『遺産分割は相続人全員の合意が必要で、兄弟の法定相続分は原則として均等です』。親が亡くなり、兄弟姉妹で遺産を分けるときは、まずこの原則を共有することが争いを防ぐ第一歩になります。実家など分けにくい不動産をどうするか、預貯金をどう分けるか、介護をした人の貢献をどう考えるか。順番に整理すれば、感情的にならずに話し合いを進められます。

実家じまいや相続の手続きでは、誰が何をどれだけ受け取るかをめぐって兄弟の関係がこじれてしまうことも少なくありません。この記事では、兄弟姉妹での遺産分割協議の具体的な進め方と、公平に分けて揉めないためのコツを、やさしく解説します。

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この記事でわかること

  • 兄弟の法定相続分(原則均等)の考え方
  • 実家など不動産の分け方(代償・換価・共有)
  • 預貯金の分け方と寄与分・特別受益の扱い
  • 揉めないコツとまとまらないときの調停

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兄弟の法定相続分は原則として均等

兄弟姉妹で遺産を分けるとき、まず知っておきたいのが法定相続分です。これは法律が定める一応の取り分の目安です。

  • 子が複数いる場合、子全体の相続分を人数で均等に分ける
  • 親(配偶者)が健在なら、配偶者が2分の1、子全体で2分の1を均等割り
  • 配偶者がいない場合は、子全体で全部を均等に分ける
  • 長男だから多い、ということは法律上はない

たとえば母がすでに亡くなり、父の遺産を兄弟3人で分けるなら、それぞれ3分の1ずつが法定相続分です。配偶者である母が健在なら、母が2分の1、残る2分の1を子3人で分けるため、子はそれぞれ6分の1ずつになります。あくまで目安であり、相続人全員が合意すれば、この割合と違う分け方をすることもできます。まずは全員でこの基準を共有しておくと、話し合いの出発点がそろい、感情論になりにくくなります。

兄弟の法定相続分は原則として均等

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実家など分けにくい不動産の分け方

兄弟の遺産分割でもっとも揉めやすいのが、実家などの不動産です。お金のように単純に割れないため、分け方を選ぶ必要があります。

  • 代償分割:1人が家を取得し、他の兄弟に相当額のお金を支払う
  • 換価分割:家を売却し、その代金を兄弟で分ける
  • 共有:兄弟の共有名義のままにする(注意が必要)
  • 現物分割:土地を分筆して分ける方法もある

実家に住み続けたい兄弟がいるなら、その人が家を取得し、他の兄弟に相当額のお金を渡す代償分割が公平です。誰も住まないなら、売って代金を分ける換価分割がすっきりします。注意したいのは共有名義のまま残すこと。一見公平ですが、将来その家を売ったり建て替えたりするとき全員の同意が必要になり、さらに次の世代へ相続が進むと共有者が増えて収拾がつかなくなりがちです。共有は安易に選ばないのが無難です。

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預貯金など分けやすい財産の分け方

預貯金や現金は金額で割れるため、不動産に比べて分けやすい財産です。ただし手続きの順番には注意が必要です。

  • 残高を確認し、合意した割合で各自の口座へ振り分ける
  • 原則として、遺産分割が決まるまでは勝手に引き出さない
  • 葬儀費用などは仮払い制度で一定額を引き出せる場合がある
  • 不動産を取得した人の代償金を、預貯金で調整することもできる

預貯金は金額がはっきりしているため、合意した割合どおりに分ければトラブルになりにくい財産です。ポイントは、誰かが先に引き出してしまわないこと。亡くなった方の口座は通常いったん凍結され、相続人全員の合意がないと引き出せません。葬儀費用などに困る場合は、一定額までを単独で引き出せる仮払い制度もあります。預貯金は調整役としても便利で、実家を取得した兄弟が他の兄弟に渡す代償金にあてれば、全体の公平さを保ちやすくなります。

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介護や同居の貢献(寄与分)の考え方

親の介護をした、家業を手伝ったなど、特定の兄弟が財産の維持や増加に特別に貢献した場合、その分を考慮する仕組みが寄与分です。

  • 長年の介護や家業の手伝いなど、特別な貢献があったか
  • 通常の親子の助け合いを超える程度の貢献かどうか
  • 寄与分が認められると、その人の取り分が増える
  • 金額の評価が難しく、兄弟間で意見が割れやすい

同居して長年親を介護した兄弟が、他の兄弟と同じ取り分では納得しにくい、というのはよくある悩みです。こうした特別な貢献を反映するのが寄与分で、認められればその人の取り分を増やせます。ただし、単に近くに住んでいた、たまに様子を見ていた程度では認められにくく、通常の助け合いを超える貢献が必要とされます。評価の難しさから揉めやすいため、介護の記録や領収書を残しておき、まずは兄弟の話し合いで納得できる形を探るのが現実的です。

実家など分けにくい不動産の分け方

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生前贈与(特別受益)の扱い

寄与分とは逆に、特定の兄弟が生前に親から多くの援助を受けていた場合、それを考慮するのが特別受益の仕組みです。

  • 住宅資金や事業資金など、まとまった生前贈与を受けていたか
  • 受けた分を相続財産に加えて計算し、全体の公平を図る
  • 結果として、贈与を受けた人の取り分は少なくなる
  • 少額の援助や生活費まで一つずつ問題にする必要はない

