相続税申告に必要な書類は大きく分けて「身分関係書類」「遺産分割書類」「財産関連書類」「債務・費用書類」の4種類で、これらをすべて揃えてはじめて申告書を税務署に提出できます。書類の種類は多岐にわたり、取得場所も市区町村役場・法務局・金融機関・保険会社など複数にわたるため、早めに動き出すことが肝心です。

「どの書類をどこで取ればいいかわからない」「何から手をつければいいか混乱している」という方は多くいらっしゃいます。この記事では、相続税申告に必要な書類を全項目リストアップし、それぞれの取得場所・費用・注意点をわかりやすく解説します。申告期限(相続開始を知った翌日から10ヶ月以内)に間に合わせるための実践的なチェックリストとしてご活用ください。

この記事でわかること

  • 相続税申告に必要な書類の全リストと取得場所
  • 戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などの取り方と注意点
  • 不動産・預貯金・有価証券・生命保険ごとの必要書類
  • 書類収集のスケジュール管理と申告期限の守り方

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10ヶ月以内 相続税申告期限
相続開始を知った翌日から(国税庁)
3,000万円+600万円×法定相続人数 相続税基礎控除額
この金額以下なら申告不要
3年以内 相続登記の義務化期限
2024年4月1日施行・違反で10万円以下の過料

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01 相続税申告の期限と書類準備の全体スケジュール

相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内と国税庁が定めています。たとえば2025年1月10日に被相続人が亡くなったことを知った場合、申告期限は2025年11月10日となります。この期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が発生するため、書類収集は早めにスタートすることが重要です。

  • 死亡直後〜1ヶ月:死亡診断書の取得、死亡届の提出、相続人の確認
  • 1〜3ヶ月:相続放棄の検討(相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述)、戸籍謄本の収集開始
  • 3〜6ヶ月:遺産の全体像の把握、財産関連書類の取得、遺産分割協議の開始
  • 6〜9ヶ月:遺産分割協議書の作成・署名・押印、申告書の作成
  • 9〜10ヶ月:申告書の最終確認・税務署への提出・納税

なお、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が課される可能性があります。申告と並行して登記手続きも進めるとよいでしょう。

【重要】相続放棄を検討している場合は期限に注意してください。相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限の延長申請は可能ですが、何もしないと単純承認とみなされ、被相続人の債務も引き継ぐことになります。

01 相続税申告の期限と書類準備の全体スケジュール
写真: Nataliya Vaitkevich / Pexels

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02 身分関係書類|戸籍謄本・住民票の集め方

相続税申告でまず揃えるべきは、被相続人と相続人全員の身分関係を証明する書類です。相続人を確定させるために戸籍を「出生から死亡まで」つなげて収集する必要があり、これが最も時間のかかる作業です。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡まですべて):本籍地の市区町村役場で取得。転籍歴がある場合は過去の本籍地にも請求が必要。手数料は1通450〜750円程度。
  • 被相続人の住民票の除票:死亡時の住所地の市区町村役場で取得。手数料は1通200〜300円程度。
  • 相続人全員の戸籍謄本:各相続人の本籍地の市区町村役場で取得。
  • 相続人全員の住民票:各相続人の住所地の市区町村役場で取得。マイナンバーなしのものを請求してください。
  • 相続人全員の印鑑証明書:住所地の市区町村役場で取得。遺産分割協議書に添付するものは発行から3ヶ月以内のものが必要です。

複数の市区町村役場に請求する場合は郵送請求も利用できます。また、法定相続情報証明制度を活用すると、法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」を戸籍謄本の代わりに使用でき、各種手続きが大幅に効率化されます。相続人が多い場合や複数の金融機関手続きが必要な場合は、ぜひ活用を検討してください。

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03 遺産分割書類|遺産分割協議書と遺言書の取り扱い

相続人が複数いる場合、誰がどの財産を相続するかを決める「遺産分割協議書」の作成が必要です。この書類は相続税申告において非常に重要で、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用するためには必須となります。

  • 遺産分割協議書:相続人全員が参加して作成。公正証書形式は不要ですが、相続人全員の署名と実印の押印が必要。書式の指定はなく、自作も可能です。
  • 相続人全員の印鑑証明書:遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが必要です。手続きに時間がかかる場合は取得タイミングに注意してください。
  • 遺言書がある場合:公正証書遺言はそのまま使用可。自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続き(または法務局の保管制度利用の場合は不要)が必要です。

【注意】遺産分割が申告期限までに確定しない場合でも、「未分割」の状態で申告・納税を行うことができます。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は原則として適用できないため(後から申請できる場合あり)、できる限り期限内に協議を完了させることが望ましいです。

遺産分割協議書は相続人全員の合意がなければ成立しません。相続人間で意見が対立している場合は、早めに弁護士や家庭裁判所の調停制度を活用することを検討してください。

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04 不動産関連の必要書類|固定資産評価証明書・登記事項証明書

被相続人が不動産(土地・建物)を所有していた場合、相続税の計算上で評価額を算出するために複数の書類が必要です。また、2024年4月1日から相続登記が義務化されており、申告と並行して登記手続きも進める必要があります。

