親御さんが亡くなり、いざ遺品整理を始めようとしたとき、「自分でやるべきか、業者に頼むべきか」で悩んでいませんか。

「できれば費用を抑えたいけれど、一人でできるか不安」「業者は高そうだし、でも大量の荷物を自分で片付けるのは無理かもしれない」そんな板挟みの気持ちで、なかなか決められずにいる方は多いと思います。

医療機関で相談支援を行っていると、この選択で悩んでいる方の話をよく伺います。「自分でやらないと親不孝な気がする」「楽をしようとしている自分が情けない」そんな風に自分を責めている方もいらっしゃいます。

でも、安心してください。どちらが正解ということはありません。大切なのは、あなたの状況に合った選択をすることです。

この記事では、社会福祉士として多くのご家族を支援してきた経験から、自分でやる場合と業者に頼む場合、それぞれのメリット・デメリット、かかる費用と時間、そしてあなたにとってどちらが適しているかを判断する具体的な基準をお伝えします。

この記事を読めば、迷いなく決断できるはずです。自分でやっても、業者に頼んでも、どちらを選んでも大丈夫。あなたらしい選択を、一緒に見つけていきましょう。

遺品整理を「自分でやる」メリット・デメリット

まず、自分で遺品整理を行う場合のメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット①費用を大幅に抑えられる

最大のメリットは、費用です。

業者に依頼すると、間取りや荷物の量にもよりますが、数十万円かかることも珍しくありません。自分でやれば、ゴミ袋代や処分費用など最低限の出費で済みます。

自分のペースで少しずつ進められるので、一度に大きな出費をする必要もありません。経済的な負担を抑えたい方にとっては、大きなメリットです。

メリット②思い出と向き合える

自分で整理すると、一つひとつの物を手に取りながら確認できます。

親御さんが大切にしていた物、一緒に過ごした思い出の品。それらとゆっくり向き合う時間は、故人を偲ぶ大切な時間でもあります。

業者に任せると見落としてしまうような小さな品も、自分で整理すれば見つけることができます。貴重品や重要書類を見逃すリスクも減ります。

メリット③自分の納得がいくまでできる

誰にも急かされず、丁寧に進められるのもメリットです。

「これは残すべきか、処分すべきか」迷ったときは、時間をかけて考えることができます。納得いくまで向き合えるので、後で「あれは残しておけばよかった」という後悔が少なくなります。

自分の判断で進められる安心感は、何にも代えがたいものです。

デメリット①体力的・精神的負担が大きい

一方で、デメリットもあります。最も大きいのは、負担の重さです。

遺品整理は重労働です。家具を動かし、段ボールを運び、ゴミをまとめる。想像以上に体力を使います。

そして、時間もかかります。週末だけ作業しても、数ヶ月かかることも珍しくありません。

何より、親御さんの遺品と向き合い続けることは、精神的にも辛いものです。疲れて、辛くて、途中で心が折れそうになることもあるでしょう。

デメリット②処分方法がわからない・手間

処分の手間も、意外と大変です。

ゴミの分別ルールは自治体によって異なり、調べるだけでも時間がかかります。粗大ゴミは事前予約が必要で、収集日も限られています。

家電リサイクル品(冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン)は、特定の場所に持ち込むか、業者に引き取りを依頼する必要があります。

