終活アドバイザーと終活カウンセラー

名前はよく似ていますが、何が違うのかと聞かれると、はっきり答えられる方は少ないのではないでしょうか。親の終活についてそろそろ誰かに相談したいと思っているのに、相談先選びの段階でつまずいてしまう。そんなご家族からの相談は、実際にとても多いです。

この記事は、「資格を取りたい方」向けではありません。「親の終活について専門家に相談したいけれど、誰に頼めばいいかわからない」という家族の視点から、終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いと選び方を整理したものです。

どちらも民間資格ですが、学ぶ範囲や得意とする分野に違いがあります。この記事では、それぞれの資格の特徴、相談できる内容の違い、費用の目安に加えて、社会福祉士・行政書士・税理士といった他の専門家との使い分け方まで解説しています。

社会福祉士として高齢者とそのご家族の支援に携わる中で、終活の相談先に迷う方を多く見てきました。大切なのは資格の名前ではなく、「何をしてくれる人なのか」で判断することです。弁護士や税理士に頼むほどの話ではないけれど、何もしないままも不安。そのちょうど真ん中にいる方に、判断の手がかりをお伝えできればと思います。

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違い──それぞれの特徴を整理する

終活アドバイザーとは──資格の概要と「できること」

終活アドバイザーは、NPO法人ら・し・さが運営する「終活アドバイザー協会」が認定する民間資格です。ユーキャンの通信講座(約4ヶ月)を受講し、修了認定試験に合格したうえで協会に入会することで取得できます。

学習内容は、社会保障制度(年金・保険・医療)、介護、不動産、金融資産、相続・遺言、葬儀・お墓、財産管理、高齢者住宅・施設、死後の手続きと、終活に関わるテーマを幅広くカバーしています。

終活アドバイザーの役割は、終活全般にわたる情報提供と実務的なサポートです。エンディングノートの作成支援、自治体窓口への同行、各種情報の整理といった実務的なアドバイスを行う立場にあります。

終活アドバイザーの強みは「幅広さ」です。年金、保険、介護、相続、葬儀と、終活に関わるテーマを横断的に学んでいるため、「何から手をつけていいかわからない」というご家族の最初の相談相手として適しています。

終活カウンセラーとは──資格の概要と「できること」

終活カウンセラーは、一般社団法人終活カウンセラー協会が認定する民間資格です。協会の講習(2級は1日、1級は2日間)を受講し、筆記試験またはレポート提出で認定されます。さらに上位には「認定講師」資格もあります。

学習内容は、相続・遺言・保険・葬儀・お墓・介護・健康の7分野です。終活アドバイザーとの大きな違いは、カウンセリング技法(傾聴やコーチングの手法)を重視している点です。

終活カウンセラーの役割は、相談者の悩みを傾聴し、整理し、適切な専門家につなぐ「案内人」です。問題そのものを解決するというよりも、相談者が抱える漠然とした不安を対話の中で具体化していくプロセスに強みがあります。

終活カウンセラーの強みは「聴く力」です。親御さん自身が「何が不安かわからない」という状態のときに、対話を通じてご本人の気持ちや希望を引き出すサポートが期待できます。

どちらも「民間資格」──ここだけは理解しておきたい大切なこと

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いを見てきましたが、どちらにも共通する大切なポイントがあります。それは、どちらも国家資格ではなく民間資格であるということです。

つまり、この資格だけでは法的な実務。遺言書の作成、相続手続きの代理、税務申告などを行う権限がありません。終活アドバイザーも終活カウンセラーも、「案内人」であって「実務者」ではないのです。相談者の悩みを聞き、整理し、適切な専門家(弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会福祉士など)につなぐのが本来の役割です。

これは「役に立たない」という意味ではまったくありません。終活の入り口として、漠然とした不安を整理し、次にどこへ相談すべきかを教えてくれる存在として、非常に価値があります。

ただし、ご家族からの相談の中には「終活カウンセラーに相談したら、遺言書の作成までやってくれると思っていた」というケースがあります。遺言書の作成は行政書士、司法書士、公証人の範囲です。民間資格者に「何をしてもらえるか」と「何はしてもらえないか」の線引きを理解しておくことが、後悔しないための大切なポイントです。

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いを比較──家族が知っておくべきポイント

相談できる内容の違い

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いを、相談する側の視点で整理します。

終活アドバイザーは、終活に必要な情報の整理全般を得意としています。エンディングノートの作成支援、年金や保険の確認、自治体窓口への同行など、「何を準備すればいいか」を具体的に教えてくれるイメージです。