  • 固定資産税評価証明書(または固定資産課税台帳の写し):不動産所在地の市区町村役場で取得。相続税評価額の計算の基礎となります。手数料は1通200〜400円程度。
  • 登記事項証明書(全部事項証明書):法務局(オンライン申請も可)で取得。不動産の権利関係を確認するために使用。手数料は1通480〜600円程度。
  • 公図・地積測量図:法務局で取得。土地の形状や隣地との境界確認に使用。
  • 賃貸している場合:賃貸借契約書・賃料収入がわかる書類も必要です。

相続登記の際には登録免許税がかかります。計算式は固定資産税評価額×0.4%です。たとえば評価額が3,000万円の不動産なら12万円の登録免許税が必要になります。相続登記は相続を知った日から3年以内に行う義務があり、違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があります(法務省)。

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02 身分関係書類|戸籍謄本・住民票の集め方
写真: olia danilevich / Pexels

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05 預貯金・有価証券・生命保険の必要書類

金融資産については、相続発生時点の残高を証明する書類が中心となります。銀行口座は死亡が金融機関に知られると凍結されますが、仮払い制度を利用することで一定額を引き出すことが可能です。

  • 預貯金(銀行・信用金庫等):残高証明書(相続発生日現在のもの)、通帳のコピー(過去3〜5年分)。各金融機関の窓口に死亡診断書と相続関係書類を提出して請求します。
  • 有価証券(株式・投資信託等):証券会社発行の残高証明書(相続発生日現在)。証券会社の窓口または郵送で請求できます。
  • 生命保険:保険金支払通知書(保険会社から送付)、保険証書。死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります(非課税枠:500万円×法定相続人数)。

【銀行口座凍結後の仮払い制度】口座凍結後も、1金融機関あたり「預金残高×1/3×相続人の法定相続分」または150万円のいずれか低い金額まで、相続人1人で仮払い請求が可能です(民法改正により2019年7月から施行)。葬儀費用の支払いなど緊急の場合に活用できます。

残高証明書の発行には数日〜2週間程度かかる場合があります。また過去の取引履歴(通帳)は相続前の贈与の有無を確認するためにも使用されます。できるだけ早めに各金融機関に連絡を入れましょう。

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06 債務・葬儀費用の書類|相続税から差し引ける費用

相続税の計算では、被相続人が残した債務(借入金・未払い税金等)と葬儀費用を遺産総額から控除することができます。これらを正確に把握するための書類収集も忘れずに行いましょう。

  • 借入金・ローン:金融機関発行の借入残高証明書(相続発生日現在)。住宅ローンは団体信用生命保険(団信)で完済される場合があるため、保険の適用確認も必要です。
  • 未払い税金・公共料金:固定資産税・住民税等の未払い分は債務控除の対象。市区町村役場で納税証明書を取得してください。
  • 葬儀費用:葬儀社・火葬場・お布施等の領収書をすべて保管してください。香典返しや墓地購入費は控除対象外です。
  • 医療費等の未払い費用:入院費・治療費等の未払い分も控除対象となります。病院の請求書・領収書を保管してください。

債務控除が適用できると相続税の課税対象額が減少するため、漏れなく収集することが節税につながります。なお、相続放棄をした相続人は債務控除を受けることができません。また、葬儀費用の領収書は再発行が難しい場合があるため、紛失しないよう注意してください。

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07 申告書の作成と提出|国税庁の様式と提出先

必要書類がすべて揃ったら、いよいよ相続税申告書の作成です。申告書の様式は国税庁ホームページからダウンロードでき、「相続税の申告書(第1表〜第15表)」の中から必要な様式を選んで使用します。

  • 申告書の入手先:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/)の「申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)」から無料でダウンロード可能。e-Tax(電子申告)でのオンライン提出も可能です。
  • 主な申告書の種類:第1表(相続税の申告書)、第2表(相続税の総額の計算書)、第11表(相続税がかかる財産の明細書)、第13表(債務及び葬式費用の明細書)等。
  • 提出先:被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署。相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地の税務署である点に注意が必要です。
  • 提出方法:窓口持参、郵送、e-Taxのいずれかで提出できます。

【基礎控除の確認】相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人数」です。たとえば法定相続人が3人なら4,800万円となり、遺産総額(債務・葬儀費用控除後)がこの金額以下であれば相続税の申告は不要です。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用する場合は、税額がゼロでも申告が必要です。

相続税の申告は複雑で、誤りがあると税務調査の対象になる可能性があります。財産の評価方法や特例の適用には専門知識が必要なため、税理士への依頼も検討してください。税理士費用は遺産総額の0.5〜1%程度が相場ですが、節税額がそれを上回るケースも多くあります。

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この記事のまとめ

  • 相続税申告の期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内(国税庁)で、期限超過は加算税・延滞税の対象となる
  • 必要書類は「身分関係書類(戸籍謄本・住民票)」「遺産分割書類(協議書・印鑑証明書)」「財産関連書類」「債務・葬儀費用書類」の4種類に整理できる
  • 遺産分割協議書には相続人全員の署名・実印・発行3ヶ月以内の印鑑証明書が必要で公正証書形式は不要
  • 申告書様式は国税庁ホームページから無料ダウンロードでき、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出する
  • 相続登記は2024年4月1日から義務化(3年以内)、不動産がある場合は申告と並行して法務局への登記手続きも進めること

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月25日

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