終活アドバイザーは意味ないと言われる3つの理由|では親の終活、誰に相談すればいい?
「終活アドバイザーは意味ない」親の終活について調べている中で、そんな言葉を目にして手が止まった方もいらっしゃるかもしれません。相談先として頼れそうだと思った矢先に否定的な声が出てくると、「結局どうすればいいの?」と余計に迷ってしまいますよね。
この記事では、終活アドバイザーが「意味ない」と言われる背景を正直にお伝えしたうえで、家族として知っておきたい判断の考え方を整理していきます。良いことだけを並べるつもりはありません。できることと限界の両方を見ていただいたほうが、結果としてご家族に合った選択がしやすくなると考えているからです。
私は社会福祉士として、高齢のご本人やそのご家族から終活にまつわるご相談をお受けしてきました。資格を提供する側ではなく、家族の暮らしを一緒に考える側の立場から、できるだけ生活の目線でお話しします。
読み終える頃には、「終活アドバイザーに相談すべきかどうか」、そして「自分の親の場合はどこに相談するのが合っているか」を落ち着いて判断できるようになるはずです。少しだけお時間をいただければ幸いです。
終活アドバイザーが「意味ない」と言われる3つの理由
民間資格であり、法律上の独占業務がない
まず知っておいていただきたいのは、終活アドバイザーはNPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が認定する民間資格であり、国家資格ではないということです。
これは何を意味するかというと、たとえば遺言書の代理作成、相続税の計算、公的書類の代理申請といった法律に関わる業務は一切行えないということです。これらはそれぞれ弁護士、税理士、司法書士、行政書士といった国家資格を持つ専門家にしか認められていません。
つまり、「終活アドバイザーに相談すれば全部やってもらえる」と期待すると、実際にできることとの間にギャップが生まれます。この期待値とのズレが、「意味ない」という声につながっている大きな要因のひとつです。
なお、この構造は終活アドバイザーに限った話ではありません。終活カウンセラーや終活ガイドなど、終活系の民間資格にはすべて共通する事情です。終活アドバイザーだけが特別に弱いというわけではない点は、公平にお伝えしておきたいと思います。
資格を取っただけでは「相談のプロ」とは限らない
終活アドバイザーの資格は、ユーキャンの通信講座で約4ヶ月学び、在宅で受験して取得します。合格率は非常に高く、学習に取り組めばほとんどの方が取得できる資格です。
講座を通じて終活に関する幅広い知識が身につくことは間違いありません。ただし、知識があることと、実際に高齢者やそのご家族の相談に丁寧に対応できることは、必ずしもイコールではありません。
資格取得者の中には、葬儀業や介護業、保険業などで長年の経験を積んだうえで取得した方もいれば、関心を持って学んだばかりで実務経験がまだない方もいます。同じ「終活アドバイザー」という肩書きでも、力量には幅があるのが実情です。
家族支援の現場でも、肩書きを見て安心して相談したものの、返ってきたのは一般的な情報ばかりで具体的な提案がなかった、というケースを耳にすることがあります。資格の名前だけで判断するのではなく、その方の経験や対応の姿勢をよく見ることが大切です。
それだけで稼げる仕事ではないことへの誤解
もうひとつ、「意味ない」という声の背景には、資格取得者側の事情も関わっています。
実は、「終活アドバイザー」という資格単独で求人が出ることはほとんどありません。基本的には介護、葬祭、保険、金融といった本業をお持ちの方が、仕事の幅を広げるために取得する「プラスアルファ」のスキルアップ資格という位置づけです。独立開業が不可能というわけではありませんが、この資格だけで集客するのは現実的に難しい面があります。
そのため、「資格を取れば仕事になる」と期待して取得した方が、思ったように活かせず「意味なかった」と感じるケースが少なくないようです。ネット上の否定的な声には、こうした取得者側の落胆が含まれていることも知っておくとよいかもしれません。
ただし、これはあくまで資格を取った側の話です。相談する側のご家族にとっては、少し見え方が変わってきます。その点については、次の章であらためて整理していきます。
