不動産の相続登記が義務化!2024年4月施行の内容と対応方法
2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記を申請しなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。これまで任意とされてきた相続登記が法律上の義務となったことで、多くの方が「いつまでに何をすればいいのか」と不安を感じています。
「親が亡くなったが不動産の名義変更をまだしていない」「昔からずっと祖父名義のままになっている土地がある」——そんな悩みを抱えている方は少なくありません。この記事では、相続登記義務化の具体的な内容・手続きの流れ・費用・経過措置まで、対応に必要な情報をすべてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 相続登記義務化の施行日・期限・違反した場合の罰則
- 義務化以前の未登記不動産への経過措置(2027年3月31日まで)
- 相続人申告登記制度(簡易版)の活用方法
- 法務局への申請手順・費用(登録免許税)・オンライン申請の方法
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01 相続登記義務化とは?改正の背景と目的
相続登記の義務化は、2024年4月1日に施行された改正不動産登記法によって定められました。これまで日本では、不動産を相続しても登記名義の変更(相続登記)は法律上の義務ではなく、任意とされていました。その結果、全国各地に「所有者不明土地」が大量に発生し、社会問題となっています。
法務省の調査によれば、所有者不明土地の約66%が相続登記の未了によるものと推定されています。所有者が特定できない土地は、公共事業の推進・災害復旧・民間開発などのあらゆる場面で障害となります。また、相続が重なるにつれて相続人の数が増加し、手続きがさらに複雑になるという悪循環も生じていました。
- 2021年4月:不動産登記法・民法等の改正法が成立
- 2024年4月1日:相続登記義務化が施行
- 義務化の目的:所有者不明土地問題の解消と円滑な土地利用の実現
- 対象:相続・遺贈(相続人への遺贈)によって取得した全ての不動産
義務化は新たな相続だけでなく、過去の未登記不動産にも適用されます。「まだ名義が亡くなった親や祖父のままになっている」という場合でも対応が必要です。まずは義務化の内容を正確に理解することが第一歩です。
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02 義務化の具体的な内容・期限・罰則
改正不動産登記法によって定められた相続登記義務化の内容は、大きく次の3つのポイントに整理できます。手続きの期限と違反した場合のペナルティをしっかり確認しておきましょう。
【義務化の3大ポイント】
①相続による不動産の所有権移転を知った日から3年以内に登記申請が必要
②正当な理由なく期限内に申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される
③簡易的な「相続人申告登記」制度が新設され、期限内に申し出ることで義務を履行したとみなされる猶予措置が利用可能
- 申請期限:相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
- 過料:正当な理由がなく期限までに申請しない場合、10万円以下の過料(行政上の制裁)が科される
- 正当な理由の例:相続人が多数で把握できない、申請に必要な書類を収集できない事情がある、などの場合は申請義務の猶予が認められる場合がある(法務省令で定める)
- 申請先:不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
- オンライン申請:登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)を利用して申請可能
過料は刑事罰ではなく行政上の制裁ですが、一度課されると記録に残ります。「知らなかった」では済まされない義務であるため、相続が発生したら速やかに登記手続きを確認することが大切です。
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03 経過措置:過去の未登記不動産はどう扱われる?
相続登記の義務化は2024年4月1日以降に発生した相続だけに限られるものではありません。それ以前に発生した相続で、まだ登記が未了になっている不動産も義務化の対象となります。ただし、過去分については経過措置が設けられています。
- 経過措置の期限:2027年3月31日までに登記申請を行えば過料は科されない
- 義務化施行前(2024年3月31日以前)に相続が発生し、今も名義変更が済んでいない不動産は、2027年3月31日までが猶予期間となる
- 経過措置期間内であっても、早めに手続きを済ませることが推奨される
- 複数の相続が重なっている場合(数次相続)も同様に対象となる
「亡くなった祖父名義のままになっている土地がある」「親の相続の際に家の名義を変えていなかった」といったケースでも、2027年3月31日までに対応すれば過料は科されません。ただし、手続きには戸籍収集など時間がかかるため、早めの着手をおすすめします。
数十年前の相続が積み重なっている場合、当時の戸籍謄本(改製原戸籍など)を集める作業が非常に煩雑になることがあります。特に昭和の相続案件では除籍謄本の取り寄せに時間を要するため、余裕をもって準備を始めてください。
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04 相続人申告登記制度とは?簡易版の活用法
義務化に合わせて新設されたのが「相続人申告登記」制度です。これは通常の相続登記(所有権移転登記)が難しい状況でも、期限内に義務を果たせるよう設けられた簡易的な申し出制度です。
- 相続人であることを法務局に申し出るだけで、登記申請義務を履行したとみなされる
- 遺産分割協議が未成立の場合や、相続人全員の同意が得られない場合に特に有効
- 通常の相続登記よりも必要書類が少なく、申し出が比較的容易
- ただし、これは暫定的な措置であり、遺産分割が成立した後は3年以内に改めて通常の相続登記が必要
- 相続人申告登記は登記簿に「相続人である旨」が付記される形式であり、所有権の移転を示す正式な登記ではない
