断捨離のコツ5つ|実家の片付けが進まない家族へ社会福祉士が教える「捨てない」から始める方法
断捨離のコツを調べてみたものの、「不要なものは捨てましょう」「ときめかないなら手放す」
そう言われても、それができないから困っている。そんな方は多いのではないでしょうか。特に、自分の家ではなく親の実家となると、話はさらに複雑です。「少し片付けよう」と言えば「まだ使う」「もったいない」と返される。勝手に手をつけるわけにもいかない。多くのご家族が、同じ壁にぶつかっています。
最初にお伝えしておきたいのは、断捨離の最大のコツは「一気にやらない」こと、そして「捨てる」ではなく「残すものを選ぶ」ことです。この2つの原則を押さえるだけで、進め方はずいぶん変わります。
この記事では、親世代が物を手放せない理由の理解から始めて、揉めない切り出し方、具体的な5つのステップ、途中で手が止まったときの対処法、そして業者に頼むかどうかの判断基準まで、子ども世代の立場に寄り添った内容でまとめました。
社会福祉士として高齢者とそのご家族の支援に携わる中で、実家の断捨離をめぐる親子の悩みには数多く触れてきました。「片付けが進まない」のは、やり方を知らないからではなく、親の気持ちと向き合うことの難しさが原因であることがほとんどです。焦らなくて大丈夫です。できるところから、一つずつ確認していきましょう。
断捨離が進まないのは「やり方」ではなく「考え方」の問題
断捨離のコツは「捨てる」ではなく「残すものを選ぶ」
断捨離のコツとして最も大切なのは、「何を捨てるか」ではなく「何を大切に残すか」に視点を変えることです。
「捨てる」を基準に考えると、罪悪感が先に立って手が止まります。「これはまだ使えるかも」「もったいない」「親の思い出が詰まっている」そうした気持ちが次々に湧いてきて、結局何も進まなくなるのです。
ところが、「残すものを選ぶ」に視点を変えると、判断のハードルがぐっと下がります。「今の暮らしに本当に必要なものはどれだろう」「これからも大切にしたいものはどれだろう」と考えることで、前向きな気持ちで取り組めるようになります。
断捨離とは、全部捨てることではありません。自分にとって、あるいは親御さんにとって、本当に必要なものを見極める作業です。そう再定義するだけで、取り組み方が変わってきます。
家族支援の現場で最もうまくいく声かけは「何を残したいですか?」です。「何を捨てますか?」と聞いた瞬間に親御さんの表情が曇るケースを、何度も見てきました。言葉ひとつで、親御さんの受け止め方はまったく違うものになります。
70〜80代の親世代が物を手放せない理由──「もったいない」の背景を理解する
実家の断捨離が進まない最大の原因は、親御さんが「頑固だから」ではありません。物を手放せない背景には、世代特有の価値観や心理が深く関わっています。
戦後から高度成長期を生きてきた70〜80代の世代にとって、物は「苦労して手に入れた財産」です。食べ物も物資も十分でなかった時代を経験しているからこそ、「もったいない」「まだ使える」という感覚が体に染みついています。簡単に捨てられないのは、価値観として自然なことなのです。
また、物への執着のように見える行動の多くは、物に紐づいた「記憶」「人間関係」「自分の人生の証」を手放すことへの不安が根底にあります。使い古した茶碗ひとつにも、配偶者との思い出が詰まっていることがあるのです。
さらに、年齢とともに認知機能が低下すると、「判断すること自体」が大きな負担になる場合もあります。「いる」「いらない」を次々に決めていく作業は、想像以上に脳を使うものです。
「捨てたがらない親=頑固」ではないということ。この背景を理解するだけで、親御さんへの声かけが変わります。断捨離のコツは、やり方やテクニックの前に、まず親の気持ちを理解することから始まるのです。
断捨離・生前整理・遺品整理──今やるべきはどれ?