それでも終活アドバイザーが「役に立つ」場面はある
「何から始めればいいかわからない」ときの最初の相談相手として
前章で終活アドバイザーの限界をお伝えしましたが、「では意味がないのか」と言い切れるかというと、そうとも限りません。
終活は扱う範囲がとても広いものです。介護、医療、保険、年金、相続、葬儀、お墓、住まい、持ち物の整理。これだけのテーマが絡み合っていると、「結局、何をどの順番で進めればいいのか」が見えなくなるのは当然です。家族支援の現場でも、圧倒的に多いのは「最初の一歩が踏み出せない」というご相談です。
終活アドバイザーの本来の強みは、この全体像を整理し、道筋を示してくれるところにあります。いきなり弁護士や税理士の事務所を訪ねるのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。その手前で、「まずはここから始めましょう」と一緒に考えてくれる入り口の相談相手として機能するのは、率直に価値のあることだと思います。エンディングノートの書き方を具体的に教えてもらえるのも、実用的な場面のひとつです。
専門家への「橋渡し」ができる人かどうかがカギ
終活アドバイザーに相談するうえで、ひとつ大切な見極めのポイントがあります。それは、「必要に応じて他の専門家にきちんとつないでくれるかどうか」です。
優れた終活アドバイザーは、自分の対応できる範囲と限界をよく理解しています。「この件は弁護士に相談したほうがいいですね」「介護のことは地域包括支援センターに一緒に行きましょう」と、適切な専門家への橋渡しができる。自治体の窓口への同行サポートも、終活アドバイザーならではの役割です。
逆に、すべてを自分で解決しようとする方には注意が必要です。相談する際は、「困ったときに別の専門家を紹介してもらえますか」と聞いてみてください。その質問への答え方で、信頼できる相手かどうかがかなり見えてきます。
「意味がある・ない」は資格名ではなく”その人”で決まる
ここまでお読みいただいて感じていらっしゃるかもしれませんが、大切なのは「終活アドバイザー」という肩書きそのものではなく、その人自身の経験、姿勢、対応力です。
同じ資格を持っていても、介護や葬祭の現場で10年の経験を積んだ方と、講座を修了したばかりの方とでは、実際の相談対応はまったく異なります。反対に、終活アドバイザーの資格を持っていなくても、社会福祉士やケアマネジャーとして日々ご家族の相談に応じている専門職もいます。
「終活アドバイザーだから意味ない」でもなく、「終活アドバイザーだから安心」でもない。資格名で一括りにせず、その人がどんな経験を持ち、どのように向き合ってくれるかを見て判断すること。それが、相談先選びで後悔しないためのいちばん確かな考え方だと思います。
親の終活、結局どこに相談すればいい? 目的別の相談先ガイド
まず知っておきたい「無料で相談できる公的な窓口」
終活アドバイザーに頼るかどうかを考える前に、まず知っておいていただきたい相談先があります。それは、公的な窓口です。意外とご存じない方が多いのですが、終活にまつわる困りごとを無料で相談できる場所はすでに身近に存在しています。
代表的なのが地域包括支援センターです。介護や福祉、日々の暮らしの困りごとについて幅広く相談でき、どなたでも無料で利用できます。「親の生活が心配だけど、何をどうすればいいかわからない」という漠然とした相談にも応じてもらえます。
また、市区町村の福祉課や高齢者支援課では、終活に関連する公的制度の案内を受けることができます。社会福祉協議会も、生活支援や成年後見制度の相談窓口として頼りになる存在です。
家族支援の現場から見ても、まずはこうした公的窓口に相談されるのがおすすめです。費用がかからないうえに、特定のサービスへの誘導がない中立的な立場からアドバイスを受けられます。ここで状況を整理してから、必要に応じて次の相談先を探していくのが、もっとも無理のない流れです。
お金や法律のことは「士業」に相談すべき
終活の中でも、お金や法律が絡むテーマについては、最初から士業の専門家に相談するのが確実です。
相続に関する相談であれば弁護士や司法書士、相続税の計算や申告は税理士、遺言書の作成は弁護士や行政書士、年金や保険の手続きは社会保険労務士がそれぞれ専門です。資産全体の管理について考えたいときは、ファイナンシャルプランナーに相談するという方法もあります。