相続人申告登記を利用するケースとしては、「遺産分割でもめていて協議がまとまらない」「相続人の中に連絡が取れない人がいる」「とにかく期限だけは守りたい」という場面が典型です。この制度を活用することで、3年の期限内に義務を果たしつつ、時間をかけて遺産分割協議を進めることができます。
なお、通常の相続登記(所有権移転登記)が完了している場合は、相続人申告登記を別途行う必要はありません。
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05 相続登記の手続きの流れと必要書類
相続登記の手続きは、大きく「書類収集」「登記申請書の作成」「法務局への申請」の3段階に分かれます。自分で行うことも可能ですが、手続きが複雑な場合は司法書士への依頼が一般的です。
- STEP1:相続人の確定——被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集し、法定相続人を確定する
- STEP2:遺産分割協議——相続人全員で遺産の分割方法を話し合い、合意に至った場合は遺産分割協議書を作成(全員の署名・実印・印鑑証明書が必要。印鑑証明書は発行後3ヶ月以内のものが求められる場合が多い)
- STEP3:登記申請書の作成——法務局のホームページで書式を入手し、申請書を作成する
- STEP4:登録免許税の納付——固定資産税評価額×0.4%の登録免許税を収入印紙または電子納付で納付
- STEP5:法務局への申請——不動産所在地を管轄する法務局の窓口またはオンライン(登記ねっと)で申請
【遺産分割協議書作成の注意点】相続人全員の署名・実印・印鑑証明書(発行3ヶ月以内)が必要です。公正証書にする義務はありませんが、後々の紛争防止のために公正証書にすることも有効です。1人でも欠けると協議書は無効となります。
法務局では事前予約制の無料相談(登記手続き案内)を実施しています。申請書の書き方や必要書類について専門的なアドバイスを無料で受けられるため、自分で手続きを進める方は積極的に活用してください。予約は各法務局のホームページまたは電話で受け付けています。
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06 相続登記にかかる費用の目安
相続登記にかかる費用は、「登録免許税(実費)」と「司法書士報酬(依頼した場合)」の2種類に分けられます。費用の目安を事前に把握しておくことで、手続きの計画が立てやすくなります。
- 登録免許税:固定資産税評価額×0.4%(例:評価額2,000万円の不動産なら8万円)
- 固定資産税評価額の確認方法:毎年送られてくる固定資産税の納税通知書または市区町村役場で取得できる「固定資産評価証明書」で確認
- 戸籍謄本等の取得費用:1通数百円程度×取得枚数(相続関係が複雑なほど枚数が増える)
- 司法書士報酬:一般的に5万〜15万円程度(不動産の数・相続の複雑さによって異なる)
- 登記事項証明書(登記完了後に取得する場合):1通600円(窓口)または480円(オンライン)
なお、相続登記の登録免許税は相続税(固定資産税評価額ではなく相続税評価額を基に計算)とは別物です。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人数」で計算され、この金額を超える場合に相続税の申告・納付が必要となります(申告期限:相続開始を知った翌日から10ヶ月以内)。相続登記の費用とは切り離して考えましょう。
費用を抑えたい方は自分で申請することも可能ですが、戸籍収集・申請書作成に時間と手間がかかります。時間的・精神的なコストも含めて、専門家への依頼を検討することをおすすめします。
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07 相続登記と合わせて確認すべき相続手続き
不動産の相続登記は、相続手続き全体の一部にすぎません。相続発生後には複数の手続きが並行して走るため、それぞれの期限を正確に把握しておくことが重要です。
- 相続放棄の期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述。事情がある場合は期間延長の申請も可能(民法915条)
- 相続税申告・納付の期限:相続開始を知った翌日から10ヶ月以内(国税庁)。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に申告義務が生じる
- 準確定申告の期限:被相続人の死亡日の翌日から4ヶ月以内(被相続人に所得があった場合)
- 銀行口座の仮払い制度:口座凍結後でも、1金融機関あたり150万円または預金残高×1/3(相続人1人あたり)まで仮払いを受けられる制度がある(民法909条の2)
- 相続登記の期限:相続を知った日から3年以内(違反=10万円以下の過料)
相続手続きには複数の期限があります。最も短い「相続放棄(3ヶ月以内)」を最優先で検討し、次に「準確定申告(4ヶ月以内)」、「相続税申告(10ヶ月以内)」、そして「相続登記(3年以内)」という順序で対応を進めるのが基本です。
相続登記の期限は3年と比較的長いですが、遺産分割協議の成立には時間がかかることも多く、余裕をもって早期に着手することが大切です。また、遺産分割が成立した日からも3年以内に登記申請が必要な点も覚えておきましょう。複数の手続きが絡む場合は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
この記事のまとめ
- 2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の登記申請が法律上の義務となった
- 正当な理由なく期限内に申請しない場合は10万円以下の過料が科される(行政上の制裁)
- 義務化以前の未登記不動産も対象だが、2027年3月31日までの経過措置が設けられている
- 遺産分割協議が未成立の場合は「相続人申告登記」(簡易版)を活用することで期限内の義務履行が可能
- 相続登記の登録免許税は固定資産税評価額×0.4%。法務局の無料相談やオンライン申請も活用して早めに手続きを進めよう
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月25日
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