実家の片付けについて調べていると、「断捨離」「生前整理」「遺品整理」といった言葉が出てきます。似ているようで役割が異なりますので、ここで簡単に整理しておきます。
断捨離は、暮らしを軽くするための物の見直しです。本人が主体となって、いつでも始められます。堅苦しいルールはなく、「使いやすく整える」くらいの気持ちで取り組めるのが特徴です。
生前整理は、断捨離よりも範囲が広く、物の整理に加えて財産の棚卸しや情報の共有、エンディングノートの作成なども含む終活の柱です。
遺品整理は、亡くなった後に遺族が行うものです。生前に何も準備がされていない場合、膨大な物量と情報の整理を悲しみの中で同時に進めなければならず、負担はとても大きくなります。
親御さんが元気なうちに断捨離を始めておくと、将来の生前整理や遺品整理の負担が大幅に軽減されます。「断捨離は終活の入り口」と捉えてください。堅苦しく考える必要はありません。まずは暮らしやすさの改善として取り組むのが、長続きのコツです。
実家の断捨離を進める5つのコツ──親と揉めない具体的なステップ
コツ①「断捨離しよう」と言わない──生活改善の文脈で始める
実家の断捨離で最初に覚えておきたいコツは、「断捨離しよう」と言わないことです。
「断捨離」「終活」「生前整理」これらの言葉は、高齢の親御さんにとって「死の準備をしろ」と聞こえてしまうことがあります。言葉そのものが抵抗感を生んでしまうのです。
代わりに使いたいのが、安全や暮らしやすさを理由にした言い回しです。「廊下に物があるとつまずきそうだから、少しスッキリさせよう」「地震のとき危ないから、高い場所の物を下ろしておこう」。こうした生活改善の文脈であれば、親御さんも「それは確かに」と受け入れやすくなります。
「捨てよう」ではなく「使いやすくしよう」「整理しよう」と表現を変えるだけで、反応が劇的に変わることがあります。断捨離のコツの中でも最も効果が大きいのは、実はこの「言い換え」です。やることは同じでも、言葉が変わるだけで親御さんの受け止め方は大きく違ってきます。
コツ② まず自分の物から手をつける
親御さんの物に手をつける前に、まずは実家に残っている自分の荷物を片付けることをおすすめします。
子ども時代の教科書、もう着ない服、使わなくなった趣味の道具。
実家に自分の荷物を置き続けていること自体が、親御さんの生活スペースを圧迫している場合もあります。
「自分の部屋の荷物を整理させてもらっていい?」と切り出すことで、断捨離の話題を自然に持ち込むことができます。そして、子どもが率先して行動する姿を見せることで、親御さんに「自分もやろうかな」という気持ちが芽生えやすくなります。
「やって」と頼むよりも、「自分がやっている姿を見せる」ほうが、親御さんの心は動きます。まずは自分の物からという順番は、親子関係を守るうえでも大切なステップです。
コツ③「今日はこの引き出しだけ」──範囲と時間を小さく区切る
断捨離のコツとして「小さく始める」は鉄板です。1回の作業を「引き出し1つ」「棚1段」「30分だけ」に限定してください。
一度に広い範囲を手がけようとすると、物があふれてパニックになり、挫折の原因になります。衣類や食器を一気に広げてしまい、部屋中に物が散乱して途方に暮れる。これは遺品整理の現場でもよく見る失敗パターンです。必ず「今日はこの引き出しだけ」と範囲を決めてから始めてください。
仕分けは「必要」「不要」「保留」の3分類で進めます。迷うものは「保留」で構いません。保留ボックスを用意して、半年後に改めて見直すと、時間が経つことで判断が楽になっていることが多いです。
「玄関だけやりましょう」と提案すると、「それだけでいいんですか?」と驚かれることがよくあります。でも、その1つが終わると、次の1つに自然と手が伸びるものです。小さな達成感の積み重ねが、断捨離を前に進める力になります。