こうした手続きを一つひとつ調べて対応するのは、想像以上に手間がかかります。

デメリット③一人では限界がある

そして、物理的な限界もあります。

大型の家具や家電は、一人では運べません。タンス、冷蔵庫、ベッド。こうしたものを処分するには、誰かの手助けが必要です。

実家が遠方にある場合は、頻繁に通うことも難しく、作業が進みません。

また、ご自身が高齢の場合、重労働は身体に負担がかかりすぎて、現実的ではないこともあります。

自分でやることには、確かにメリットがありますが、限界もあるのです。

遺品整理を「業者に頼む」メリット・デメリット

次に、業者に依頼する場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット①圧倒的に早い・楽

業者に頼む最大のメリットは、スピードと楽さです。

自分でやれば数ヶ月かかる作業も、業者なら数時間から1日で完了します。重い荷物を運ぶ必要もなく、体力は一切不要です。

すべてを任せられるので、あなたは判断だけをすればよく、肉体的な負担がほとんどありません。仕事や家庭の都合で時間が取れない方にとっては、大きなメリットです。

メリット②プロの技術と知識

プロならではの技術と知識も、大きな利点です。

適切な処分方法を熟知しているので、あなたが分別や手続きに悩む必要はありません。リサイクル品の処理も、すべて代行してくれます。

また、買取サービスを行っている業者なら、価値のある物を査定して買い取ってくれます。その分を作業費用から差し引いてもらえるので、実質的な負担が減ります。

供養サービスを提供している業者もあり、お焚き上げや合同供養で、丁寧に送り出してくれます。

メリット③心理的負担の軽減

意外と見落とされがちですが、心理的な負担が軽くなるのも大きなメリットです。

親御さんの遺品を前にすると、どうしても感情的になってしまい、判断が鈍ることがあります。業者という第三者が入ることで、冷静に進められることもあります。

「これは処分していいのか」と迷ったときも、プロの視点でアドバイスをもらえるので、決断のサポートになります。

デメリット①費用がかかる

一方で、デメリットもあります。最も大きいのは、費用です。

間取りや荷物の量によりますが、1Kで3〜8万円、2DKで9〜25万円、3LDK以上なら15〜50万円以上かかることもあります。

予算をオーバーするリスクもありますし、見積もり時に確認できなかった荷物があると、追加料金が発生する可能性もあります。

経済的な負担が大きいのは、確かなデメリットです。

デメリット②業者選びが必要

業者に頼むなら、信頼できる業者を選ぶ必要があります。

残念ながら、悪質な業者も存在します。高額請求、無断処分、連絡不通。こうしたトラブルに巻き込まれるリスクもゼロではありません。

複数の業者を比較検討する手間もかかりますし、どの業者が信頼できるのかを見極めるのも、簡単ではありません。

業者選びそのものが、一つのハードルになります。

デメリット③思い出と向き合う時間が少ない

業者に任せると、一気に片付きます。それはメリットでもありますが、デメリットにもなり得ます。

自分で一つひとつ確認する時間がないため、後になって「あれ、あの写真どこに行った?」「大切な手紙が見つからない」ということが起こる可能性があります。

親御さんの遺品と向き合い、ゆっくり思い出を振り返る時間が少なくなるのは、人によっては寂しく感じるかもしれません。

スピードと引き換えに、失うものもあるのです。

自分でやる場合も、業者に頼む場合も、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらが優れているということはなく、あなたの状況次第で最適な選択は変わります。