たとえば兄が家を建てるとき親から多額の援助を受けていた場合、その分を考えずに兄弟で均等に分けると、援助を受けていない弟が不公平に感じます。こうしたまとまった生前贈与を相続の前渡しとみなし、計算に入れて公平を図るのが特別受益です。贈与を受けた人の取り分はその分少なくなります。ただし、日常の生活費やお小遣い程度まで持ち出すと話がこじれるので、住宅資金や事業資金などの大きな援助に絞って考えるのが現実的です。

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兄弟で揉めないためのコツ

遺産分割で兄弟の関係を壊さないためには、お金の額以上に進め方が大切です。少しの心がけで多くの争いは防げます。

  • 財産の内容(不動産・預貯金・借金など)を全員で正確に共有する
  • 「均等が原則」という基準を最初にそろえておく
  • 介護や贈与など、特別な事情は早めに正直に話し合う
  • 合意した内容は必ず遺産分割協議書という書面に残す
  • 感情がぶつかりそうなら専門家を間に入れる

揉める原因の多くは、金額そのものより「情報を隠された」「不公平に扱われた」という不信感です。まずは誰がどんな財産を把握しているかを全員で共有し、隠し事をしないことが何より大切です。そのうえで、均等を原則としつつ介護や贈与の事情を正直に出し合えば、納得できる落としどころが見つかりやすくなります。話し合いがまとまったら、口約束ではなく遺産分割協議書にして全員が署名・押印しておくと、後の言った言わないを防げます。

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まとまらないときは調停という方法がある

話し合いだけではどうしてもまとまらないこともあります。そのときは家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。

  • 家庭裁判所に申し立てると、調停委員を交えて話し合える
  • 第三者が間に入るため、感情的な対立が和らぎやすい
  • それでもまとまらなければ審判で裁判所が判断する
  • 申し立て方法は裁判所の窓口や公式サイトで確認できる

兄弟だけで話すと感情が先に立ち、平行線になってしまうことがあります。そんなときは家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てると、中立的な調停委員が双方の言い分を聞きながら解決を手伝ってくれます。当事者だけのときより冷静に話せることも多く、合意できれば調停成立として効力を持ちます。それでもまとまらない場合は審判に移り、裁判所が法定相続分などをもとに分け方を決めます。手続きの詳しい流れや必要書類は、裁判所の窓口や公式サイトで確認できます。早めに弁護士など専門家に相談するのも有効です。

よくある質問

Q. 兄弟の遺産の取り分(法定相続分)はどう決まりますか?

A. 子が複数いる場合、子全体の相続分を人数で均等に分けるのが原則です。母などの配偶者が健在なら、配偶者が2分の1、子全体で2分の1を均等に割ります。配偶者がいなければ子全体で全部を均等に分けます。長男だから多いということは法律上はありません。ただし、これはあくまで目安で、相続人全員が合意すれば違う分け方をすることもできます。

Q. 実家など分けにくい不動産はどう分ければいいですか?

A. 主な方法は3つあります。1人が家を取得して他の兄弟に相当額を支払う代償分割、家を売って代金を分ける換価分割、そして兄弟の共有名義にする共有です。住み続けたい人がいれば代償分割、誰も住まないなら換価分割が公平です。共有名義のまま残すと、売却や建て替えに全員の同意が必要になり、次の世代で共有者が増えて揉めやすいため、安易に選ばないほうがよいでしょう。

Q. 親の介護をした兄弟の取り分を増やせますか?

A. 長年の介護など、財産の維持や増加に特別な貢献をした場合は、寄与分として取り分を増やせる可能性があります。ただし、通常の親子の助け合いを超える程度の貢献が必要とされ、たまに様子を見ていた程度では認められにくいです。評価が難しく揉めやすいので、介護の記録や領収書を残しておき、まずは兄弟の話し合いで納得できる形を探るのが現実的です。

Q. 遺産分割で兄弟と揉めないコツはありますか?

A. まず財産の内容を全員で正確に共有し、隠し事をしないことが大切です。均等を原則という基準を最初にそろえ、介護や生前贈与など特別な事情は早めに正直に話し合いましょう。合意した内容は口約束にせず、遺産分割協議書として書面に残し全員が署名・押印します。感情がぶつかりそうなら、弁護士などの専門家を間に入れると冷静に進めやすくなります。

Q. 話し合いがまとまらないときはどうすればいいですか?

A. 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てると、中立的な調停委員を交えて話し合えます。第三者が入ることで感情的な対立が和らぎ、当事者だけより冷静に進められることが多いです。合意できれば調停成立として効力を持ち、それでもまとまらなければ審判に移って裁判所が分け方を判断します。手続きの流れや必要書類は裁判所の窓口や公式サイトで確認でき、早めに専門家へ相談するのも有効です。

この記事のまとめ

  • 兄弟の法定相続分は原則として均等。配偶者がいれば配偶者2分の1、子全体で2分の1を均等割り
  • 実家など不動産は代償分割・換価分割で分けるのが基本。共有名義のまま残すのは将来の負担になりやすい
  • 預貯金は割合どおりに分け、勝手な引き出しは避ける。代償金の調整にも使える
  • 介護の貢献は寄与分、生前贈与は特別受益として考慮し、全体の公平を図る
  • 情報共有と書面化で揉めごとを予防し、まとまらなければ家庭裁判所の調停を利用する

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月28日

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