相続にともなう名義変更の期間(期限)は財産の種類ごとに異なり、不動産の相続登記は「相続を知った日から3年以内」が法律上の義務、自動車は道路運送車両法上15日以内、預貯金や株式には法定期限がないものの放置すると手続きが困難になります。2024年4月の相続登記義務化により、期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になるため、優先順位をつけて計画的に進めることが大切です。

「名義変更はいつまでにやればいいのか」「何から手をつければいいのか」——家族が亡くなった直後は葬儀や法要に追われ、名義変更は後回しになりがちです。この記事では、財産・契約ごとの名義変更の期限と所要期間を一覧で整理し、効率よく進める順番、期限を過ぎた場合のリスクまで具体的に解説します。

この記事でわかること

  • 不動産・車・預貯金・株式など財産別の名義変更の期限一覧
  • 相続登記義務化(2024年4月)の「3年以内」ルールと過料の内容
  • 各手続きにかかる所要日数と、効率よく進める順番
  • 期限を過ぎた・放置した場合に起こる具体的なリスク

★ あわせて準備したい

死後の手続きを一冊で確認できる実務ガイド

名義変更や解約手続きは種類が多く、抜け漏れが起きやすいものです。期限と必要書類をチェックリストで確認できる手続きガイドを一冊手元に置いておくと、役所や金融機関を何度も往復せずに済みます。

3年以内 相続登記の期限
相続を知った日から(2024年4月義務化)
10ヶ月以内 相続税の申告期限
相続開始を知った日の翌日から
15日以内 自動車の移転登録
道路運送車両法上の原則

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01 名義変更の期間一覧|財産・契約ごとの期限早見表

まず結論として、名義変更の期限は「法律で義務・期限が決まっているもの」と「期限はないが早めにやるべきもの」の2つに分かれます。全体像を表で確認しましょう。

対象期限根拠・備考
不動産(相続登記)相続を知った日から3年以内2024年4月義務化・10万円以下の過料
自動車(移転登録)所有者変更から15日以内道路運送車両法。実務上は遺産分割後速やかに
預貯金の解約・名義変更法定期限なし長期放置で休眠預金の対象(10年)
株式・投資信託法定期限なし放置すると配当受領や売却ができない
相続税の申告・納付10ヶ月以内相続開始を知った日の翌日から(国税庁)
公共料金・携帯・サブスク期限なし使わないものは早期解約で料金発生を防ぐ

このほか、名義変更ではありませんが、死亡届は7日以内、年金受給停止は厚生年金10日以内・国民年金14日以内、世帯主変更は14日以内、相続放棄は3ヶ月以内と、死後すぐに期限が来る手続きが並行して発生します。名義変更は「3ヶ月・10ヶ月・3年」という相続の大きな期限を意識しながら組み込むのがコツです。

01 名義変更の期間一覧|財産・契約ごとの期限早見表
写真: Leeloo The First / Pexels

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02 不動産の名義変更(相続登記)|3年以内の義務と過料

名義変更の中で最も重要なのが不動産の相続登記です。2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内」の登記申請が義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

過去の相続も対象になる

義務化以前に発生した相続も対象で、施行日(2024年4月1日)か相続を知った日のいずれか遅い日から3年以内に申請が必要です。「親の代から名義がそのまま」という実家も放置できません。遺産分割がまとまらない場合は、簡易な「相続人申告登記」を法務局に申し出ることで、ひとまず義務を履行したことになります。

相続登記にかかる期間と費用

  • 戸籍収集〜書類準備:1〜2ヶ月(本籍地が複数あるとさらに延びる)
  • 法務局の審査:申請から完了まで1〜2週間程度
  • 登録免許税:固定資産税評価額×0.4%(評価額1,000万円なら4万円)
  • 司法書士報酬:依頼する場合5〜15万円が目安

売却や賃貸に出す予定がある不動産は、名義変更が済んでいないと契約自体ができません。3年という期限にかかわらず、遺産分割協議がまとまり次第すぐに申請するのが安全です。

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03 自動車・バイクの名義変更|15日以内が原則

自動車は道路運送車両法により、所有者に変更があった日から15日以内に移転登録(名義変更)を行うのが原則です。相続の場合、実務上は遺産分割協議で取得者が決まってから速やかに、と運用されていますが、放置には明確なデメリットがあります。

  • 売却・廃車ができない:故人名義のままでは買取店も引き取れません。
  • 自動車税の納付書が故人宛てに届き続ける:毎年4月1日時点の登録名義人に課税されます。
  • 任意保険の補償が受けられない恐れ:契約者・所有者の変更を怠ると事故時にトラブルになります。

手続き先と費用の目安

普通車は管轄の運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会で手続きします。必要書類は車検証、戸籍謄本(除籍謄本)、遺産分割協議書、新所有者の印鑑証明書・車庫証明などで、費用は移転登録手数料500円+ナンバー変更時は1,500〜2,000円程度。査定額100万円以下の車なら「遺産分割協議成立申立書」で簡略化できる場合があります。所要期間は書類が揃っていれば当日〜1週間程度です。

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04 預貯金・株式の名義変更|期限はないが放置は危険

預貯金の解約・払い戻しや株式の名義変更(移管)に法律上の期限はありません。しかし「期限がない=いつでもよい」ではなく、放置期間が長いほど手続きは確実に難しくなります。

預貯金を放置するリスク

  • 休眠預金:10年以上取引のない預金は休眠預金として預金保険機構に移管されます(手続きすれば払い戻しは可能)。
  • 相続人の増加:時間が経つと相続人自身が亡くなり(数次相続)、協議に必要な署名・押印の人数が倍増します。
  • 書類の再収集:印鑑証明書(発行3ヶ月以内)などは手続きのたびに取り直しが必要です。