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自分でやるべき?業者に頼むべき?判断基準チェックリスト

それでは、あなたにとってどちらが適しているのか、判断基準をご紹介します。

自分でやるのが向いている人

次のような方は、自分で遺品整理をするのが向いているかもしれません。

時間に余裕がある

週末や休日を使って、数ヶ月かけてゆっくり進められる方。急いで片付ける必要がない方。

体力に自信がある

重い荷物を運んだり、長時間作業したりしても大丈夫な方。

費用を最優先したい

とにかく出費を抑えたい方。時間と労力をかけてでも、費用を節約することを優先する方。

思い出を大切にしたい

一つひとつの物と向き合い、ゆっくり思い出を振り返りながら整理したい方。

これらに当てはまる方は、自分で進めることを検討してみてください。

業者に頼むのが向いている人

一方、次のような方は、業者に依頼するのが向いています。

時間がない

仕事や家庭の事情で、遺品整理に時間を割けない方。早く完了させたい方。

遠方に住んでいる

実家が遠く、頻繁に通えない方。移動だけで時間と費用がかかる方。

体力的に不安

重労働が難しい方。ご自身が高齢で、無理ができない方。

物量が多すぎる

何十年も暮らしてきた家で、荷物が膨大な方。一人では到底片付けられない量がある方。

これらに当てはまるなら、業者の力を借りることを真剣に検討してください。

「併用」という選択肢

実は、「すべて自分で」「すべて業者に」という二択だけではありません。両方を組み合わせる「併用」という選択肢もあります。

たとえば、書類や写真、小物など思い入れのあるものは自分で整理し、大型家具や家電、大量の衣類などは業者に任せる。こんな風に、作業を分けることができます。

貴重品や重要書類の確認は自分で行い、その後の搬出や処分だけを業者に依頼する方法もあります。

このハイブリッド型のメリットは、費用と負担のバランスが取れることです。すべてを業者に頼むよりは費用を抑えられ、すべてを自分でやるよりは負担が軽くなります。

大切な部分は自分で、大変な部分はプロに。そんな賢い使い分けも、選択肢の一つとして考えてみてください。

完璧にどちらか一方を選ぶ必要はありません。あなたの状況に合わせて、柔軟に組み合わせることができるのです。

費用比較と選び方のポイント

判断する上で、費用は大きな要素です。それぞれの費用を比較してみましょう。

自分でやる場合の費用

自分で遺品整理をする場合、主に次のような費用がかかります。

ゴミ処分費用

粗大ゴミの処分費(1点数百円〜)、家電リサイクル料金(冷蔵庫・洗濯機など1点数千円)が必要です。

レンタカー代

大型の荷物を運ぶ場合、トラックをレンタルすることもあります(1日5,000円〜1万円程度)。

道具・資材費

ゴミ袋、段ボール、ガムテープ、軍手、マスクなど(数千円程度)。

実質的なコストとしては、数万円程度で済むことが多いでしょう。ただし、これは金銭的なコストだけで、時間と労力というコストは含まれていません。

業者に頼む場合の費用相場

業者に依頼する場合の目安は、次の通りです。

1K(20㎡):3〜8万円
1DK(30㎡):5〜12万円
2DK(40㎡):9〜25万円
3DK(60㎡):15〜35万円
4LDK以上:25〜50万円以上

サービス内容によっても変わります。基本的な搬出・処分だけなら安めですが、清掃や供養、買取などが含まれると高くなります。

見積もりは必ず複数社(最低3社)から取り、比較検討しましょう。訪問見積もりは無料の業者が多いので、実際に見てもらって正確な金額を出してもらうことが大切です。

費用を抑える工夫

どちらを選ぶにしても、費用を抑える工夫はあります。

自分でできることは自分で

書類や小物の仕分けなど、重労働でない部分は自分で済ませておけば、業者に頼む範囲が減り、費用も下がります。

買取サービスの活用

価値のある物を買い取ってもらえれば、その分を作業費用から差し引いてもらえます。

相見積もり

複数の業者から見積もりを取って比較することで、適正価格が分かります。

閑散期の利用

引っ越しシーズン(3〜4月)や年末は繁忙期で高めです。1〜2月や6〜7月の閑散期なら、割安で依頼できることがあります。

後悔しない選び方

最後に、後悔しない選び方のポイントをお伝えします。

自分の状況を客観視する

時間、体力、費用、物量。これらを冷静に見て、現実的な判断をしてください。

無理をしない

「自分でやるべき」という義務感で無理をすると、心身ともに疲弊してしまいます。できないことを認める勇気も大切です。

家族と相談する

兄弟姉妹や配偶者と話し合い、一人で抱え込まないでください。意見が分かれたら、専門家に相談するのも一つの方法です。

柔軟に変更もOK

最初は自分でやろうと思っても、途中で「やっぱり業者に頼もう」と変更してもかまいません。逆もまた然りです。状況に応じて、柔軟に判断してください。

完璧な選択を目指す必要はありません。あなたにとって、今できる最善の選択をすればいいのです。

まとめ|正解はあなたの中にある、無理のない選択を

ここまで、遺品整理を自分でやる場合と業者に頼む場合、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしてきました。

どちらが正しいということはありません。

自分でやることが立派で、業者に頼むことが楽をしているわけではないのです。大切なのは、あなたの状況に合った選択をすることです。

時間がある人は自分で、時間がない人は業者に頼む。体力に自信がある人は自分で、不安な人は業者の力を借りる。費用を優先する人は自分で、負担軽減を優先する人は業者に頼む

それで、いいのです。

あなたの状況で判断していい。

周りが「自分でやるべき」と言っても、あなたができないなら業者に頼めばいいのです。逆に、「業者に頼めば?」と言われても、自分でやりたいならそれでかまいません。

誰かの正解ではなく、あなた自身の正解を選んでください。

途中で変更してもいい。

最初は自分でやろうと思っても、やってみたら無理だと感じたら、途中から業者に切り替えてもかまいません。逆に、業者に頼もうと思っていたけれど、やっぱり自分でやりたいと思ったら、それもOKです。

柔軟に、状況に応じて変えていくことができます。一度決めたら変えられないということはありません。

一人で抱え込まない。

遺品整理は、決して一人でやらなければならないものではありません。

家族と相談する、友人に手伝ってもらう、業者の力を借りる。助けを求めることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、賢い選択です。

困ったら専門家に相談を。

判断に迷ったら、地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談してみてください。遺品整理業者に相談するのも一つの方法です(無料相談を受け付けている業者も多くあります)。

このブログでも、信頼できる遺品整理業者の選び方、自分で進める場合のコツ、思い出を残す方法など、関連する情報を詳しくご紹介しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。

最後に

遺品整理は、親御さんとの別れを受け入れていくプロセスです。自分でやっても、業者に頼んでも、その意味は変わりません。

大切なのは、親御さんを大切に思う気持ちです。その気持ちがあれば、どちらを選んでも間違いではありません。

あなたが、無理なく、後悔なく、遺品整理を進めていけますように。この記事が、そのための小さな助けになれば幸いです。