び申請用総合ソフトで納付状況を確認する

【納付期限に注意】申請受付後、原則として申請日の翌日から起算して3開庁日以内に登録免許税を納付する必要があります。期限内に納付されない場合、申請が取り下げられることがあります。インターネットバンキングの利用可能時間(金融機関により異なる)も事前に確認しておきましょう。

ペイジーに対応していない金融機関を利用している場合は、法務局窓口での収入印紙または現金納付も可能です。ただし、その場合は収入印紙を貼付した書面を法務局に持参・郵送する必要があります。オンライン申請と組み合わせる場合は、申請用総合ソフトで納付書を印刷して金融機関で納付する「電子納付以外の方法」を選択してください。

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07 相続登記義務化と申請後の注意点

2024年4月1日から相続登記が義務化されました(法務省)。相続によって不動産を取得した相続人は、相続を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく期限内に申請しなかった場合、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。

義務化に伴い、新たな特例制度も設けられています。

  • 相続人申告登記:遺産分割が整っていない場合でも、法定相続人であることを申し出る「相続人申告登記」を行うことで、当面の義務を果たすことができます(法務省)。
  • 遺産分割協議が成立した後は、改めて正式な相続登記(所有権移転登記)を申請する必要があります。

相続登記完了後の注意点として、以下も確認しておきましょう。

  • 相続税の申告期限:相続税が発生する場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に税務署へ申告・納付が必要です(国税庁)。相続登記が完了しても、相続税の申告は別途必要です。
  • 相続放棄の期限:相続放棄を検討している場合は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(延長申請可)。相続登記を行うと相続を承認したとみなされる場合があるため、放棄を検討中の方は先に専門家に相談してください。
  • 銀行口座の手続き:相続登記とは別に、被相続人の銀行口座の名義変更・解約手続きも必要です。口座凍結後の仮払い制度(1金融機関あたり150万円または預金残高×1/3のいずれか低い額、相続人1人あたり)を利用することもできます。
  • 固定資産税:相続登記完了後、翌年度から不動産を取得した相続人に固定資産税が課税されます。市区町村への住所変更届なども忘れずに行いましょう。

手続きに不安がある場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。法務局の相談窓口(予約制)でも無料相談を受け付けています。

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この記事のまとめ

  • 相続登記のオンライン申請は法務省「登記・供託オンライン申請システム」と専用ソフト「申請用総合ソフト」を使って行う
  • 事前にマイナンバーカード(電子証明書)・ICカードリーダー・利用者登録の準備が必要
  • 申請の流れは①利用者登録②申請書作成③電子署名④送信⑤登録免許税をインターネットバンキングで納付の順
  • 登録免許税は固定資産税評価額×0.4%で計算し、ペイジーを使ってオンライン納付できる
  • 2024年4月から相続登記は義務化(3年以内)。相続税申告は10ヶ月以内、放棄は3ヶ月以内と期限が異なるため注意が必要

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月25日

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