実家を相続して売却するには「遺産分割協議→相続登記→査定・媒介契約→売買契約・引き渡し→確定申告」という順序で進めるのが基本です。相続人が複数いる場合は、誰が実家を相続し、売却代金をどう分けるかを最初に明確にしておくことが、後のトラブルを避ける最大のポイントになります。

親が亡くなり実家を相続した後、「住む予定がないので売却したいが、何から始めればいいか分からない」という声はよく聞かれます。この記事では実家を相続してから売却するまでの具体的な手順を、相続人が複数いる場合の注意点や代償分割の考え方も含めて解説します。

この記事でわかること

  • 実家相続から売却完了までの全体の流れ
  • 相続人が複数いる場合の遺産分割協議のポイント
  • 共有名義で売却する場合と代償分割の考え方
  • 売却代金の分け方と税金の注意点

★ あわせて準備したい

遺産分割協議に備えて話し合いの記録を残す

相続人同士の話し合いは、後のトラブル防止のために記録を残しておくことが大切です。ノートや録音機器を用意し、決定事項を書面化しましょう。

3年以内 相続登記の申請義務期限
2024年4月施行
3〜6ヶ月程度 査定〜引き渡しまでの平均期間
物件により変動
法定相続分 遺産分割協議がまとまらない場合の分割基準
民法上の原則

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01 実家相続から売却までの全体の流れ

実家を相続して売却するまでの流れは、大きく次の5段階に分けられます。

  • ①遺産分割協議:相続人全員で実家を誰が相続するか(または共有するか)を話し合います。
  • ②相続登記:協議内容に基づき、法務局で名義変更の登記を行います。
  • ③査定・媒介契約:不動産会社に査定を依頼し、売却を任せる媒介契約を結びます。
  • ④売買契約・引き渡し:買主が見つかれば契約を締結し、代金を受け取り引き渡します。
  • ⑤確定申告:譲渡所得が発生した場合、翌年に申告します。

この一連の流れの中で最も時間がかかりやすいのが遺産分割協議です。相続人全員の合意形成に時間がかかると、その後の手続き全体が遅れてしまいます。

【ポイント】2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になる可能性があります。売却する・しないに関わらず、早めに登記を済ませておきましょう。

遺産分割協議がスムーズに進むかどうかは、相続人同士の関係性や、実家に対する思い入れの強さによって大きく左右されます。特に「実家に住み続けたい」「思い出の詰まった家を手放したくない」といった感情的な事情がある場合は、単純な損得勘定だけでは合意形成が難しいこともあります。話し合いの初期段階で、それぞれの相続人の希望を丁寧にヒアリングすることが、後のトラブルを防ぐ第一歩になります。

01 実家相続から売却までの全体の流れ
写真: Kampus Production / Pexels

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02 相続人が複数いる場合の遺産分割協議のポイント

実家のような不動産は現金と違って簡単に分割できないため、複数の相続人がいる場合は分け方の方針を決める必要があります。

  • 現物分割:実家は長男が相続し、他の財産(預貯金等)は他の相続人が相続する方法。
  • 代償分割:実家を1人が相続する代わりに、他の相続人に相当額の現金(代償金)を支払う方法。
  • 換価分割:実家を売却し、その代金を相続人で分割する方法。売却前提の場合、最もトラブルが少ない方法とされています。
  • 共有:実家を相続人全員の共有名義にする方法。将来的な売却や管理で意見が分かれやすく、あまり推奨されません。

売却を前提とするなら、最初から換価分割を選び、「売却してから代金を分ける」と決めておくのが最もシンプルでトラブルが少ない進め方です。

遺産分割協議では、実家以外の財産(預貯金、株式、他の不動産等)も合わせて全体のバランスを見ながら話し合うことが重要です。実家だけを切り離して議論すると、他の財産の分け方との整合性が取れなくなり、後から「全体で見ると不公平だった」という不満が生じることがあります。専門家(税理士・司法書士)に全体像を整理してもらいながら進めると、公平な分割案を検討しやすくなります。

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03 共有名義での売却と代償分割の考え方

すでに共有名義になっている場合や、代償分割を選ぶ場合の注意点を解説します。

共有名義での売却

共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。1人でも反対すると売却できないため、事前に全員の意思を確認しておくことが不可欠です。共有者の一部が遠方に住んでいる、連絡が取りにくいといった場合は、司法書士や弁護士に間に入ってもらうとスムーズに進むことがあります。

代償分割を選ぶ場合

実家に住み続けたい相続人がいる場合、その人が実家を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法があります。代償金の金額は不動産の時価を基準に決めるのが一般的で、専門家による査定を参考にすると公平性を保ちやすくなります。

いずれの方法でも、後々のトラブルを避けるためには遺産分割協議書を書面で残すことが重要です。口約束だけで進めると、後から「言った・言わない」の争いになりかねません。

