相続放棄の照会書の書き方|家庭裁判所から届く書面への回答方法
相続放棄の照会書とは、申述書を家庭裁判所に提出した後、裁判所から申述人に送られる意思確認の書面であり、正確に回答して返送しなければ相続放棄が受理されない重要な手続きです。
「裁判所から見慣れない封筒が届いたけれど、何をどう書けばいいのかわからない」と戸惑う方は少なくありません。この記事では、照会書の各項目の意味から具体的な記載例・返送時の注意点まで、ステップごとにわかりやすく解説します。回答を誤ると単純承認とみなされるリスクもあるため、ぜひ最後までご確認ください。
この記事でわかること
- 照会書が届く理由と家庭裁判所の手続き上の位置づけ
- 照会書の各項目(意思確認・理由・経緯・財産処分)の正しい書き方
- 財産に手をつけていない旨の記載が重要な理由
- 照会書の返送期限・方法と、回答後の流れ
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01 照会書とは何か|申述書と照会書の違いを理解する
相続放棄の手続きでは、まず家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。しかしこれで手続きが完了するわけではありません。裁判所は申述書を受理した後、申述人(相続放棄をしようとしている人)に対して照会書を郵送します。
照会書とは、裁判所が申述人の意思を直接確認するための書面です。申述書はあくまでも「放棄したい」という意向を示す書類ですが、照会書への回答によって、その意思が真に自発的なものであるかどうかを裁判所が最終確認します。照会書への回答・返送が完了してはじめて、裁判所が審査を進め、受理決定(相続放棄申述受理通知書の発行)へと進みます。
- 申述書:相続放棄の意向を裁判所に伝える申請書類(提出済みの書類)
- 照会書:申述書提出後、裁判所から申述人へ送られる意思確認の書面
- 受理通知書:照会書への回答後、裁判所が発行する放棄受理の証明書類
照会書が届いたら、記載事項を正確に理解した上で回答し、指定期日までに返送することが求められます。回答が遅れたり不備があったりすると、相続放棄の手続きが遅延する原因となるため注意が必要です。
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02 照会書が届くまでの流れ|手続きの全体像を把握する
相続放棄の手続きは、大まかに以下の順序で進みます。照会書がどの段階で届くかを把握しておくと、慌てずに対応できます。
- STEP1:被相続人(故人)の死亡・相続開始を知る
- STEP2:相続放棄の期限(相続開始を知った日から3ヶ月以内)を確認する
- STEP3:家庭裁判所に相続放棄申述書・必要書類を提出する
- STEP4:裁判所から照会書が郵送されてくる(提出から約1〜2週間後が目安)
- STEP5:照会書に必要事項を記入・署名押印し、期限内に返送する
- STEP6:裁判所が審査し、相続放棄申述受理通知書が届く
【重要】相続放棄の期限について
相続放棄の申述期限は、相続開始を知った日から3ヶ月以内(民法915条)に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限が迫っている場合は、申述書の提出を優先してください。3ヶ月以内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に期間伸長の申立てをすることも可能です(民法915条1項ただし書き)。
照会書は申述書と一緒に裁判所から送られてくる場合もありますが、多くのケースでは申述書受理後に別途郵送されます。裁判所によって運用が異なるため、封筒が届いたら速やかに開封して内容を確認しましょう。
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03 照会書の主な記載項目|何を聞かれるのかを知る
照会書の書式は家庭裁判所ごとに若干異なりますが、一般的に以下の4つの項目が設けられています。それぞれの意味を正確に理解した上で回答することが重要です。
- ①放棄の意思確認:「相続を放棄する意思がありますか」という確認。「はい」と明確に回答します。
- ②放棄の理由:なぜ相続を放棄するのかを記載します。例:「被相続人の負債が多いため」「相続財産よりも債務が上回るため」などシンプルな表現で問題ありません。
- ③申述の経緯(自発的か否か):自分の意思で放棄しようとしているか、誰かに強制・誘導されていないかを確認する項目です。「自分の意思で申述しました」と明記します。
- ④財産の処分の有無:相続財産を処分・使用・売却していないかを確認します。財産に手をつけていない場合は「していない」と明確に記入します。
このほかにも、相続放棄をする対象となる被相続人との続柄・氏名、申述人の現住所・氏名・生年月日、申述書提出日などを記載する欄が設けられていることがあります。申述書の内容と矛盾が生じないよう、手元に申述書のコピーを用意して確認しながら記入することをおすすめします。
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04 照会書の書き方|各項目の具体的な回答例
照会書は難しい法律用語を使う必要はありませんが、各項目で明確かつ簡潔に回答することが大切です。以下に項目ごとの具体的な回答例を示します。
- ①意思確認:「相続を放棄する意思はありますか」→ 「はい、放棄する意思があります。」
- ②理由:「相続を放棄する理由を記載してください」→ 「被相続人に多額の債務があり、相続財産よりも負債が上回ることが判明したため。」 または 「相続財産の管理・整理が困難であり、放棄を選択することにしたため。」
- ③経緯:「自分の意思で申述しましたか」→ 「はい、自分の意思で申述しました。他者から強制・誘導されたものではありません。」
- ④財産処分の有無:「相続財産を処分しましたか」→ 「いいえ、相続財産には一切手をつけていません。」
【注意】財産処分の有無は慎重に回答してください
相続財産を売却・消費・贈与した場合、民法921条の規定により単純承認とみなされ、相続放棄が認められなくなる可能性があります。たとえ少額であっても財産に手をつけた場合は、弁護士や司法書士に相談した上で回答することを強くおすすめします。
