親御さんが亡くなり、遺品整理を始めようと思ったとき、「どのくらい時間がかかるのだろう」と不安に思っていませんか。

「仕事を休めるのは数日だけ。その間に終わるだろうか」「賃貸の解約期限が迫っている。間に合うだろうか」「相続の手続きもあるのに、いつまでに終わらせればいいの?」計画を立てようにも、目安が分からなくて困っている方は多いと思います。

医療機関で相談支援を行っていると、「遺品整理にどれくらい時間がかかるか教えてほしい」という質問をよく受けます。始めてみたら思った以上に時間がかかって焦ってしまった、逆に時間をかけすぎて疲れてしまった。そんな経験を話してくださる方もいらっしゃいます。

実は、遺品整理にかかる期間は、間取りや荷物の量、誰がやるか、どこまでやるかによって大きく変わります。でも、目安を知っておくことで、現実的な計画を立てることができます。

この記事では、社会福祉士として多くのご家族を支援してきた経験から、遺品整理にかかる期間の目安、ケース別のスケジュール例、無理のない計画の立て方を具体的にお伝えします。

早く終わらせたいけれど、親御さんの思い出を大切にしながら丁寧に進めたい。そんなあなたの気持ちに寄り添いながら、現実的な見通しを一緒に立てていきましょう。

遺品整理にかかる期間【基本の目安】

まず、遺品整理にかかる期間の基本的な目安をお伝えします。

自分でやる場合の期間目安

自分で遺品整理を行う場合、間取りによって次のような目安になります。

1K(約20㎡):1週間〜1ヶ月程度
週末だけ作業する場合は1ヶ月ほど、連続して作業できれば1〜2週間で完了することもあります。

2DK(約40㎡):2週間〜2ヶ月程度
荷物の量にもよりますが、週末作業で1〜2ヶ月が目安です。毎日作業できれば2〜3週間でしょう。

3LDK以上(約60㎡以上):1ヶ月〜3ヶ月以上
長年暮らしてきた家の場合、荷物も膨大です。週末作業だけでは3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

これはあくまで目安で、実際には荷物の量や作業ペースによって大きく変わります。

業者に頼む場合の期間目安

一方、業者に依頼した場合は圧倒的に早く完了します。

1K:2〜3時間
2DK:半日〜1日
3LDK以上:1〜2日

業者なら、自分でやれば何ヶ月もかかる作業を、数時間から数日で終わらせることができます。これが業者に頼む最大のメリットです。

期間が変わる主な要因

同じ間取りでも、期間が大きく変わる要因がいくつかあります。

物の量

長年暮らしていた家ほど、物が多く、時間がかかります。ゴミ屋敷状態なら、さらに倍以上の時間が必要です。

家の状態

整理整頓されている家と、散らかっている家では、作業効率が全く違います。

人手の数

一人でやるのか、家族数人で分担するのかで、スピードは変わります。

処分の難易度

特殊な物(仏壇、ピアノ、大量の本など)がある場合、処分方法を調べる時間や手配の時間が加わります。

これらの要因を考慮しながら、ご自身のケースに当てはめて考えてみてください。

【間取り・状況別】遺品整理の詳しい期間目安

間取りや状況ごとに、もう少し詳しく見ていきましょう。

1K・ワンルームの場合

自分でやる場合:1〜2週間(週末利用)

スケジュール例としては、1週目の土曜日に貴重品の確保と小物の分類(6時間)、日曜日に衣類や本の整理(6時間)。2週目の土曜日にキッチンと家電の整理(6時間)、日曜日に大型家具の搬出と掃除、ゴミ出し(6時間)というペースです。