代償金の支払いは一括が原則ですが、相続人の資金事情によっては分割払いを検討するケースもあります。ただし分割払いにする場合は、支払期日や利息の有無、万一支払いが滞った場合の取り扱いなどを遺産分割協議書に明記しておく必要があります。曖昧なまま口頭の約束だけで進めると、後になって支払いが滞った際に法的な対応が難しくなることがあるため注意しましょう。

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04 売却代金の分け方と税金の注意点

換価分割で実家を売却した場合、代金の分配と税金について押さえておくべきポイントがあります。

  • 分配割合:遺産分割協議で決めた割合(多くは法定相続分)に応じて売却代金を分配します。
  • 譲渡所得税は各相続人が申告:換価分割の場合、売却による譲渡所得税は、代金を受け取った相続人それぞれが自分の持分割合に応じて確定申告する必要があります。
  • 3,000万円特別控除:要件を満たせば、共有者それぞれが最大3,000万円の控除を使える場合があります(共有者の人数分の控除枠になる可能性があるため、税理士に確認するのが安心です)。

代償分割の場合は、代償金を受け取った相続人には贈与税ではなく相続税の対象として扱われるのが原則ですが、金額や状況によって取り扱いが変わることもあるため、専門家に確認しておくと安心です。

換価分割の場合、便宜上は1人の相続人名義で売却手続きを進め、後から代金を分配する方法を取ることもありますが、この方法だと税務上「贈与」とみなされるリスクがあるため注意が必要です。遺産分割協議書に「換価分割のために代表者名義で売却する」旨を明記しておけば、税務署に対して贈与ではなく遺産分割の一環であることを説明しやすくなります。

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02 相続人が複数いる場合の遺産分割協議のポイント
写真: Thirdman / Pexels

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05 実家売却でよくあるトラブルと回避策

相続後の実家売却では、いくつかの典型的なトラブルが発生しがちです。

  • ①相続人の一人が売却に反対する:換価分割の方針を早い段階で全員に共有し、合意を得ておくことが重要です。
  • ②連絡が取れない相続人がいる:家庭裁判所の手続き(不在者財産管理人の選任等)が必要になる場合があります。早めに司法書士や弁護士に相談しましょう。
  • ③査定額や売却価格で意見が割れる:複数の不動産会社に査定を依頼し、根拠のある価格を全員で共有すると納得感が得やすくなります。
  • ④固定資産税や管理費用の負担で揉める:売却完了までの固定資産税は、遺産分割協議で誰がどう負担するか決めておくとトラブルを防げます。

いずれのトラブルも、早い段階での話し合いと書面化によって多くは防げます。感情的な対立を避けるため、必要に応じて第三者(専門家)を交えるのも有効な手段です。

それでも合意に至らない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停を利用する方法があります。調停では調停委員が間に入り、当事者同士が顔を合わせずに話し合いを進められるため、感情的な対立が激しい場合でも冷静に協議を進めやすくなります。調停でも合意できない場合は審判に移行し、裁判所が分割方法を決定します。長期化するとその分売却のタイミングも遅れるため、できる限り早い段階での話し合いが望ましいといえます。

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06 実家売却の具体的な手順とスケジュール

実際の手順とおおよそのスケジュールを整理します。

  • STEP1:遺産分割協議(1〜3ヶ月程度):換価分割の方針を含め、相続人全員で合意し協議書を作成します。
  • STEP2:相続登記(数週間〜1ヶ月程度):法務局で名義変更を行います。司法書士に依頼すると手続きがスムーズです。
  • STEP3:家財の片付け(1週間〜1ヶ月程度):遺品整理業者への依頼や自力での仕分けを行います。
  • STEP4:査定・媒介契約・売却活動(1〜3ヶ月程度):複数社に査定を依頼し、条件の良い会社と契約します。
  • STEP5:売買契約・引き渡し:買主が決まれば契約を結び、代金を受け取ります。
  • STEP6:代金の分配と翌年の確定申告:協議で決めた割合に応じて分配し、各自が申告します。

全体では半年〜1年程度かかることも珍しくありません。相続人全員が納得できる形で進めるためにも、早い段階からの情報共有と専門家への相談を心がけましょう。

遠方に住む相続人が多い場合は、対面での話し合いだけでなく、オンライン会議ツールを活用するのも一つの方法です。全員が一堂に会する機会を作るのが難しくても、画面越しに顔を合わせながら話し合うことで、メールや電話だけのやり取りよりも合意形成がスムーズに進むことがあります。定期的に進捗を共有する場を設けることが、実家売却を滞りなく進める鍵になります。

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この記事のまとめ

  • 実家相続から売却までは遺産分割協議→相続登記→査定→契約→確定申告の順で進める
  • 相続人が複数いる場合は現物・代償・換価分割・共有のいずれかを早めに決める
  • 売却前提なら換価分割が最もトラブルが少なく分かりやすい方法とされる
  • 共有名義の売却には共有者全員の同意が必須で反対者がいると売却できない
  • 手続き全体は半年〜1年程度かかるため早い段階での話し合いと専門家相談が重要

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 空き家・実家の片付け担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年07月02日

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