ケラッタのスリングを安全に使う手順は「①座った低い姿勢で装着する→②赤ちゃんを抱き入れる→③布の張りを整える→④顔・あご・背中・脚の4点を確認する→⑤立ち上がる」の順番です。この順番を守るだけで、スリングで起きやすい転落と、姿勢による気道の圧迫という2つのリスクを大きく下げられます。

スリングは布の張り具合を自分で調整する道具のため、バックル式の抱っこ紐と違って「正解の位置」が目に見えません。だからこそ、毎回同じ手順で装着し、同じチェック項目を確認する習慣が安全につながります。この記事では、ケラッタのスリングを使い始める方に向けて、装着の具体的な手順、赤ちゃんの姿勢の確認方法、うまくいかないときの原因別の対処、練習のコツまでを整理します。スリングは製品ごとに構造(リング式・チューブ型・バックル式など)と手順が異なるため、実際の装着方法は必ず同梱の取扱説明書とケラッタ公式サイトの案内に従ってください。

この記事でわかること

  • スリング装着の5ステップと、それぞれの段階で気をつけること
  • 赤ちゃんの気道を守るTICKSの5項目と、毎回の確認方法
  • 「沈み込む」「肩が痛い」など、うまくいかないときの原因別の対処法
  • 安全に下ろす手順と、練習を重ねて慣れるためのコツ

★ あわせて準備したい

練習用にあると助かるもの

スリングの装着は、最初は鏡の前で確認しながら練習すると上達が早くなります。姿見や大きめの鏡があると、自分では見えにくい背中側の布の張りや、赤ちゃんの顔の位置を確認しやすくなります。慣れるまでは低い位置に座って練習するのが基本です。

座って装着 転落を防ぐ基本姿勢
落下距離を短くする効果がある
指1〜2本 あごと胸の間に確保するすき間
気道を狭めない姿勢の目安
キスできる高さ 赤ちゃんの頭の位置の目安
顔が見える高さを保つ

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01 装着前の準備|3つの確認で失敗が減る

スリングは「布を体にかける前」の準備で結果がほぼ決まります。次の3点を装着前に済ませておきましょう。

準備①:取扱説明書を読む

ケラッタのスリングは製品によって構造が異なります。リングで長さを調整するタイプ、あらかじめサイズが決まっているチューブ型、バックルで留めるタイプなど、それぞれ手順が違います。「スリングの一般的な使い方」を知っていても、その製品固有の注意点は説明書にしか書かれていません。特に対象月齢・耐荷重・使ってはいけない抱き方は必ず確認してください。

準備②:長さ・サイズを合わせる

  • 調整式の場合:赤ちゃんを入れる前に、自分の体格に合わせておおよその長さに合わせておきます。締めるのは抱き入れた後です。
  • サイズ固定型の場合:自分の身長に合ったサイズを選んでいるかを確認します。サイズが合っていないと、どう装着しても正しい姿勢になりません。
  • 家族で共有する場合:使う人が変わるたびに調整し直します。前の人の設定のまま使うのは危険です。

準備③:装着する場所を選ぶ

初めのうちは、必ずソファやベッドに座って装着してください。立ったまま装着すると、抱き入れの途中で手が滑ったときに落下距離が大きくなります。床に座る、ベッドに腰かけるなど、赤ちゃんが落ちても被害が最小限になる場所を選びましょう。慣れてからも、赤ちゃんが眠っているときや自分が疲れているときは、低い姿勢での装着をおすすめします。

【ポイント】赤ちゃんを乗せる前に、クッションや人形で装着練習をしておくと安心です。手順が体で覚えられていれば、赤ちゃんが泣いていても落ち着いて対応できます。

01 装着前の準備|3つの確認で失敗が減る
写真: Natalia Olivera Amapola / Pexels

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02 装着の5ステップ|この順番を毎回守る

製品ごとの細かな差はありますが、スリング装着の基本の流れは共通しています。毎回この順番で行うことが、事故を防ぐ最も確実な方法です。

STEP1:座った状態でスリングを体にかける

肩から斜めがけにするタイプなら、布が肩の上でねじれていないか確認します。ねじれたまま使うと、片側に力が集中して肩を痛める原因になります。リングがある場合は、リングの位置が肩の少し前あたりにくるようにします。

STEP2:赤ちゃんを抱き入れる

  • 片手で赤ちゃんの頭と首をしっかり支える
  • もう片方の手で布を広げ、赤ちゃんのお尻から入れる
  • お尻が布の底にしっかり収まったことを確認する
  • 頭と首を支えたまま、姿勢を整える