コツ④ 思い出の品は「捨てる」以外の選択肢を用意する
断捨離の中で最も判断が難しいのが、思い出の品です。親御さんが大切にしてきたものを「ゴミとして捨てる」ことには、家族としても抵抗があるでしょう。ここで役立つのが、「捨てる」以外の選択肢をあらかじめ用意しておくことです。
写真に撮ってデジタル化すれば、物は手放しても記憶は残ります。家族や知人に「もらってもらう」ことで、ゴミにならないという安心感が生まれます。リサイクルショップや買取業者に出せば、「誰かに使ってもらえる」という納得感につながります。地域の団体に寄付するという方法もあり、社会貢献という前向きな意味づけができます。
言葉の使い方も大切です。「捨てる」ではなく「手放す」「次の方に使ってもらう」と言い換えるだけで、親御さんの抵抗感はずいぶん下がります。物の行き先が見えることで、「ただゴミになるわけではない」と思えることが、断捨離を前に進める大きな力になるのです。
コツ⑤「やってはいけないこと」を知っておく
断捨離のコツを実践する以上に大切なのは、「やってはいけないこと」を知っておくことです。ここを間違えると、片付け以前に親子関係が壊れてしまいます。
まず、親御さんに断りなく勝手に捨てること。これは信頼関係を壊す最大の原因です。「あの子は私の物を全部捨てようとしている」と被害意識を持たれてしまい、実家への出入りを禁止されたケースも実際にあります。
次に、「もう使わないでしょ」と否定すること。物への思い入れは、親御さんにとって人生の記憶そのものです。それを否定されると、自分の人生を否定されたように感じてしまいます。
一度に大量にやろうとすることも避けてください。体力も気力も持たず、親子ともに疲弊します。また、きょうだい間で「あなたが片付けて」と押し付け合うのではなく、役割分担を事前に話し合っておくことも大切です。
強引に進めた結果、親御さんとの関係修復に何年もかかったケースを見てきました。断捨離の最大の敵は「急ぐこと」です。親御さんが嫌がったら立ち止まる勇気を持つこと。これが、結果的に最も確実に断捨離を進めるコツです。
断捨離が止まってしまったときの処方箋──挫折は「普通のこと」
途中で手が止まるのは失敗ではない
断捨離は一直線に進むものではありません。進んだり止まったりを繰り返すのが普通です。手が止まったからといって、「失敗した」と思う必要はありません。
手が止まる主なパターンは、思い出の品に感情が動いてしまった、親御さんと意見が合わなかった、あるいは単純に疲れた、というものです。どれも当然のことで、断捨離のコツを十分に知っていても起きます。
大切なのは「止まったこと」を責めるのではなく、「ここまで進んだ」ことを認めることです。完璧を目指す必要はありません。7割できたら上出来です。そして、大事なのは「再開できること」。一度止まっても、また始められれば、それは挫折ではなく休憩です。
親との意見が合わないときの「一旦保留」という選択
親御さんが「捨てたくない」と言ったとき、その場で決着をつけようとしないでください。押し問答を続けても、お互いに疲弊するだけです。
「じゃあこれはとっておこう」と一旦引いて、時間を置いてからまた話題にする。これは「負け」ではなく「戦略」です。実際に、時間が経つと親御さん自身が「やっぱりもういいかな」と判断を変えるケースは多くあります。
物理的な仕組みとして、「保留箱」を用意しておくのも効果的です。「迷うものはこの箱に入れておこう」と決めておけば、捨てる・捨てないの二択で膠着することを避けられます。
何度話しても平行線になる物については、そっとしておくことも選択肢のひとつです。すべてを今回解決する必要はありません。断捨離は一度きりのイベントではなく、繰り返し少しずつ進めていくものだと考えてください。
一人で抱え込まない──家族・専門家の力を借りるタイミング