回答欄に記載するのが難しい場合は、別紙に記入して添付することも可能です。また、字は丁寧に書き、署名欄には必ず自署(手書き)してください。押印は認印でも可能ですが、実印を使用するとより確実です。裁判所の指示に従って対応しましょう。
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05 単純承認とみなされないための注意点
相続放棄の照会書において特に慎重に回答しなければならないのが、財産の処分に関する項目です。民法921条では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは「単純承認」(すべての財産・債務を引き継ぐ承認)をしたとみなされると定めています。
単純承認とみなされる代表的な行為は以下のとおりです。
- 被相続人の預金口座から現金を引き出して使用する
- 相続財産(不動産・動産)を売却・贈与・担保提供する
- 被相続人の債務を相続財産で弁済する
- 相続財産を自己のために消費・隠匿する
一方、以下の行為は原則として単純承認にあたらないとされています。
- 被相続人の葬儀費用を相続財産から支出する(ただし社会通念上相当な範囲内)
- 相続財産の調査・目録の作成
- 固定資産税など公租公課の支払い(社会通念上相当な範囲内)
照会書に「財産に手をつけていない」と回答する場合は、本当に一切手をつけていないことを確認してください。万一、誤って財産を処分してしまっていた場合でも、それが単純承認にあたるかどうかは状況によって異なりますので、速やかに専門家(弁護士・司法書士)に相談することをおすすめします。
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06 照会書の返送方法と返送後の流れ
照会書への記入が完了したら、指定された期限内に家庭裁判所へ返送します。返送方法は原則として郵送です。照会書とともに返信用封筒が同封されている場合は、そちらを使用してください。返信用封筒がない場合は、宛先(申述を行った家庭裁判所)に普通郵便または特定記録郵便で郵送します。
- 返送期限は照会書に明記されています。必ず期限内に返送してください。
- 記入漏れや署名・押印の漏れがないか、返送前に必ず確認しましょう。
- 控えとして照会書のコピーを取っておくことをおすすめします。
- 返信用封筒がない場合は、特定記録郵便を使用すると送達の証拠が残ります。
返送後、裁判所が照会書の内容を審査し、問題がなければ相続放棄申述受理通知書が郵送されてきます。受理通知書が届くまでの期間は、裁判所の混雑状況などによりますが、一般的に照会書の返送から1〜2週間程度が目安です。
受理通知書が届いたら、相続放棄が正式に認められたことになります。なお、相続放棄申述受理証明書(第三者に提示できる証明書)が必要な場合は、別途裁判所に申請が必要です(収入印紙150円が必要)。詳細は裁判所のウェブサイト(https://www.courts.go.jp/)でご確認ください。
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07 よくあるトラブルと対処法|専門家への相談も検討する
照会書の手続きでよくあるトラブルとその対処法をまとめます。不安な場合は、司法書士や弁護士への相談も積極的に検討してください。
- 照会書が届く前に期限が迫っている:申述書を提出していれば期限内手続きは完了しています。照会書は申述後に送付されるため、期限への影響はありません。
- 記入内容に誤りがあった:二重線で訂正し、訂正印を押してください。大幅な誤りの場合は裁判所に問い合わせましょう。
- 財産を一部使ってしまっていた:単純承認とみなされる可能性があるため、すぐに弁護士に相談してください。
- 期限内に返送できなかった:速やかに裁判所に連絡し、対応を相談してください。
【関連する重要情報】
相続放棄とは別に、相続登記の義務化(2024年4月1日施行)にも注意が必要です。相続放棄をしない相続人は、相続を知った日から3年以内に不動産の相続登記を申請しなければなりません(違反した場合は10万円以下の過料)。相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。また、相続税の申告期限は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内(国税庁)ですが、相続放棄が認められた場合は相続税の納税義務を負わないことが原則です。詳しくは国税庁(https://www.nta.go.jp/)または法務省(https://www.moj.go.jp/)のウェブサイトをご参照ください。
相続放棄は一度受理されると原則として撤回できません(民法919条)。照会書の回答内容が後の手続きに影響することもあるため、少しでも不安や疑問がある場合は、司法書士・弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。法テラス(日本司法支援センター)では、収入要件を満たす場合に無料法律相談を利用できます。
この記事のまとめ
- 照会書は申述書提出後に家庭裁判所から送られる意思確認書面で、期限内に正確に回答・返送することが必須
- 主な記載項目は①放棄の意思確認②放棄の理由③申述の経緯(自発的か否か)④財産処分の有無の4点
- 「財産に手をつけていない」旨を明確に記入することが重要で、処分行為があると単純承認とみなされるリスクがある
- 照会書返送後、裁判所が審査を経て相続放棄申述受理通知書を発行する(目安は返送後1〜2週間)
- 記載内容に不安がある場合や財産を一部使用してしまった場合は、司法書士・弁護士などの専門家に早めに相談することを強く推奨する
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EDITORIAL TEAM
こもれび編集部 | 相続・諸手続き担当
監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム
本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。
最終更新日: 2026年06月25日
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