この段階では絶対に手を離さないでください。布の張りがまだ整っていないため、赤ちゃんは支えられていません。

STEP3:布の張りを整える

たるみを取り、赤ちゃんの体が布にぴったり包まれる状態にします。たるみが残ると赤ちゃんが下に沈み込み、体が丸まりすぎて気道が狭くなります。調整式なら余った部分を引いて締め、固定型なら布を引き上げて位置を整えます。背中側の布も、めくれ上がっていないか手で確認します。

STEP4:4点を目と手で確認する

この確認が最も重要です。詳細は次のセクションで解説しますが、顔が見えるか、あごと胸の間にすき間があるか、背中が支えられているか、脚がM字に開いているか——この4点を必ず確認します。

STEP5:ゆっくり立ち上がる

片手を赤ちゃんに添えたまま、ゆっくり立ち上がります。立ち上がった直後に姿勢が変わることがあるため、立った状態でもう一度4点を確認してください。鏡があれば、自分では見えない角度も確認できます。

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03 安全な姿勢の確認|TICKSの5項目

抱っこ具の安全な使い方として、国際的に「TICKS(ティックス)」と呼ばれる5つの確認項目が広く紹介されています。消費者庁や国民生活センターも、抱っこ具使用中の乳児の転落や姿勢による危険について注意を呼びかけています。装着のたびに次の5点を確認してください。

  • T:Tight(ぴったりと)
    布にたるみがなく、赤ちゃんの体が大人の体に密着している状態。たるみは沈み込みの原因になります。
  • I:In view at all times(いつでも顔が見える)
    布や大人の体で顔が覆われていないこと。鼻と口がふさがれていないことを常に目で確認できる状態を保ちます。
  • C:Close enough to kiss(キスできる高さに)
    頭が大人のあごの近くにあり、頭を少し下げればキスできる高さ。低い位置に抱えると気道が曲がりやすくなります。
  • K:Keep chin off the chest(あごを胸から離す)
    あごと胸の間に指が1〜2本入るすき間を確保します。あごが胸につく姿勢は気道が狭くなり、特に首がすわる前の赤ちゃんでは危険です。
  • S:Supported back(背中を支える)
    背中が自然なCカーブを保ち、丸まりすぎたり反ったりしていない状態。布で背中全体が支えられているか手で確認します。

脚の位置も確認を

抱っこの姿勢では、赤ちゃんの脚がM字(カエル足)に開き、太ももの付け根からひざ裏までが布で支えられている状態が望ましいとされています。脚がまっすぐ下に伸び、股関節が引き伸ばされる姿勢が長時間続くのは避けましょう。脚の開きに左右差がある、太もものしわが左右で違う、抱っこのときに痛がるといった気になる点があれば、自己判断せず小児科や整形外科に相談してください。

使用中も定期的に確認

装着直後は問題なくても、歩いているうちに姿勢が変わることがあります。特に赤ちゃんが眠ったときは、頭がガクンと下がってあごが胸につきやすくなります。ときどき顔をのぞき込んで、呼吸が妨げられていないか確認する習慣をつけましょう。

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04 うまくいかないときの原因別チェック

「説明書どおりにやっているのにうまくいかない」というときは、次の原因が考えられます。

症状①:赤ちゃんが下に沈み込んでしまう

  • 布のたるみが残っている:抱き入れた後の張りの調整が不十分です。余った布をしっかり引いて締めます。
  • お尻が底に収まっていない:抱き入れの段階で、お尻が布の一番深いところに座っているか確認します。
  • サイズが合っていない:固定サイズ型で布が長すぎる場合、どう調整しても沈みます。

症状②:肩が痛い・片側だけ疲れる

  • 布が肩でねじれている:装着時にねじれを直し、肩の上で布を広げて面で支えるようにします。
  • 赤ちゃんの位置が低すぎる:重心が体から離れるほど負担が増します。位置を高めに調整します。
  • 使用時間が長すぎる:片肩型は構造上負担が偏ります。こまめに休憩を挟みましょう。長時間なら両肩で支える抱っこ紐の検討も。抱っこ紐とヒップシートの違いで他の選択肢を整理しています。

症状③:赤ちゃんが嫌がって泣く

  • 姿勢が窮屈:脚が伸びきっていないか、腕が押さえつけられていないか確認します。
  • 暑い:密着するため、季節によっては暑くなりすぎます。着せる服を1枚減らす、通気性のよい素材のスリングを選ぶなどの対策を。
  • 空腹・眠気・おむつ:スリングの問題ではないこともあります。基本的な欲求を先に満たしてから試しましょう。
  • 慣れていない:短時間から始めて、少しずつ時間を延ばすと受け入れられることがあります。