1Kは比較的早く終わりますが、それでも1日では無理です。ゴミ収集日に合わせて計画的に進めることがポイントです。

業者に頼む場合:2〜3時間

作業員2〜3名で、午前9時から始めて、仕分け、搬出、簡易清掃を経て、12時頃には完了します。あっという間です。立ち会いが必要ですが、半日で終わります。

2DK・2LDKの場合

自分でやる場合:2週間〜1ヶ月半

週末のみの作業なら、1週目はリビングと貴重品、2週目は寝室とクローゼット、3週目はキッチンと2つ目の部屋、4週目に残りと大型家具、掃除。このペースで進めます。

物量は1Kの2〜3倍になり、夫婦の荷物や思い出の品も多く、時間がかかります。最低1ヶ月、余裕を持って1ヶ月半は見ておきましょう。

業者に頼む場合:半日〜1日

物量が普通なら半日(4〜6時間)、多い場合や丁寧に進めたい場合は1日(8時間)かかります。作業員は3〜4名です。

3LDK・一軒家の場合

自分でやる場合:1〜3ヶ月

連続して作業できれば最短1ヶ月ですが、週末のみなら2〜3ヶ月が現実的です。長年住んだ家は思い出も物も多く、3ヶ月以上かかることも珍しくありません。

1ヶ月目にリビング・寝室・貴重品、2ヶ月目に各部屋とキッチン、3ヶ月目に物置・庭・大型家具・掃除。このようなペース配分になります。

体力的にも疲労が蓄積するので、休みながら無理せず進めることが大切です。

業者に頼む場合:1〜2日

作業員5〜6名で、物量が普通なら1日で終わります。物が多い場合や庭・物置も含む場合は2日かかります。丸1日の立ち会いが必要ですが、作業そのものは楽です。

特殊な状況(ゴミ屋敷、物が多い等)

自分でやる場合:数ヶ月〜半年以上

ゴミ屋敷状態や物が著しく多い場合、一人では限界があります。足の踏み場もない状態では、分類も困難で、普通の倍以上の時間がかかります。

業者に頼む場合:数日〜1週間

段階的に進め、1日目に大型ゴミを搬出、2日目以降に細かい分類を行います。特殊清掃が必要なら、さらに日数が追加されます。費用は50万〜100万円以上かかることもありますが、時間と労力を考えると妥当な選択です。

遺品整理のスケジュールの立て方

次に、具体的なスケジュールの立て方をお伝えします。

ステップ①全体像を把握する

まず、実際に現地に行って全体を確認しましょう。

全部屋を見て、写真を撮り、現状を記録します。物量の見積もりも重要です。ゴミ袋何枚分になりそうか、粗大ゴミはいくつあるか、段ボールは何箱必要か「思ったより多い」のが普通です。