前章でもお伝えしたように、終活アドバイザーにできるのはあくまで一般的なアドバイスの範囲です。法的な判断や手続きの代行は行えません。お金や税金、法律に直接関わる相談であれば、間に別の相談先を挟まず、該当する士業に直接相談するほうが二度手間にならず安心です。
「いきなり士業の先生に連絡するのは気が引ける」という場合は、先ほどご紹介した地域包括支援センターに相談すれば、適切な士業への橋渡しをしてもらえることもあります。
実家の片付け・生前整理・遺品整理は「専門業者」という選択肢も
終活を進めるなかで、多くのご家族が苦労されるのが「モノの整理」です。実家にある大量の荷物を仕分け、運び出し、処分する作業には、体力も時間も判断力も必要です。家族だけで対応しようとすると、想像以上の負担になることがあります。
親御さんが元気なうちに一緒に取り組む生前整理であれば、ご本人の意思を確認しながら進められます。一方、亡くなった後の遺品整理は、量が多い場合や遠方にお住まいの場合、ご家族だけでは難しいこともあるでしょう。そうしたときは、生前整理や遺品整理を専門に扱う業者に相談するのも現実的な選択肢です。
業者を選ぶ際に気をつけたいのは3つ。まず、必ず複数の業者から見積もりを取って比較すること。次に、遺品整理士などの資格保有や実績、口コミを確認すること。そして、作業内容と料金の内訳を事前にきちんと説明してくれるかどうかです。
現場での経験からお伝えすると、「安さ」だけを基準に選ぶとトラブルにつながりやすい傾向があります。対応の丁寧さや、ご家族の気持ちに配慮してくれるかどうかも、大切な判断材料にしていただければと思います。
相談先を選ぶときに確認すべき3つのチェックポイント
最後に、どの相談先を選ぶ場合にも共通する、確認しておきたいポイントを3つお伝えします。
ひとつ目は、その人や業者の「得意分野」が自分の困りごとに合っているかどうかです。終活は範囲が広いため、相続に強い人、介護に詳しい人、モノの整理が専門の業者と、それぞれ得意とする領域が異なります。自分が今いちばん困っていることに対応できる相手を選ぶことが、遠回りを防ぐ第一歩です。
ふたつ目は、「できないこと」を正直に教えてくれるかどうかです。何でも自分で引き受けようとする相手より、「この件は別の専門家に相談したほうがいいですよ」と率直に言ってくれる人のほうが信頼できます。適切に他の専門家を紹介してくれるかどうかは、その相手の誠実さを測るひとつの目安です。
みっつ目は、費用の説明が明確かどうかです。無料相談の範囲と有料サービスの境目がはっきりしているか、見積もりの内訳が曖昧ではないか。ここが不透明な場合は、慎重に判断されたほうがよいでしょう。
現場では、「終活の相談」を入り口にして、不要な保険や高額な葬儀プランの契約を勧められたというケースも耳にします。資格名や肩書きだけで安心せず、相手の姿勢をしっかり見て判断すること。それが、ご家族を守るいちばんの備えになります。
まとめ|「意味ない」で終わらせず、家族に合った相談先を見つけよう
この記事では、終活アドバイザーが「意味ない」と言われる背景と、それでも役立つ場面、そして親の終活における相談先の選び方について整理してきました。
あらためて振り返ると、終活アドバイザーは民間資格であり、法律や税務に関わる業務はできないという限界があります。ただ、それは「全く意味がない」ということとは違います。大切なのは資格の名前ではなく、その人がどんな経験を持ち、ご家族にどう向き合ってくれるかです。
相談先に迷ったら、まずは地域包括支援センターなどの公的窓口を思い出してください。無料で、中立な立場から状況を一緒に整理してもらえます。お金や法律が絡む問題は士業の専門家に、実家の片付けや遺品整理で体力的・時間的に難しい場合は専門業者に頼ることも、家族を守るための大切な選択肢です。
「完璧に準備しなければ」と気負う必要はありません。今日この記事を読んで、親の終活について考えてくださったこと自体が、もう大切な一歩です。ご家族のペースで、できることから少しずつ進めていけば大丈夫です。
当ブログでは、遺品整理業者の選び方や生前整理の進め方、エンディングノートの書き方についても記事をご用意しています。気になるテーマがあれば、あわせてお読みいただければ幸いです。