終活カウンセラーは、終活に関する不安の傾聴と整理を得意としています。漠然とした悩みを対話の中で具体化し、適切な専門家を紹介してくれます。「まず話を聞いてほしい」「自分でも何が不安かよくわからない」というときの相談相手です。

端的に言えば、アドバイザーは「情報整理型」、カウンセラーは「傾聴・対話型」です。

ただし、実際にはその方の経験やスキルによって対応できる範囲は異なります。資格の名前だけで判断するのではなく、「自分の悩みに対して具体的に何をしてくれるか」を事前に確認することが重要です。

費用の違い──相談する側が気になるお金のこと

ここでは「資格取得にかかる費用」ではなく、相談する側が負担する費用について整理します。

終活アドバイザーや終活カウンセラーへの相談費用は、提供者によって異なります。自治体や社会福祉協議会が主催する終活セミナーや相談会であれば、無料から数千円で参加できることが多いです。終活アドバイザーやカウンセラー個人が行う有料相談は、1時間あたり3,000〜10,000円程度が相場ですが、地域や個人によって差があります。葬儀社や保険会社が付帯サービスとして提供している場合は、無料で受けられるケースもあります。

相談費用を心配されるご家族は多いです。まずは地域包括支援センターや自治体の無料相談窓口を利用し、それでも解決しない場合に有料の専門家を検討するのが合理的です。

比較表で整理──終活アドバイザーと終活カウンセラーの違い一覧

ここまでの内容を表にまとめます。

終活アドバイザーの認定団体は終活アドバイザー協会(NPO法人ら・し・さ)で、資格は1種類です。主な特徴は幅広い終活知識に基づく情報提供と実務サポートで、「何を準備すればいいか」を知りたいときに向いています。

終活カウンセラーの認定団体は一般社団法人終活カウンセラー協会で、2級、1級、認定講師の3段階があります。主な特徴は傾聴とカウンセリングを通じた悩みの整理で、「何が不安かわからない」状態を整理したいときに適しています。

どちらも民間資格であり法的権限はありません。相談費用の目安はいずれも無料〜10,000円程度(提供元による)で、弁護士・司法書士・行政書士などが行う法的実務はどちらもできない点は共通です。

どちらが「上」というものではありません。ご自身の状況に合った相談先を選ぶための参考にしてください。

「結局、誰に相談すればいいの?」──状況別の相談先ガイド

終活アドバイザー・終活カウンセラーに相談するのが向いているケース

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いがわかっても、「結局、自分の場合はどちらに相談すればいいのか」が最も知りたいところだと思います。状況ごとに整理します。

「終活って何から始めればいいかわからない」という場合、漠然とした不安を整理し、やるべきことの優先順位を教えてほしいのであれば、終活アドバイザーまたは終活カウンセラーのどちらでも適しています。

エンディングノートの作成を手伝ってほしい場合は、終活アドバイザーが得意とする分野です。

親御さんご自身が「自分の終活について話したい」と望んでいる場合は、傾聴を得意とする終活カウンセラーが適しています。

終活セミナーに参加してみたい場合は、どちらの資格者も講師を務めていることが多く、お住まいの地域で開催されているものを探してみてください。

終活の「入り口」として、アドバイザーやカウンセラーに相談するのはとてもよい選択です。ただし、具体的な法律問題や税金の問題が出てきたら、必ず国家資格者(弁護士、司法書士、行政書士、税理士など)にバトンタッチすることを覚えておいてください。

終活アドバイザー・カウンセラーではなく、他の専門家に相談すべきケース

状況によっては、終活アドバイザーや終活カウンセラーではなく、最初から別の専門家に相談したほうがよい場合もあります。

遺言書を正式に作成したい場合は、行政書士、司法書士、または弁護士に相談してください。公正証書遺言の場合は公証人が関わります。相続税が心配で節税対策を知りたい場合は税理士。相続できょうだいと揉めそう、あるいはすでに揉めている場合は弁護士。親御さんの介護保険サービスの見直しをしたい場合はケアマネジャー(介護支援専門員)。親御さんの財産管理や成年後見制度を検討したい場合は社会福祉士、司法書士、弁護士。遺品整理や実家の片付けをプロに頼みたい場合は遺品整理士資格を持つ専門業者です。