間取りと状態をメモし、間取り図に記入して、家族と共有しましょう。この段階で「自分でできそうか」「業者が必要か」を判断する材料が揃います。

ステップ②期限を確認する

次に、期限を確認します。

相続税の申告期限は死亡から10ヶ月です。財産目録の作成に遺品整理が関わるので、余裕を持って8ヶ月くらいには終えたいところです。

賃貸の解約日がある場合は、家賃がかかり続けるので期限厳守です。不動産を売却する場合は、引き渡し日までに必ず空にする必要があります。

法事(四十九日や一周忌)に合わせたいという方もいますが、これは絶対的な期限ではありません。

期限がない場合は、逆に延々と続いてしまうこともあるので、自分で「〇月末まで」と区切りを設定することが大切です。

ステップ③作業日程を決める

カレンダーを見て、自分のスケジュールを確認しましょう。

休みはいつか、連続で何日取れるか、現実的に考えます。家族の協力が得られるなら、きょうだいや配偶者と日程調整をしましょう。

業者に依頼する場合は、見積もりに2週間前、予約から作業まで1〜2週間かかります。繁忙期(3〜4月、8月、12月)は早めに連絡が必要です。

ゴミ収集日も重要です。粗大ゴミの予約日や通常ゴミの日程に合わせて作業を組み立て、逆算して計画を立てましょう。

「〇月〇日はリビング」「〇月〇日は寝室」具体的に予定表を作ることをおすすめします。

ステップ④余裕を持たせる

計画を立てる際は、予定の1.5倍で見積もってください。

「2週間で終わる」と思ったら3週間見る、「1ヶ月」と思ったら1ヶ月半見る。必ず遅れるものです。余裕が心の余裕につながります。

予備日も確保しておきましょう。天候不良や体調不良、想定外の出来事に対応できます。

焦ると雑になり、大切なものを見落としたり、ケガのリスクも高まります。丁寧に進めることが大切です。

途中で「間に合わない」と思ったら、計画を変更してもかまいません。業者に一部を依頼するなど、柔軟に対応しましょう。

完璧を目指さず、70%できれば十分と考えてください。残りは次回に回し、段階的に進めることが継続の秘訣です。

遺品整理の期間を短縮する方法

「できるだけ早く終わらせたい」という方のために、期間を短縮する方法をお伝えします。

事前準備を徹底する

事前準備が8割と言われるほど、準備は重要です。

やることリストを作り、優先順位をつけ、チェックリスト化しておけば、当日迷わず進められます。

道具も事前に準備しましょう。ゴミ袋、段ボール、ガムテープ、マジック、軍手、マスク。現地で調達するより、あらかじめ用意しておくほうが効率的です。

ゴミ収集日をカレンダーに記入し、粗大ゴミの予約も済ませておけば、タイミングを逃しません。

家族への連絡も事前に済ませ、日程を共有し、役割分担を決めておけば、当日スムーズに進みます。

優先順位をつける

すべてを同時に進めようとせず、優先順位をつけましょう。

まず、貴重品・重要書類・思い出の品など、重要なものから確保します。法的に必要なものを最初に押さえることで、後が楽になります。

次に、明らかなゴミや判断不要なものから処分していきます。サクサク進むと達成感が得られ、モチベーションが上がります。

大型家具は後回しにしましょう。最初にやると疲れますし、場所も取ります。最後にまとめて搬出するほうが効率的です。

部屋ごとに一つずつ完結させることも大切です。中途半端にせず、一部屋が終わるたびに達成感を味わいながら進めましょう。

人手を増やす

人数に比例して作業は早くなります。

家族総動員で、きょうだいや配偶者、お子さんなど、できる人は全員で取り組みましょう。

友人が「手伝うよ」と言ってくれたら、遠慮せず受けてください。謝礼を払ってでも、手伝ってもらう価値はあります。

地域のシルバー人材センターに依頼するのも一つの方法です。比較的安価で、簡単な作業を手伝ってもらえます。地域包括支援センターで紹介してもらえます。

業者をうまく活用する

全部を業者に頼むのではなく、部分的に活用する方法もあります。

タンス、ベッド、冷蔵庫など、大型家具だけを業者に依頼すれば、費用は3〜5万円程度で、時間は大幅に短縮できます。

仕分けは自分で行い、ゴミの搬出・処分だけを不用品回収業者に依頼するという方法もあります。

自分は貴重品の確保や小物の整理を担当し、業者には大型家具や大量ゴミの処分を任せる。このバランスが、費用と時間の面でおすすめです。

費用はかかりますが、時間と体力を買うと考えれば、価値のある投資です。ただし、業者選びは慎重に。相見積もりを取り、口コミを確認し、信頼できる業者を選びましょう。

まとめ|無理のないスケジュールで、着実に進めよう

遺品整理にかかる期間について、見通しが立ちましたか?

期間は状況次第です。

間取り、物量、人手。

これらによって大きく変わります。一概には言えませんが、この記事でご紹介した目安を参考に、ご自身の状況に当てはめて考えてみてください。

目安を知って、計画を立てましょう。

現実的なスケジュールをカレンダーに書き込み、見える化することで、漠然とした不安が具体的な計画に変わります。

余裕を持つことが大切です。

予定の1.5倍で見積もり、焦らず、丁寧に進めてください。余裕が、結果的に質を高めます。

困ったら、業者も選択肢です。

無理をする必要はありません。時間がない、体力的に厳しい。そんなときは、プロの力を借りることを検討してください。

焦らず、着実に。

一歩ずつ、できることから、完璧を目指さずに、継続することが何より大切です。

遺品整理は、親御さんとの別れを受け入れていくプロセスでもあります。時間がかかってもいいのです。丁寧に、故人と向き合いながら、ご自身のペースで進めていきましょう。

次のアクション

□ 自分の状況を確認(間取り、物量、人手)
□ カレンダーで作業日を確保
□ ゴミ収集日を調べる
□ 家族と日程調整
□ 業者の見積もりも検討(必要なら)

このブログでは、遺品整理を自分でやるか業者に頼むかの判断基準、信頼できる遺品整理業者の選び方、効率的に進める方法など、関連する情報も詳しくご紹介しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。

あなたが、無理なく、後悔なく、遺品整理を進めていけますように。困ったときは、いつでも相談してください。一緒に考えましょう。