症状④:装着に時間がかかる

これは慣れの問題であることが多いです。赤ちゃんが機嫌のよい時間帯に、1日1回でよいので練習を重ねましょう。数日から2週間ほどで手順が体に入ることが多く、そうなれば数十秒で装着できるようになります。焦って外出先で初めて使うのは避けてください。

02 装着の5ステップ|この順番を毎回守る
写真: https://kaboompics.com/ / Pexels

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05 下ろし方と、使用中にしてはいけないこと

意外に見落とされがちなのが「下ろし方」です。装着時と同じくらい注意が必要な場面です。

安全に下ろす手順

  • ①座る:立ったまま下ろすのは避け、ソファやベッドに座ってから作業します。
  • ②片手で赤ちゃんの頭と首を支える:布を緩める前に、必ず手で体重を支えます。
  • ③布を緩める:調整式なら少しずつ緩め、固定型なら布の縁を広げます。
  • ④両手で抱き上げて外に出す:布から出すときは体全体を支えます。
  • ⑤寝ている場合はゆっくり寝床へ:眠ったまま下ろすときは、頭から先に着地させないよう、体全体を支えたまま寝床に降ろします。

使用中にしてはいけないこと

  • 前かがみになる:物を拾うときは腰を折らず、ひざを曲げてしゃがみ、片手で赤ちゃんを支えます。
  • 調理・熱い飲み物の取り扱い:やけどのリスクがあります。
  • 自転車・自動車の運転:抱っこしたままの乗車は極めて危険です。
  • 装着したまま眠る:大人が眠ると姿勢の確認ができなくなります。
  • 階段の昇降で手すりを使わない:視界が制限されるため、必ず手すりを使い、足元に注意します。
  • 耐荷重を超えた使用:表示された上限を必ず守ってください。

使う前の点検も習慣に

布製の抱っこ具は使ううちに劣化します。縫い目のほつれ、リングの変形やひび、生地の薄れ、アジャスターの滑りがないかを使用前に短時間で確認してください。異常があれば使用を中止し、メーカーに問い合わせます。自己流の修理は強度が保証されないため避けましょう。洗濯の頻度や方法については抱っこ紐の洗濯頻度も参考になります。

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06 横抱き・縦抱きの考え方と月齢別の使い方

スリングには複数の抱き方がありますが、どの抱き方に対応しているかは製品ごとに決められています。取扱説明書に記載のない抱き方は行わないでください。

抱き方ごとの性格

  • 横抱き(クレードル抱き):赤ちゃんを横向きに寝かせるように抱く方法。顔が布に埋もれやすく、あごが胸につきやすいため、特に慎重な確認が必要です。顔が常に見え、鼻と口がふさがれていないことを確認し続けてください。
  • 縦抱き(対面抱き):大人と向かい合わせで、赤ちゃんの体を縦に支える方法。首がすわる前は頭と首の支えが必須です。気道の確保がしやすい姿勢とされます。
  • 腰抱き(ヒップ抱き):腰すわり後、赤ちゃんを大人の腰の横に座らせる方法。周りが見えるため、外の景色に興味を持つ時期に好まれます。

月齢別の使い方の考え方

  • 首すわり前:頭と首が確実に支えられていること、顔が見えることが最優先。使用時間も短めにします。
  • 首すわり後(4か月頃〜):縦抱きが安定してきます。ただし体重が増えるため、片肩への負担が徐々に大きくなります。
  • 腰すわり後(7か月頃〜):腰抱きが使えるようになります。この頃からヒップシートという選択肢も出てきます。ヒップシートはいつから?で月齢の目安を解説しています。
  • 歩き始め以降:短時間の抱っこ補助としての利用が中心になります。

月齢が進んでも、確認すべき項目は変わりません。顔が見えること、あごが胸につかないこと、背中が支えられていること。この3点を毎回確認する習慣が、スリングを安全に使い続けるための土台になります。

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07 まとめ|手順を体で覚えることが最大の安全策

最後に、この記事の要点を整理します。

  • ①必ず座って装着・脱着する:転落事故の多くは装着・取り外しの最中に起きています。低い姿勢なら万一のときの被害を小さくできます。
  • ②5ステップの順番を守る:体にかける→抱き入れる→張りを整える→4点確認→立ち上がる。この順番を毎回同じように行うことが、確認漏れを防ぎます。
  • ③TICKSの5項目を毎回確認する:ぴったりと、顔が見える、キスできる高さ、あごを胸から離す、背中を支える。
  • ④うまくいかないときは原因を分けて考える:沈み込むならたるみ、肩が痛いなら位置と時間、嫌がるなら姿勢か季節要因。
  • ⑤事前に練習する:外出先でぶっつけ本番は避け、家の中で機嫌のよい時間に短時間から慣らします。