断捨離を家族だけで進めようとして、行き詰まるケースは少なくありません。以下のような状況に当てはまる場合は、専門家の力を借りることを検討してみてください。
物の量が多すぎて家族だけでは手に負えない場合(一軒家や3LDK以上など)。遠方に住んでいて定期的に実家に通えない場合。親御さんの体力や判断力の低下が目立ち始めた場合。親子の関係がこじれて、片付けの話題を出すこと自体が難しくなった場合。
こうした場合は、生前整理や遺品整理の専門業者、あるいは地域包括支援センターに相談するという選択肢があります。
「業者に頼むのは親に申し訳ない」と感じる方も多いですが、客観的な第三者が入ることで、親子の感情的な対立が和らぎ、かえってスムーズに進むケースも多いのです。プロの力を借りることは手抜きではなく、親御さんのためにも家族のためにもなる選択です。
自分たちだけで難しいと感じたら──業者・相談先の選び方と「次の一歩」
断捨離から業者を検討するときの判断基準
自分たちで進められるケースと、業者を検討すべきケースの目安を整理しておきます。
自分たちで進められるのは、親御さんが協力的で一緒に仕分けができる場合、物の量がそこまで多くない場合、そして時間に余裕がある場合です。
一方、業者を検討すべきなのは、物の量が多い場合(一軒家・3LDK以上)、遠方に住んでいて頻繁に通えない場合、大型家具や家電の搬出が必要な場合、仏壇や人形など特殊な処分が必要な場合、そして親御さんの判断力の低下が進んでいて早めに対応したい場合です。
「全部業者に任せる」だけが選択肢ではありません。「仕分けは家族で行い、搬出と処分は業者に任せる」という分業も可能です。自分たちでできる部分は自分たちで、手が届かない部分だけプロに頼む。このバランスを取ることで、費用も心理的な負担も抑えられます。
信頼できる業者を見分ける3つのポイント
業者を検討する際に、信頼できるかどうかを見極めるポイントが3つあります。
1つ目は、見積もりが無料で、追加料金の発生条件が事前に明確であること。「作業一式○万円」とだけ書かれた見積もりは要注意です。何が含まれていて、何が別途料金になるのかを必ず確認してください。
2つ目は、遺品整理士などの専門資格を保有しているか、業界団体に加盟しているかどうか。必須ではありませんが、資格の有無は業者の姿勢を見る目安になります。
3つ目は、思い出の品や貴重品の扱いについて事前に確認してくれるかどうかです。「大切なものはありますか?」と聞いてくれる業者は信頼できます。何も聞かずに一括で処分しようとする業者は避けたほうがよいでしょう。
ネットの最安値だけで選んで、当日に追加請求されるトラブルは少なくありません。必ず現地での見積もりを依頼し、最低2〜3社の相見積もりを取ることをおすすめします。
断捨離をきっかけに、家族で「これから」を話し合う
断捨離は物の片付けにとどまらず、「親御さんがこれからどう暮らしたいか」「家族としてどう支えていくか」を話し合う貴重な機会になります。一緒に物を整理する中で、普段はなかなか話せない将来のことや、親御さんの本音が自然と出てくることがあるのです。
断捨離をきっかけに、エンディングノートの作成や生前整理、墓じまいといったほかの終活テーマに広がっていくことも珍しくありません。最初から全部やろうとする必要はなく、断捨離という入り口から、少しずつ視野を広げていければ十分です。
後悔しないための心構えを3つお伝えします。完璧を目指さないこと。親御さんの気持ちを最優先すること。そして、始めた自分を認めること。
断捨離のコツを調べて、ここまで読んでくださった。それだけで十分な第一歩です。焦らず、少しずつ、ご自身のペースで始めてみてください。当ブログでは、生前整理の進め方や遺品整理業者の選び方、エンディングノートの書き方についても記事をまとめています。気になったタイミングであわせてお読みいただければ幸いです。