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終活の相談は、「入り口」と「専門対応」を分けて考えるのがポイントです。入り口(何から始めるか)はアドバイザーやカウンセラー、地域包括支援センター。専門対応(法的手続き、税務、介護制度)は国家資格者。この「使い分け」を知っておくだけで、相談先選びの迷いは大幅に減ります。

まず最初に相談するなら──地域包括支援センターという選択肢

終活アドバイザーと終活カウンセラー、どちらに相談すればいいか迷っている段階であれば、まずお住まいの地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

地域包括支援センターは各市区町村に設置されている高齢者の総合相談窓口です。社会福祉士、ケアマネジャー、保健師が常駐しており、終活を含む高齢者の暮らし全般の相談に無料で応じています。終活に関する悩みを伝えれば、状況に応じて適切な専門家や制度を紹介してもらえます。

地域包括支援センターは「何でも相談窓口」として非常に優れた存在です。終活アドバイザーやカウンセラーへの相談が必要かどうかの判断も含めて、まず無料で聞いてみるのが最も合理的な第一歩です。

終活の相談先を選ぶときに確認しておきたいこと──失敗しないためのチェックポイント

「肩書き」ではなく「何をしてくれるか」で判断する

終活アドバイザー、終活カウンセラー、終活ガイド、終活ライフケアプランナー。終活に関連する民間資格は数多く存在します。名前の違いに振り回される必要はありません。

大切なのは、「その人が、自分の悩みに対して具体的に何をしてくれるか」です。初回の相談時に以下の点を確認しておくとよいでしょう。どこまでの範囲をサポートしてくれるか。法的手続き(遺言書作成や相続手続き)が必要になった場合、誰を紹介してくれるか。費用体系(初回無料か、1回いくらか、パック料金か)はどうなっているか。そして、これまでの相談実績やバックグラウンド(介護、葬儀、金融など、元々の専門分野があるか)です。

資格の名前よりも、「その人の実務経験」のほうがサービスの質を左右します。たとえば、葬儀社出身の終活アドバイザーは葬儀に強く、保険会社出身であれば金融に強いといった特徴があります。自分の悩みに合ったバックグラウンドを持つ人を選ぶのが、相談先選びのコツです。

注意したい「終活相談」のトラブルパターン

終活の相談先を選ぶ際に、気をつけておきたいトラブルパターンが3つあります。

1つ目は、相談のつもりが商品の売り込みになるケースです。終活相談を入り口にして、高額な互助会契約、保険商品、お墓の購入に誘導するパターンがあります。「相談無料」の裏に商品販売の意図がないかどうか、事前に確認してください。

2つ目は、民間資格者が法的手続きまで行おうとするケースです。遺言書の作成代行や相続手続きの代理は、資格のない人が行うと法律違反(非弁行為・非司行為)に該当する可能性があります。民間資格者が「全部やります」と言った場合は注意が必要です。

3つ目は、情報が古い、または不正確なケースです。終活に関する制度(年金、保険、税制、介護保険)は頻繁に改正されます。資格を取ったきり情報をアップデートしていない人もいるため、具体的な制度の話については必ず公的機関でも確認してください。

「無料相談」には必ず意図があります。自治体や地域包括支援センターの無料相談と、民間事業者の「無料相談」は性質が異なります。公的機関の相談は背景に商品販売がないため本当の意味で無料です。まず公的機関を利用し、そこで紹介された民間の専門家を利用するのが安全なルートです。

この記事のまとめ──親の終活で迷ったときの「最初の一歩」

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いを改めて整理します。

主なアプローチの違いは、「情報提供型」と「傾聴・対話型」です。どちらが上というものではなく、ご自身の状況に合ったほうを選んでください。どちらも民間資格であり、法的な実務権限はありません。具体的な法律問題や税金の問題は国家資格者にバトンタッチする必要があることを理解しておくことが大切です。

迷ったら、まず地域包括支援センターへ。無料で、終活を含めた高齢者の暮らし全般の相談に応じてくれます。そこから適切な専門家を紹介してもらうのが、最も安心で合理的なルートです。

終活アドバイザーと終活カウンセラーの違いを調べているということは、親御さんの終活について真剣に考え始めている証です。相談先に迷うのは当然のことです。大切なのは、「肩書き」ではなく「この人は自分の悩みに答えてくれるか」で判断すること。その判断ができれば、終活の第一歩はもう踏み出せています。当ブログでは、エンディングノートの書き方生前整理の進め方についても記事をまとめていますので、あわせて参考にしていただければ幸いです。