手続きにかかる期間の目安

銀行の相続手続きは、書類提出から払い戻しまで2〜3週間程度が一般的です。ゆうちょ銀行はやや長く1ヶ月程度かかることもあります。株式は証券会社で相続人名義の口座を開設したうえで移管する必要があり、口座開設を含めて3週間〜1ヶ月半ほど見ておきましょう。非上場株式や単元未満株は発行会社・信託銀行への個別照会が必要で、さらに時間がかかります。なお、遺産分割前でも葬儀費用など急ぎの支払いには、1金融機関あたり最大150万円までの仮払い制度(民法909条の2)が利用できます。

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02 不動産の名義変更(相続登記)|3年以内の義務と過料
写真: RDNE Stock project / Pexels

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05 公共料金・携帯・保険などの名義変更と解約の時期

電気・ガス・水道・携帯電話・クレジットカード・サブスクリプションなどの契約には名義変更の期限はありませんが、料金が発生し続けるため実質的には「できるだけ早く」が正解です。目安として四十九日までにリストアップし、1〜2ヶ月以内に一巡させると負担が軽くなります。

  • 電気・ガス・水道:空き家にする場合は解約、住み続ける人がいる場合は名義変更。電話やWebで即日〜数日で完了します。
  • 携帯電話:死亡が確認できる書類(除籍謄本や葬儀の会葬礼状など)で解約でき、多くのキャリアで解約金は免除されます。
  • クレジットカード:解約しても未払い残高は相続債務として残ります。年会費の引き落とし前に連絡を。
  • 生命保険:名義変更ではなく保険金請求。請求権の時効は3年(かんぽ生命は5年)なので忘れずに。
  • 火災保険:家を相続する人への契約者変更が必要。未変更だと保険金が支払われないトラブルの原因になります。

見落としがちなのが、NHK受信料・新聞・動画配信・スポーツジムなどの月額契約です。通帳やクレジットカードの明細を過去1年分さかのぼると、引き落とし契約を網羅的に洗い出せます。

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06 名義変更を効率よく進める順番と全体スケジュール

名義変更を個別バラバラに進めると、同じ戸籍謄本を何度も取り直すことになり非効率です。次の順番で進めると、書類の使い回しがきき、期限にも間に合いやすくなります。

  • ステップ1(死後2週間以内):死亡届・年金停止・健康保険の資格喪失など役所手続きを済ませ、あわせて戸籍謄本・住民票の除票を複数枚取得。
  • ステップ2(〜3ヶ月):相続財産と負債を調査し、相続放棄するかを判断(期限3ヶ月)。並行して公共料金・サブスクの解約。
  • ステップ3(〜6ヶ月):遺産分割協議をまとめ、協議書を作成。法定相続情報一覧図を法務局で取得すると、以後の手続きで戸籍一式の提出が不要になり大幅に時短できます。
  • ステップ4(〜10ヶ月):預貯金・株式・不動産・車の名義変更を実行。相続税の申告が必要な場合は期限(10ヶ月)までに納付。

【時短ワザ】法務局の「法定相続情報証明制度」を使うと、戸籍の束の代わりにA4一枚の一覧図の写し(無料・必要枚数交付)で銀行・証券・法務局・税務署の手続きができます。名義変更先が3ヶ所以上あるなら、最初に取得するのがおすすめです。

すべてを自分で行った場合の総所要期間は3〜6ヶ月程度、司法書士等にまとめて依頼した場合は実働負担がほぼなくなり、費用は遺産の内容により10〜30万円程度が目安です。

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07 期限を過ぎた・放置した場合のリスクとリカバリー方法

「気づいたら期限を過ぎていた」という場合も、慌てずにリカバリーは可能です。ただし放置期間が長いほど選択肢は狭まります。

  • 相続登記の3年を過ぎた場合:直ちに過料になるわけではなく、法務局から催告を受けても申請しない場合に過料の手続きが進みます。気づいた時点ですぐ申請するか、協議が難航しているなら相続人申告登記で義務を果たしましょう。
  • 相続税の10ヶ月を過ぎた場合:無申告加算税(原則5〜20%)と延滞税が課され、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が使えなくなる恐れがあります。一日でも早く期限後申告を。
  • 車の名義変更を放置した場合:自動車税の未納が積み重なると車検が受けられません。まず未納分を精算し、移転登録を行います。
  • 数次相続が発生してしまった場合:相続人が10人以上に膨らむケースもあります。全員の協力が得られないときは、司法書士・弁護士に連絡・調整から依頼するのが現実的です。

名義変更は「後でやろう」が最大の敵です。期限のある相続登記・相続税を軸にスケジュールを立て、期限のない預貯金や株式も四十九日〜1周忌までを目安に終わらせてしまいましょう。手続きの量が多く手が回らない場合は、司法書士や行政書士の「相続手続き丸ごと代行(遺産整理業務)」の利用も検討してください。

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この記事のまとめ

  • 名義変更の期限は財産ごとに異なり、不動産の相続登記は3年以内(義務・過料10万円以下)、自動車は原則15日以内
  • 預貯金・株式に法定期限はないが、10年放置で休眠預金化や数次相続による手続きの複雑化リスクがある
  • 相続放棄3ヶ月・相続税申告10ヶ月・相続登記3年という3つの期限を軸にスケジュールを組む
  • 法定相続情報一覧図を最初に取得すると、複数の名義変更で戸籍一式の提出が不要になり大幅に時短できる
  • 期限超過に気づいたら放置せず、相続人申告登記や期限後申告などのリカバリー手段をすぐに実行する

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月28日

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