遺言書の例文を知りたい方へ。自筆証書遺言は、『全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印すること』が基本で、財産の特定と日付の書き方さえ守れば、本記事の文例をそのまま参考にして書けます。誰に何を遺すかをケース別に示した例文と、家族への感謝を伝える付言事項の文例を紹介します。書き出しと結びの形までそろえているので、迷わず書き進められます。

実家じまいや終活で「遺言書を残したいが、どう書けばいいか分からない」という方は多いものです。この記事では、配偶者に全財産を遺す場合や自宅と預貯金を分けて遺す場合など、よくあるケースごとに具体的な文例を載せ、それぞれの注意点も添えました。書き方の解説よりも、すぐ手を動かせる例文を中心にまとめています。

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この記事でわかること

  • ケース別の遺言書の例文(配偶者・子・孫・寄付など)
  • 付言事項(感謝の言葉)の文例
  • 書き出し・結び・日付・署名押印の書き方
  • 例文ごとの注意点と無効にしないコツ

01

遺言書の基本の形(書き出し・結び・署名押印)

まず、どのケースでも共通する遺言書の基本の形を押さえましょう。自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で手書きし、印鑑を押します。

  • 表題:「遺言書」と最初に書く
  • 本文:「遺言者○○○○は、次のとおり遺言する。」で始める
  • 日付:「令和○年○月○日」と年月日を正確に書く(『吉日』は無効)
  • 署名押印:住所・氏名を書き、印を押す(実印が望ましい)

書き出しは「遺言者 山田太郎は、次のとおり遺言する。」とし、各項目を「第一条」「第二条」と分けて書くと整理しやすくなります。最後は「令和七年六月一日 住所 ○○県○○市○○町一丁目二番三号 遺言者 山田太郎 印」と結びます。日付は必ず年月日まで特定し、「令和七年六月吉日」のような書き方は無効になるため避けてください。財産目録はパソコンで作成してもよいですが、その場合は各ページに署名押印が必要です。

遺言書の基本の形(書き出し・結び・署名押印)

02

配偶者に全財産を相続させる例文

最もシンプルなのが、配偶者など一人にすべてを相続させるケースです。

  • 「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻 山田花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。」
  • 続柄と生年月日を添えて、誰かを特定する
  • 「一切の財産」と書けば、後から見つかった財産もカバーできる

全財産を一人に相続させる場合でも、ほかに子などの相続人がいるときは遺留分(法律で保障された最低限の取り分)に注意が必要です。遺留分を侵害する内容でも遺言自体は有効ですが、後で他の相続人から請求される可能性があります。なぜその分け方にしたのかを付言事項で説明しておくと、家族の理解を得やすくなります。

03

自宅は長男・預貯金は次男に分ける例文

財産を種類ごとに分けて、複数の相続人に遺すケースの文例です。不動産と預貯金は、特定できるよう正確に書きます。

  • 不動産:「第一条 遺言者は、次の不動産を長男 山田一郎に相続させる。」として登記の表示を記載
  • 登記の表示例:「所在 ○○市○○町 / 地番 ○番○ / 地目 宅地 / 地積 ○○・○○平方メートル」
  • 預貯金:「第二条 遺言者は、次の預貯金を次男 山田二郎に相続させる。」
  • 口座の特定例:「○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○」

不動産は、住所ではなく登記簿(登記事項証明書)どおりの所在・地番・地目・地積を書きます。建物は家屋番号・構造・床面積を記載します。預貯金は金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号で特定すると、相続手続きがスムーズです。複数の財産があるときは「第一条」「第二条」と条文を分け、それぞれ誰に相続させるかを明確にしましょう。

04

特定の口座・孫への遺贈・寄付の例文

特定の財産を指定したり、相続人以外(孫や団体)に遺したりする場合の文例です。相続人以外に遺すことを『遺贈』といいます。

  • 特定の口座:「○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○の預金は、長女 佐藤良子に相続させる。」
  • 孫への遺贈:「遺言者は、次の財産を孫 山田三郎(平成○年○月○日生)に遺贈する。」
  • 寄付:「遺言者は、預金のうち金○○万円を、社会福祉法人○○会に遺贈する。」
  • 遺言執行者:「この遺言の執行者として、○○○○を指定する。」

孫や団体は相続人ではないため、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。寄付先は正式名称で記載し、事前に寄付を受け付けているか確認しておくと確実です。遺贈や寄付があるときは、手続きを進める『遺言執行者』を指定しておくと、残された家族の負担が軽くなります。寄付や遺贈の場合も、他の相続人の遺留分には配慮しておきましょう。