スリングは、慣れてしまえば数十秒で装着でき、赤ちゃんとの密着感が心地よい道具です。しかし「布の張り具合」という目に見えない要素が安全を左右するため、手順を省略しないことが何よりも重要です。特に首がすわる前の時期は、少しの姿勢の違いが呼吸に影響します。

そして、ケラッタのスリングは製品ごとに構造と手順、対象月齢、耐荷重が異なります。この記事の内容は一般的な考え方であり、実際の装着方法は必ず同梱の取扱説明書とケラッタ公式サイトの案内に従ってください。手順に不明な点があればメーカーの問い合わせ窓口に確認し、赤ちゃんの様子で気になることがあれば迷わず小児科に相談しましょう。

この記事のまとめ

  • スリングの装着は「座って体にかける→抱き入れる→布の張りを整える→4点確認→立ち上がる」の5ステップを毎回同じ順で行う
  • 安全確認はTICKSの5項目(ぴったり・顔が見える・キスできる高さ・あごを胸から離す・背中を支える)を装着のたびにチェックする
  • 沈み込みは布のたるみ、肩の痛みは位置と使用時間が主な原因で、症状ごとに原因を切り分けて対処する
  • 下ろすときも必ず座り、頭と首を手で支えてから布を緩める。前かがみ・調理・運転・装着したまま眠ることは避ける
  • 製品ごとに構造と対応する抱き方が異なるため、実際の手順は必ず同梱の取扱説明書とケラッタ公式サイトで確認する

参考・出典

※制度・料金は改正や地域差があります。最新の情報は各公式サイト・お住まいの自治体でご確認ください。

EDITORIAL TEAM

こもれび編集部 | 編集部担当

監修:終活・遺品整理の実務に詳しい編集チーム

本記事は公的機関の情報や一般的な実務をふまえて編集部が作成し、定期的に見直しています。内容に誤りがあれば編集部までご連絡ください。

最終更新日: 2026年07月03日

よくある質問

Q. スリングは立ったまま装着してもよいですか?

おすすめできません。抱っこ具からの転落事故は、装着や取り外しの最中に起きることが多いと注意喚起されています。ソファやベッドに座る、床に座るなど低い姿勢で行えば、万一手が滑っても落下距離を短くできます。慣れてからも、赤ちゃんが眠っているときや自分が疲れているときは、必ず座った状態で装着・脱着してください。

Q. 赤ちゃんがスリングの中で沈み込んでしまいます。どうすればよいですか?

布のたるみが残っていることが最も多い原因です。抱き入れた後に余った布をしっかり引いて締め、赤ちゃんの体が布に密着する状態にしてください。また、抱き入れの段階でお尻が布の一番深いところに収まっているかも確認します。サイズ固定型で布が長すぎる場合は、どう調整しても沈むため、体格に合ったサイズを選び直す必要があります。

Q. 赤ちゃんのあごが胸についてしまうのはなぜ危険ですか?

あごが胸に押しつけられると気道が狭くなり、呼吸が妨げられる可能性があるためです。特に首がすわる前の赤ちゃんは自分で頭の位置を変えられないため、大人が姿勢を管理する必要があります。あごと胸の間に指が1〜2本入るすき間を確保し、使用中も定期的に顔をのぞき込んで確認してください。眠ったときは頭が下がりやすいので特に注意が必要です。

Q. スリングを使うと股関節に悪いと聞きました。本当ですか?

抱き方によっては股関節に負担がかかる可能性が指摘されています。望ましいのは、脚がM字(カエル足)に開き、太ももの付け根からひざ裏までが布で支えられている姿勢です。脚がまっすぐ下に伸びて股関節が引き伸ばされる姿勢が長時間続くのは避けましょう。脚の開きに左右差がある、抱っこのときに痛がるなど気になる点があれば、小児科や整形外科に相談してください。

Q. 装着に慣れるまでどのくらいかかりますか?

個人差はありますが、毎日1回でも練習すれば数日から2週間程度で手順が体に入る方が多いようです。まずクッションや人形で装着の流れを覚え、次に赤ちゃんの機嫌がよい時間に家の中で短時間試すという順で進めるとスムーズです。外出先で初めて使うのは避け、鏡の前で背中側の布の張りも確認しながら練習するとより早く上達します。

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