配偶者に全財産を相続させる例文

05

祭祀承継者の指定・予備的遺言の例文

お墓や仏壇を引き継ぐ人(祭祀承継者)の指定や、万一に備える予備的遺言も入れておくと安心です。

  • 祭祀承継者:「遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男 山田一郎を指定する。」
  • 祭祀財産:墓地・墓石・仏壇・位牌などを引き継ぐ人を決められる
  • 予備的遺言:「妻 山田花子が遺言者より先に死亡したときは、その財産を長男 山田一郎に相続させる。」

予備的遺言は、財産を遺す相手が自分より先に亡くなった場合に備える文言です。これがないと、その部分について改めて遺産分割の話し合いが必要になることがあります。「○○が先に死亡したときは、△△に相続させる」と一文添えておくだけで、家族が困らずに済みます。高齢の配偶者に多くを遺す場合などは、特に入れておくと安心です。

06

付言事項(感謝の言葉)の文例と注意点

付言事項とは、遺言の最後に書く、家族へのメッセージです。法的な効力はありませんが、分け方の理由や感謝を伝えることで、家族の納得につながります。

  • 感謝:「家族のみんな、長い間本当にありがとう。おかげで幸せな人生でした。」
  • 分け方の理由:「自宅を一郎に遺すのは、これまで同居して支えてくれたからです。」
  • 願い:「兄弟仲良く、母さんを支えてあげてください。」
  • 配慮:「みんなで話し合い、争いのないようにしてほしいと願っています。」

付言事項に書いた内容には法的な効力はありませんが、なぜそう分けたのかを伝えることで、遺留分などをめぐる争いを避けやすくなります。たとえば特定の子に多く遺す場合、その理由と感謝の言葉を添えるだけで、家族の受け止め方は大きく変わります。形式は自由ですが、相手を責める表現は避け、前向きで温かい言葉でしめくくると、残された家族の心の支えになります。書き終えたら、自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用すると、紛失や改ざんを防げて安心です。

よくある質問

Q. 遺言書の例文をそのまま書き写しても有効ですか?

A. 文例を参考に、ご自身の財産や相続人の情報に置き換えて全文を手書きすれば有効です。自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書き、押印することが要件です。例文の名前や財産の表示を、実際の相続人の氏名・続柄や登記の表示、口座番号などに正しく差し替えてください。日付は『令和○年○月○日』と年月日まで書き、『吉日』とは書かないよう注意します。

Q. 不動産や預貯金はどう書けば特定できますか?

A. 不動産は登記事項証明書どおりに、所在・地番・地目・地積(建物は家屋番号・構造・床面積)を書きます。住所表記ではなく登記の表示を使うのがポイントです。預貯金は、金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号で特定します。こうして具体的に書いておくと、相続手続きで金融機関や法務局に提出する際にスムーズに進みます。

Q. 孫や団体に財産を遺すときの書き方は?

A. 孫や団体は法律上の相続人ではないため、『相続させる』ではなく『遺贈する』と書きます。「孫○○に次の財産を遺贈する」「社会福祉法人○○会に金○○万円を遺贈する」のように記載します。寄付先は正式名称で書き、受け付けているか事前に確認すると確実です。遺贈があるときは、手続きを進める遺言執行者を指定しておくと家族の負担が軽くなります。

Q. 付言事項には何を書けばいいですか?

A. 付言事項は遺言の最後に書く家族へのメッセージで、感謝の言葉や、財産の分け方にした理由などを書きます。「長い間ありがとう」「兄弟仲良く」といった言葉や、特定の子に多く遺す理由を添えると、家族の納得につながります。ただし付言事項に法的な効力はないため、財産の指定など効力を持たせたい内容は本文に書く必要があります。

Q. 書いた遺言書はどこに保管すればいいですか?

A. 自筆証書遺言は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、紛失・改ざんを防げて安心です。保管制度を使うと、家庭裁判所の検認も不要になります。自宅で保管する場合は、家族が見つけられる場所に置き、保管場所を信頼できる人に伝えておきましょう。より確実にしたい場合は、公証人が関与する公正証書遺言を検討する方法もあります。

この記事のまとめ

  • 自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印する。日付は年月日を正確に書く
  • 配偶者に全財産なら「一切の財産を相続させる」、複数に分けるなら条文を分けて書く
  • 不動産は登記の表示、預貯金は金融機関・支店・口座番号で特定する
  • 孫や団体には「遺贈する」と書き、遺言執行者や予備的遺言も入れておくと安心
  • 付言事項に法的効力はないが、感謝や分け方の理由を添えると家族の納得につながる

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年06月27日

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